『仮面ライダーゼロワン』感想・第18話
◆第18話「コレがワタシのいける華」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:高橋悠也)
新展開に入ったのに、映画宣伝期間の関係かOP映像のマイナーチェンジが行われないのが、ちょっとした不満。
生け花対決に勝利する為の華道家の不正行為が、復元された花屋ギアの映像記録から証明され…………頭悪すぎるのではと思うものの、90年代ぐらいの東映ロボには割と映像記録装置が未搭載の場合が多いので、ヒューマギアの優秀さを褒め称えるべきでありましょうか(逆に考えると、あらゆる?ヒューマギアが監視カメラとしての機能を持ち合わせている事が世間に受け入れられるかについての疑問は生じ、一般的には知られていない機能であったりするのかも)。
アルトからこれを報された天津が訴訟をちらつかせた事により両者の再勝負が決定し、アルトと天津は今回もオープンテラスのカフェでティータイム。……話の筋とは関係ありませんが、割と風の強い日に冬空の下に立たれると、イズの衣装は寒くないのかと余計な心配が浮かんで気が散ります(笑)
「あなたこそ、俺の爺ちゃんに憧れてたんでしょう?」
「ええ、まあ」
「だったら、ヒューマギアの素晴らしさがわかるんじゃないんですか?」
その、ラストニンジャ無罪みたいな論理展開は心の底からやめて下さい。
「彼の才能は素晴らしかったが、使い方を間違えた。人工知能は共存するものではなく、人類の進化に利用すべきだったんですよ」
価値観の違いが明確に打ち出され、年齢不詳だった天津は、永遠の24歳、ならぬ、驚愕の45歳と判明。
「若さほど罪なものはない。浅はかな知恵。品性にかけるノリ。肌の質感。なにもかも不愉快だ」
顔を歪めて立ち去る天津社長、某臨獣殿なみのアンチエイジングを駆使しているようですが、どうしてコートの内ポケットに先代と握手している写真を入れて持ち歩いているか、アルトが問い質すべきはそこだったのではないか。
一方、不破は滅の再起動について唯阿を問い質し、険悪な雰囲気で対峙する両者。
「……近くに居ても、離れていても、世話が焼ける男だ」
参謀ポジションのようでやはりバーバリアン脳の唯阿さんは面倒くさくなってきたのか殴り合いを選び、不破と同時にショットライズ。両者の中間で弾丸がばちばちぶつかり合うのが大変格好良く、工夫を凝らした変身シーンの見せ方は、今作において凄く好きなところ。
お互いあえてノーマルフォームでぶつかり合う激闘の末、バルキリーに銃を突きつけるバルカンだが、人工知能特別法違反で連行前に、うちの駐車場で何してくれてるんですか、と天津が車で轢きにかかり、悪質クレーマーは1000%実力で排除しますとサウザーへと変身。
ウルフの力を採血したサウザーはさっくりヒーリングッバイし、バルカン、10話ぶり2回目の大爆発。
しかし一度は変身が解けながらも不破は強引にアサルトを起動してサウザーに猛攻を浴びせ、怒濤の連続攻撃から至近距離の銃撃でサウザーを床に転がす、が、何事もなかったかのように平然と立ち上がるサウザー。
「効いて、ないだと……?」
「私の胸板は君の1000%。桁が違う」
筋トレの差を見せつけたサウザーの放つ、1000%鳳凰拳・天翔踏踏の直撃を受け、バルカンまたも大爆発(1分ぶり3回目)。
「噛みつく相手を間違えないようにね。ウルフ、いや、野良犬くん」
言われたーーーーー!!(笑)
心の中で狼である事にプライドを持っているらしい不破さんを犬扱いする、は、不破さんにやってほしい仕打ちナンバーワンだったので、今回はもう、ここだけで大満足です(笑)
前回のゼロワンに続き、バルカンにもサウザーが完勝を収めた頃、飛電の秘密ラボでは、アサルトグリップが不正コピーされていた。
……ええと、あの、それは、「ゼアすげーーーっ」で片付けていい行為なのでしょうか。
飛電インテリジェンスの企業倫理が全国的に問われる中、いよいよ再対決の日取りとなり、勝利へのプレッシャーに押し潰されそうになり精神的に不安定になっている華道家の前に、「人類を導く者」を自称するフード姿の存在が現れる。謎のフードに巻き付けられたベルトにバッファローキーを差し込んだ華道家はなんと人間からマギアへと変貌し、愕然とするだけのアルトの前で、咄嗟に牛の攻撃から花屋ギアを守り、牛に立ち向かう唯阿さんが生身で格好いい見せ場。
最近バルキリーの弱体化が激しい上に、明らかな懐柔策で側近扱いされている立場も不安定なだけに、ここで唯阿に見せ場があったのは大変良かったです。
「何を言っても無駄だ。こいつは既に醜いけだものと同じ」
「同じじゃない!」
金剛メンタルの天津は、中身華道家の牛ギアに容赦ない攻撃を浴びせるとそれを止めようとするシャイニングアサルトも切り刻み、トドメの1000%サンダーボルト。その一撃によってドライバーの消滅した牛ギアは人間の姿に戻り、ついでの一撃で吹き飛ばされるシャイニングアサルト……。
前回今回とサウザー初登場キャンペーン期間ではあるのですが、変身シーンも描かれずに雑に登場し(不破vs唯阿の変身シーンが格好良かっただけに、雑さ1000%増し)、必殺技の予備攻撃で吹き飛ばされるゼロワンの扱いがあまりにあまりで、特にシャイニングアサルトは登場2回目なのに、どうしてそうなりましたか。
バッファローキーを回収した天津は、背後で蠢く自分のシナリオ以外の存在について唯阿に調査を命じ、正気を取り戻した華道家を助け起こすアルト達。
自らを脅かすヒューマギアの存在(とZAIAからの賠償請求)に焦り恐怖していた華道家だが、花屋ギアがラーニングした作法の中に自らの流派のものがあり、その教えの真髄を先の対決の際の生け花から教えられた、と聞かされると自らを見つめ直す事に成功。正道に立ち返った華道家は再対決で正々堂々の勝利を収め、人間の持つ心の弱い面を描いた上で、ヒューマギアとの共存により人間が「成長」する事もある、という落としどころは良かったです。
……ただそれは同時に、ヒューマギアの目的は「人間に勝つ」事ではない、という点を浮き彫りにする事になっており、天津にそそのかされた形とはいえ、勢いでお仕事対決を受けてしまったアルト自身が率先してヒューマギアの理念を歪めてしまっている(結果として華道家を追い詰めるのにも荷担していた)わけで、これをアルトの過ちとして向き合えるかどうかは、作品としての大きな分水嶺になるかも。
アルトが証明するべきは「ヒューマギアの優秀さ」ではなく、「ヒューマギアと人間の共存から生まれるものの素晴らしさ」ではないかと思われるのですが、根っこのところで大きなものを見失っている気がするアルトも、ヒューマギアから心を教えられた方が良いのでは。
この先アルトをしっかり張り飛ばして、その“気付き”に至ってくれる事は期待したいです。
その頃、人間の暴走について不破に問われた滅は「レイドライザー」という名称を口にし、滅亡ギルドの新たな同志の存在を匂わせる……というか不破さん、第14話で「じゃあ、亡と雷も居るって事か?」と自分で言ったのに、忘れていませんか(笑)
後、滅亡ギルドの表向きの首魁(滅と迅)を倒した事で満足して、湖底のアークを放置しているのは、A.I.M.S.あまりにも杜撰ですが、予算か、予算が下りないのか(これに関しては、ZAIAの邪魔が入っている可能性もありそうですが)。