東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

ハカイダー地獄への道

キカイダー01』感想・構成分析

 ☆は着ぐるみ怪人。★は非着ぐるみの怪人(人間体が、“怪人”的に描写される場合を含む)。
-----
◆第1話「無敵!!人造人間ゼロワン誕生!!」◆ (監督:永野靖忠 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:☆ハカイダー黒・赤・青・銀
 備考:アキラを手中に収めるべく、関東原子力研究所を壊滅させ、まさに恐怖のハカイダー部隊、全盛期。正面から総力戦をゼロワンに挑むも、完敗。

◆第2話「ハカイダー四段攻撃とは何か!?」◆ (監督:畠山豊彦 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:(ハカイダー黒・赤・青・銀)

◆第3話「帰って来たジロー キカイダー」◆ (監督:畠山豊彦 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:(ハカイダー黒・赤・青・銀)
 備考:キカイダーが登場し、基地破壊ブラザーズにより、ハカイダー部隊アンドロボット製造工場、灰燼に帰す。

◆第4話「怪奇!幽霊ロボット消滅!?」◆ (監督:畠山豊彦 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:☆銀エビ

◆第5話「恐怖!青ワニ島で卵が笑う!!」◆ (監督:永野靖忠 脚本:滝沢真理)
 登場怪人:☆青ワニ

◆第6話「魔術師対ゼロワンの秘密能力!!」◆ (監督:永野靖忠 脚本:滝沢真理)
 登場怪人:☆赤ムカデ

◆第7話「落雷!機能低下のゼロワン直撃」◆ (監督:永野靖忠 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:☆ブラックドラゴン
 備考:ハカイダー四人衆、アカ、アオ、ギン、クロ――CLIMAXフォーム発動。

◆第8話「イチロー危機!四人衆合体!!」◆ (監督:畠山豊彦 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:☆ガッタイダー ☆シャドウナイト
 備考:CLIMAXフォーム不可能になる。世界的犯罪組織シャドウ登場。

◆第9話「大犯罪組織シャドウ出現の怪!!」◆ (監督:畠山豊彦 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:☆アカメンガメ
 備考:レッドハカイダー、ブルーハカイダー、退場。

◆第10話「大首領ビッグシャドウの怪奇!?」◆ (監督:畠山豊彦 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:(ハカイダー黒・銀、シャドウナイト、アカメンガメ)
 備考:大犯罪組織シャドウ代表ビッグシャドウ登場! 全国のハカイダー基地まとめて壊滅! シルバーハカイダー退場! ブラックハカイダー木っ葉微塵!(1回目) さらばハカイダー部隊!!

◆第11話「怪談 地下秘密基地の幽霊女」◆ (監督:今村農夫也 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:★幽霊女 (アカメンガメ)
 備考:ハカイダーはシャドウに拾われ、ゼロワンの対立組織がシャドウに交代。

◆第12話「怪談 墓場の化猫呪いの生首」◆ (監督:今村農夫也 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:★化け猫女 → ☆化け猫ロボット

◆第13話「怪談 妖怪ロクロ首の挑戦!!」◆ (監督:今村農夫也 脚本:押川国秋)
 登場怪人:★シャドウロクロ

◆第14話「怪談 ギルの亡霊が地獄で呪う」◆ (監督:永野靖忠 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:☆シャドウロボット・ナンバーセブンティーワン
 備考:亡霊ギル登場。リエコの秘密とアキラの素性が明らかになる。

◆第15話「爆発 ジャイアントデビルの秘密」◆ (監督:永野靖忠 脚本:島田真之)
 登場怪人:☆タコバズーカ
 備考:ミサオ&ヒロシ登場。

◆第16話「恐怖! ミイラ男のニトロ爆弾」◆ (監督:永野靖忠 脚本:押川国秋)
 登場怪人:☆シャドウミイラ ☆シャドウゴーレム
 備考:亡霊ギル再登場。

◆第17話「大巨篇!! 恐怖の巨人デビル始動」◆ (監督:畠山豊彦 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:☆虚無僧ドクロ

◆第18話「史上空前絶後!! 人造人間大爆発」◆ (監督:畠山豊彦 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:☆ジャイアントデビル(未完成)
 備考:ジャイアントデビル、未完成のまま退場。

◆第19話「キングインディアン必殺の呪文!!」◆ (監督:畠山豊彦 脚本:今村文人
 登場怪人:★キングインディアン → ☆シャドウインディアン
 備考:亡霊ギル、三度目の登場? 妄想強化ハカイダー誕生そして敗北。

◆第20話「大狂乱シャドウ首領の正体判明」◆ (監督:今村農夫也 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:★ビッグシャドウ
 備考:アキラとヒロシの再会イベントがいつの間にか終了している。ハカイダー木っ葉微塵!(2回目) ハカイダー、忠誠回路を取り付けられて復活し、シャドウの最高幹部に就任。

◆第21話「吸血の館 美人女子寮の恐怖!!」◆ (監督:今村農夫也 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:☆吸血コウモリ

◆第22話「本日の特別授業は殺人訓練?!」◆ (監督:今村農夫也 脚本:島田真之)
 登場怪人:☆サソリストロング

◆第23話「悪魔のヒトデ女 人類絶滅寸前!!」◆ (監督:畠山豊彦 脚本:押川国秋)
 登場怪人:★怪奇ヒトデ女・怪奇ヒトデ男・ヒトデ戦闘員 → ☆鬼ヒトデ

◆第24話「悪魔の業!? 地球ブタの惑星計画」◆ (監督:畠山豊彦 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:★ピッグマン
 備考:ジャイアントデビルなどもうどうでもよい!」宣言。リエコ退場。

◆第25話「悪魔の子ザダム 月世界基地発進」◆ (監督:畠山豊彦 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:☆ザダム
 備考:最高幹部ハカイダー更迭。ザダム、新最高幹部に就任。シャドウ月世界基地壊滅。

◆第26話「南紀の死斗!! ザダム超能力発揮」◆ (監督:今村農夫也 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:☆天狗ムササビ

◆第27話「秘境の激戦!! ザダムの地獄の罠」◆ (監督:今村農夫也 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:☆地獄河童
 備考:シャドウナイト殉職。

◆第28話「狂った街 恐怖の人魚姫大逆襲」◆ (監督:今村農夫也 脚本:曽田博久)
 登場怪人:☆人魚ロボット
 備考:恋するハカイダー誕生そして敗北。

◆第29話「赤鬼 青鬼 恐怖の100億V!!」◆ (監督:永野靖忠 脚本:曽田博久)
 登場怪人:☆雷神プラス ☆雷神マイナス

◆第30話「悪魔? 天使? ビジンダー出現!!」◆ (監督:永野靖忠 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:☆公害ナマズ ☆ビジンダー
 備考:ビジンダー登場。

◆第31話「哀れ人造人間ビジンダー爆死」◆ (監督:永野靖忠 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:(ビジンダー
 備考:ビジンダー、良心回路を取り付けられる。ハカイダー木っ葉微塵!(3回目)

◆第32話「地獄に呼ばれるビジンダー」◆ (監督:畠山豊彦 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:☆インクスミイカ
 備考:ビジンダー、シャドウから足抜け。

◆第33話「非情 子連れゴリラの涙・涙」◆ (監督:畠山豊彦 脚本:曽田博久)
 登場怪人:☆ビッグゴリラ ☆ミニゴリラ

◆第34話「呪いの大時計 ビジンダー危機」◆ (監督:畠山豊彦 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:☆キチガイバト

◆第35話「振袖娘 ビジンダー地獄絵巻」◆ (監督:今村農夫也 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:★着物毒蛾

◆第36話「四次元の怪 恐怖のタイム旅行」◆ (監督:今村農夫也 脚本:曽田博久)
 登場怪人:※タイムトンネル・シャドウマン忍者軍団
 備考:「ビックリしちゃいけないよ。僕たちはね、シャドウのタイムトンネルで、江戸時代に来てしまったんだ」。

◆第37話「剣豪 霧の中から来たワルダー」◆ (監督:今村農夫也 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:☆ワルダー
 備考:ワルダー登場。

◆第38話「必殺の仕掛 血闘三つ巴!」◆ (監督:松村昌治 脚本:曽田博久)
 登場怪人:※シャドウ郵便局・シャドウ郵便局員

◆第39話「強敵宇宙人は空飛ぶ円盤で来る」◆ (監督:松村昌治 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:★宇宙人ロボ

◆第40話「脱出!! 冷凍ビジンダー危機一髪」◆ (監督:松村昌治 脚本:曽田博久)
 登場怪人:

◆第41話「天下無敵 空中戦艦爆破!!」◆ (監督:畠山豊彦 脚本:曽田博久)
 登場怪人:☆サタン

◆第42話「同志討ち 火を噴く影法師銃」◆ (監督:畠山豊彦 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:★影法師ロボ

◆第43話「ビジンダーに恋した若者」◆ (監督:畠山豊彦 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:★アクアラングマン

◆第44話「ビジンダーの美しく悲しき別れ」◆ (監督:今村農夫也 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:
 備考:ハカイダー木っ葉微塵!(4回目)

◆第45話「サムライワルダー暁に死す」◆ (監督:今村農夫也 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:★浪人武士ロボット
 備考:ワルダー退場。

◆第46話「よいこの友達 人造人間万才!」◆ (監督:今村農夫也 脚本:長坂秀佳
 登場怪人:
 備考:ハカイダー木っ葉微塵!(5回目) ザダム木っ葉微塵! ハカイダー木っ葉微塵!(6回目) ザダム木っ葉微塵!(2回目) ハカイダー木っ葉微塵!(7回目) ビッグシャドウ木っ葉微塵! シャドウ組織壊滅!!
-----
 今作の特徴、というか印象、といえばまずは、「怪人ポジションの不在」及び雑な扱いが挙げられますが、全46話中、継続登場する幹部クラス(除くアカメンガメ)以外で着ぐるみタイプの怪人(ハカイダー四人衆それぞれの強化?形態はカウント)が登場したエピソード数は23本で、ちょうど半分。これに、非着ぐるみ型怪人登場エピソードが8本で、怪人ポジションの登場するエピソードは計31本。
 近年のイベント連続型の作品だと、これより比率の下がる場合もあるかと思われますが、一話完結ベースの作品としては全体の3分の1のエピソードで怪人ポジションが登場しない、というのはやはり少ない印象とはなります(要検証課題)。
 第4話で登場した銀エビ~ブラックドラゴンまでを、あくまで“幹部の正体/強化形態”と捉えると、「そのエピソードで登場した怪人がそのエピソードで完全退場する」というのは、第11話の幽霊女が初、という事に。そしてその初めての純粋怪人ポジションが、非・着ぐるみ(笑)
 劇中初の純粋着ぐるみ怪人といえるアカメンガメは、第9話で顔見せ登場するもキカイダー兄弟に歯が立たない→第11話で作戦も担当していないのにいきなりの爆死、と困惑する最期を遂げ、キカイダー部隊からシャドウへと敵組織が切り替わった初回に、「怪人ポジションは着物姿の怪女で、2話前から顔見せ登場していた着ぐるみ怪人が重要性皆無のまま唐突に爆死する」という錯乱ぶりを見せつけてくるのが、『01』らしさという点では実に象徴的ではあります。
 その後、第18話で未完成のままのジャイアントデビルを出撃させ、第20話で大狂乱し、第24話でリエコが退場するまでが、制作現場でいったい何が起こっていたのか、作品最大の大混迷期。
 ザダム登場を挟んで第30話のビジンダー登場より作品の新たな方向性が定まり、これ以後が「後半戦」という印象になるのですが、その「後半戦」では、第35話以降、単発の着ぐるみ怪人が登場したのは第41話のみとなり(そしてこの回のメインの敵は、どちらかというと空中戦艦)、怪人ポジションの扱いが雑、という作風が最後まで貫かれる事になりました。
 むしろ(予算的な問題からか)如何に着ぐるみ怪人を出さずにエピソードを作るのか、みたいな方向性になるのですが、その中では、影法師ロボなどは比較的工夫の上手くいったエピソードかなと(メインキャラのカゲロボットとの対決要素もあり)。

 全体の構成は大雑把に、
 1-10〔キカイダー部隊編〕・11-24〔ジャイアントデビル編〕・25-29〔ザダム編〕・30-46〔ビジンダー&ワルダー編〕
 といった感じですが、やはりネックとなったのは「アキラ少年の扱い」。
 物語を引っ張る重要なキーパーソンであり、主人公イチローの立ち位置を規定する存在だったアキラくんですが、ジャイアントデビルの完成と退場 → 兄弟再会イベントの終了(ギル問題の実質的終了) → ジャイアントデビル不要宣言 → ただし宙ぶらりんな扱いのまま出演継続となってしまった事により、「アキラ少年のボディガード」であったイチローの立場までが宙ぶらりんになってしまい、そもそも(誕生時点から“完成された”存在であるがゆえに)変化要素の薄いイチローの、劇中における立場(役割)の変化を劇的に描けなかった事は、今作における「イチローの物語」性を更に弱めてしまう事になりました。
 そこで、ジャイアントデビル(アキラ&ヒロシ)関係の問題をすぱっと終了して、シャドウとの戦いにおいてイチローの新たな役割を劇的に設定する事ができていれば、また違う「イチローの物語」にシフトできる可能性があったのでは、とは思うところです。

 脚本担当回数は、〔長坂秀佳:31本 曽田博久:7本 押川国秋:3本 滝沢真理:2本 島田真之:2本 今村文人:1本〕。
 前半は、長坂脚本の合間に小刻みにサブライターが入る形でしたが、第28話以降は、メイン長坂、セカンド曽田、の体制で固定され、これも作風の安定に一役買っていたのでは、と思えます。
 演出担当回数は、〔畠山豊彦:18本 今村農夫也:15本 永野靖忠:10本 松村昌治:3本〕
 永野監督が第1話だけ担当して3本空いて次が第5話だったので困惑したのですが、実態は第2話以降は安定した3話持ちローテ。お色気要素は制作当時の事情によるオーダーもあったようですが、その辺りが一番露骨だった感のある今村監督への印象はやや悪し。……最終回は『01』らしいぶっ飛び方で良かったですが(笑)

 しかし、最終回にいきなり光明寺博士を出して作品のまとめらしき語りからエピローグに押し切りましたが、前半戦での出し方を見るにプロフェッサー・ギルの再登場も考えられていたのだろうか、とかあれこれ展開に謎の多い作品であり、総括的なものはまた別項で。