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疾駆するネクサス

 ※ここ数日、熱を出してひっくり返っておりまして、現在もまだ回復途上の為、今週の『ネクサス』と『01』の感想はだいぶ簡略化したものとなります。

ウルトラマンネクサス』感想・第27話

◆Episode27「祈り-プレーヤー-」◆ (監督:小中和哉 脚本:太田愛 特技監督小中和哉
 見所は、第27話にして初めて有効活用される孤門くんの《レスキュー》技能。
 (まあ設定的には、孤門くんがスキル面でナイトレイダーに早々と順応できたのは、レスキュー部隊で鍛えられていたゆえ、なのでしょうが)
 軽快な体捌きでサソリビーストの尻尾攻撃も回避し、逆に空中からの連続攻撃を浴びせる青いネクサスだったが、尻尾の先から放たれるメガサソリキャノンを右手に発生させた光子ブレードで切り払っていたところ、1発、2発、3発ぶほぉっ?! と《アグルの呪い》(効果:適度に残念なダイス目になる)が発動し、青いボディと右手の剣の組み合わせは、鬼門。
 地面に転がるネクサスを孤門機が援護し、逆にサソリの標的にされた孤門機をネクサスが身を挺してかばい、双方の繋がりを明確に作った上で、サソリに必殺光線を浴びせようとするネクサスだが、亜空間に出現した黒雲によってビーストが回収されてしまう、という新たな展開。
 ネクサスの変身者を探す孤門(主人公としてのアクティブさと共に、姫矢の件を引きずっているのが示されていて納得の単独行動)は憐の姿を目に留めて楽屋に乗り込み、「兄を名乗ったの?」「…………従兄弟」など、今作ここまでに大きく欠落していた軽いコミカル成分も投入され、前半戦では気がつくと姫矢の後輩ポジションになっていた孤門が、憐に対して気のいいお兄さんポジションに収まっていく事で、キャラクターの幅も拡張。
 また、針巣、尾白に続き、出会ったばかりの孤門くんも「孤門」と呼ぶ憐は、極めて人なつっこいという以上に、対人関係のパターンが非常に不足しているのではないか、と思わせるのが秀逸。
 孤門の帰宅後、密かに監視につけられたMP子に気付いた憐はバイト先でお客さんをしつこくナンパする迷惑行為に及び、秘技・着ぐるみステルスにより「瑞生」という名前を知る事に成功。
 憐を心配して孤門に接触する尾白、憐の監視任務を命じられるもドジっ子スキルを発動する瑞生など、キャラクターの好感度や愛嬌もガンガンと乗せてきて良い感じ。
 「瑞生はさ、記憶を消した人の為に、いつも祈るの? ……二度と、悪夢が甦らないようにって。記憶を消した人の為に、いつも祈ってるの?」
 過去視によって垣間見た光景について思わず訪ねた憐に驚き瑞生は走り去ってしまい、その背に向けて下半身パンダの着ぐるみで叫ぶ憐。
 「また来て! 俺ずっとここに居るから!」
 ナイトレイダーでは「デュナミスト野郎を見つけて洗いざらい吐かせるんが先決やないんか兄さん!」と凄む相変わらずの副隊長を、隊長が適当にいなしていたが、「おまえ、デュナミスト野郎のヤサ知っとるんやろ?」と問い質された孤門くんは明らかに誤魔化しきれておらず、今後の火種の予感。
 前半戦に引き続き、ウルトラマンに変身する奴はビーストと同種なので背後からナパーム弾を撃ち込んでも合法、を唱える副隊長ですが、強すぎる力を手にした者は闇に心を蝕まれる事もある、と憎しみ一辺倒のみならず、溝呂木の一件も含めて一抹の哀しさも漂わせるという形に見せ方を加工し、急ピッチで改造手術が進みます。
 サソリビーストを回収していった黒雲を発生させたのは、未知の存在、闇の見えざる手――アンノウン・ハンドと呼称され、分析と対策が急がれる事に。憐の情報を調べようとするも厳重なセキュリティに阻まれた孤門は、その過程に出てきた「グループp.p」についてイラストレーターに問うが、目を泳がせたイラストレーターは、答える事なく姿を消してしまう。
 「……まさか、三番目のデュナミストは、プロメテの子?」
 機密ファイルを開き、呟くイラストレーター、に話しかける声。
 「久しぶりじゃん、優」
 「…………二年半ぶりかな」
 そこにはぼんやりとした幻影のような憐が立っており、二人は旧知の仲……? で、to be continue...
 前半にアリバイ的な戦闘を置いてその後はずっとドラマパート、というメリハリに欠けがちな“駄目な『ネクサス』”の構成なのですが、〔前半の戦闘を孤門と憐を交差させる重要イベントと位置づける・主人公(孤門)が積極的に謎を調べる・キャラの好感度を上げるシーンを入れる・キャラに愛嬌をつけるシーンを入れる・ブリーフィングシーンでNRメンバーが全員喋る〕と、当たり前にやってほしい事がしっかり抑えられているので、誉められないなりに十分に見られる内容になっており、前半戦を踏襲しつつ“面白さ”のポイントを抑えて組み込んでくる太田脚本の冴えが、前回に続いて光ります。
 特に、孤門くんがTLTの活動について端々で疑問を感じつつも、それをちっとも具体的な行動で示してくれなかったのは前半の大きなストレスになっていたので、孤門くんがイラストレーターに積極的に質問してくれたのは、ようやく、という感。
 ……にしても、これらを実際に映像化してるのはパイロット版も担当した小中監督なので、つくづく今作の前半戦は設計図に問題があったのでは、と思わされます。
 後半戦に焦点を合わせるべきキャラクターとして、出し惜しみせずにイラストレーターを憐と接続したのはシンプルにいい手だと思いますし、その一方で、前半戦ではイラストレーター寄りの立場と思われた管理官が独自の怪しげな行動を取り始めている、というのもサスペンスとして良いバランス。ぶれない仕事人(或いは駄目な現場の尻ぬぐい役)として独自の存在感を確立していたMPのウェイトを上げてそこに絡める、というのも目の付け所がよく、このまま上手く繋がっていってほしいところ。