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メモリー・オブ・ネクサス

ウルトラマンネクサス』感想・第25話

◆Episode25「予兆プロフェシー」◆ (監督:北浦嗣巳 脚本:長谷川圭一 特技監督:北浦嗣巳)
 見所は、根来流忍法・不意打ちフラッシュの術を受け、割と可愛げのあるリアクションを見せるMPリーダーさん。
 「あなたの真実と、私が守るべき真実は全く別の物なの」
 「馬鹿を言え! いつの時代もな、真実は一つだ!」
 「そうかもしれない。でもこれが私たちの仕事なの」
 根来は秘拳メモリーフラッシュを受け、今日も日常の世界には虚構の“真実”が伝えられ――姫矢准、という男について改めてTLT上層部の査問を受ける孤門は、姫矢が孤門の目の前で変身する、という重大な秘密の暴露を行ったのは何故か、について問われ考え込む。
 「……信頼、してくれたんだと思います」
 孤門の発想としてはおかしくないのですが、とにもかくにも、その信頼が発生する経緯が全く積み上げられていないので、何を言っているのか理解に苦しむ事態が発生しており、これまでも大量の衝突事故を引き起こしてきた隊長の件も合わせて、つくづく「信頼」は今作のマジック地雷ワード。
 確かに秘密を守って姫矢からの信頼には応えたかもしれないが、給料払っている組織の信頼は裏切りまくっていたよね? と管理官に厭味を言われた孤門は、いやそれ般若みたいな顔の女がですね……と今見ても改めてきつい序盤のぼんやりとしたやり取りを思い出し、これまで好き放題やっていた副隊長について、上層部は把握していますよ! と査問による追求を描く事でつくろう力技。
 当然それは、君なんで部下から完全スルーされてんの? と好きな言葉は「信頼感」の隊長に飛び火し、困った隊長が「副隊長が人型ビーストをデストロイする事しか考えていないからだと思います!」と言い訳した事から、18年前のアメリカにおいて、研究者だった副隊長の両親がビーストに殺害された上に擬態されていた、という副隊長の抱えるトラウマが、孤門も知るところに。
 孤門は副隊長の過去をリコを失った自らと重ね、これでビーストへの憎悪に囚われている副隊長を孤門が救うルートが解放された感じですが、毎度ながらの、引っ張った末の唐突な説明といい、副隊長周りはもう少し何とかならなかったものか。
 「ウルトラマンとは、結局なんだったと思いますか?」
 「…………え?」
 「なぜ姫矢准という人間に同化して、力を与えたのか。……答えて下さい」
 「………………わかりません」
 「わからない?」
 「……その答は、姫矢さんもずっと探していたんだと思います」
 与えられた力に藻掻き苦しみながら姫矢はずっと前向きに戦い続けてきた、という孤門の姫矢観は、実際の姫矢像とはズレがあるのですが(これは、あくまで主観なのであってもいいズレであり)、孤門からすると「闇に囚われるな!」と助け続けてくれた姫矢を理想的に捉えるのは自然なので、むしろ、姫矢が孤門を助けようとした「闇に囚われるな」という部分へのこだわりが、結局なんだったのかが巧く消化しきれなかった要素であるな、と(自分と同じようになるな、と解釈はできなくもないのですが、それはそれとしてやはり、姫矢が孤門にこだわる理由としては弱い)。
 「姫矢准は、答を見つけられたと思いますか?」
 「…………はい。きっと」
 姫矢の生存を信じる孤門は、満足げな最後の笑顔を思い返しながら頷き、孤門の役者さんの感極まる表情などはだいぶ良い感じになってきたので、姫矢と孤門の関係性を、もう少し掘り下げられていれば、と惜しまれるところです。
 一方、根来と落ち合った佐久田は姫矢の思い出を語り合い、佐久田の記憶も既に修正されている事が、このシーンだけで示されているのは、行方不明の姫矢の生存を笑顔で信じる佐久田の切なさがより滲み出て、今作にしては巧い省略。またここで、姫矢の写真が今も世間に与え続けている反響に触れる事で、姫矢が残したもの――この世界に生きた証――が描かれているのは、今作これまでの露悪的な見せ方から一線を画しており、姫矢准という男の着地点として、良かったです。
 査問会議の後、管理官は姫矢准より前のウルトラマン――ネクスト(映画ネタ?)について言及し、「来訪者」に触れる事でイラストレーターにたしなめられる。
 ティルト内部のパワーゲームに揺さぶりをかけ、姫矢のデータを強引に入手したのもその一環であった事をイラストレーターに語る管理官だが、収集した姫矢のデータが、何者かによって消去されてしまった事が判明。
 「スパイが紛れ込んでるんですよ。この基地の中に」
 姫矢のデータを解析して実装したウルトラ光線が、姫矢のデータが無くなったのでもう二度と使えない、というのは理解が追いつかないのですが(メンテ的な問題は出るかもですが……)、不穏な雲行きと共に、NRは手に入れたばかりの最強武器を失う事に。
 ナイトレイダーのコーヒーブレイクシーンが挟まれ、第24話までの今作に大きく欠落していた要素なのでそれは良かったのですが、話の流れとしてはギスギスした査問会議の後に(直後ではないにしろ、孤門は端で悩み中ですし)、副隊長が劇中で始めて見せるのではないかという笑顔で隊長にコーヒーを出しているちぐはぐぶりが、急に慣れない事をしたので肉離れを起こした、みたいな事になっているのが玉に瑕。
 「光が……去ってしまう筈がない」
 そして映像的にはまた、孤門くんに冷たい職場の空気が(意図していないところで)助長されてしまうわけなのですが、そこにエマージェンシーコールが響き渡り、大型のサソリビーストが出現。
 「ビースト……お前達の望みは、なんだ」
 モニターに向けて呟くイラストレーターは何者かの気配を感じ、サソリビーストの前に出現する、新たな、青い、ウルトラマン
 「ようこそ、ザ・サード。君が三番目だ」
 孤門・副隊長・隊長の査問シーンを通して(時制を入れ替えた3人の切り替わり方はサスペンス的な演出として良かったです)、姫矢/ネクサスの戦いを中心にここまでの24話を振り返りながら、TLT周りの問題点について大急ぎでベニヤ板を打ち付けていく総集編風味のインターミッション。
 総集編を前提とした新展開の前振りとしてはそれなりに盛り上がれる内容でしたが、『ネクサス』全体における活劇としてのメリハリの弱さ、というのが、この総集編的な構成、と重なるものがあって、『ネクサス』作劇の問題点の一つはやはり、“前振り”意識が強すぎる事にあったのではないか、と改めて思ってしまうのでありました(笑)
 EDは普段飛ばしているのですが、今回は流れ的にやってくれそうかな、と思っていたら、映像が初代ネクサス活躍シーン特集で、なんだかんだ、こういうのは嬉しい仕掛け。