『光戦隊マスクマン』感想・第19話
◆第19話「妖魔!アナグマス」◆ (監督:東條昭平 脚本:曽田博久)
東條監督怒濤の4話持ちで、前線に打って出るアナグマス!
「あまりにもお前達が不甲斐ないゆえ、いよいよアナグマスの出番となったのだ」
連戦連敗を傍観しているわけではない、というチューブ側の変化としては良いタイミングになり、アナグマの妖魔力を注入されたバラバ・イガム・イガラドグラーがマスクマンといきなりの激突。バラバ達は漲る筋肉の力でレーザーマグナムもマスキーブレードも跳ね返し、更にダブル忍者まで参戦して、吹き飛ばされるマスクマン。
辛うじて崖にしがみついた青は飛び込んだ洞穴の中でアナグマスを発見するが、ゲートボールの一撃で吹き飛ばされ、コミカルな見た目に反して、強いぞアナグマス。
川に落ちたアキラは旧知の子供達に助けられるが、落下のショックによって記憶を失っており…………それよりその前の、
「大丈夫? いったいどうしたの? 急にいなくなるんだもん、心配してたのよ。本当に今までどこで何をしてたの?」
が超不穏(笑)
お陰でしばらく、子供達は実はアキラの知り合いではなかったという真相が最後の最後に明かされるサイコサスペンスなのではとドキドキしてしまいました。
バラバの追跡をかわして山へと逃げ込んだアキラはタケル達に助けられるが、記憶の無いアキラは4人になんだかヤバい雰囲気を感じて一目散に逃走し、旧知を名乗る子供達3人に匿われる。その内の一人である少女が、1年前、川で溺れそうになったところをアキラに助けられた事を語り、そんなアキラと子供達を物陰からじっと見つめる裏社会の4人組。
「なに? アキラが? ……そうか。この子達アキラが山に住んでいた頃の友達なんだ」
4人からの報告を受け、オーラカメラをチェックする姿長官。
「私が襲いかかればもし、この子達に任しておけば、アキラは記憶を取り戻すかもしれん。見守るんだアキラを」
アキラと子供達は筏に乗って川に繰り出し、それを物陰から監視する4人の不審者達。
「あれがアキラの本当の姿なのね。マスクマンとして選ばれなければ、ああして、山の中で楽しく暮らす事が出来たんだわ」
まず、そこに疑問はないのか。
「楽しい山の生活。昔の友達に囲まれて、きっと記憶を取り戻してくれるわ」
取り戻さない方が幸せなのかもしれない……という選択肢がゼロだ!
「その時また、あの子供達と、別れなければならないんだぞ」
「だからこそ、今のこの時間を、守ってやろうじゃないか」
しんみりとした音楽をバックにいい事めかして語っていますが、安らぎの時間は失われる前提だ……。
勿論、地上世界が危急存亡の折、仲間としての結束や、積み重ねてきた鍛錬や戦闘経験は一朝一夕で代わりが効くものでないという事情はあるのですが、決して限定された超パワーではないにもかかわらず、どいつもこいつも、一度踏み込んだこの世界、足抜けは不許可という発想の殺伐具合が、大変マスクマンです(特にそこの忍者)。
川に筏を浮かべて遊ぶアキラと子供達にチューブの魔手が迫り、再び川に落ちた少女を救うべくアキラは咄嗟に川へと飛び込むが、「マスクマンの攻撃を跳ね返す強化幹部達の出現」と「川に落ちた少女の危機」という二つのサスペンスが分断されてしまい、双方が「それどころではない」状態になってしまう、大失敗。
アキラを守ろうと飛び出した4人がバラバ達に苦戦する中、少女を助けたアキラはそれをきっかけに記憶を取り戻し、子供達との別れの辛さから黙って姿を消した事を思い出すが、「子供達を振り切る」と「仲間達を助けにいく」も葛藤としての天秤の釣り合いが取れず、アキラの優しさ・哀しさ・戦士としての更なる脱皮、を描くには、総じて敵が強すぎるというのが大きなネックに。
その一方で、巨大戦をやらなくてはいけない都合により今回限りの地底獣イガラドグラー(あまりにも雑なネーミング……)が、バラバ、イガム、と並び立って戦う為、強い事は強いが並びがおかしいので脅威としての盛り上がりが薄いという歪な状況が発生してしまい、詰め込んだ要素の相性が悪く、それぞれのサスペンスを削り合う、という形になってしまった残念回。
「チキチキ獣アナグマス! 地底王ゼーバ様のお側に仕える、チューブの長老!」
300年漬け込んだ妖魔パワーでマスクマンを苦しめるアナグマだったが、ブルーがオーラあやとりで妖術を妨害すると、ショットボンバーから放たれたオーラパワーが妖魔パワーを打ち破り、地底獣は爆死。
仮初めの筋肉で謎の光線を出していた幹部二人は尻尾を巻いて逃走し、巨大イガラドグラーの茨のツタ攻撃をジャイロカッターで切り裂いたグレートファイブは、グレートガンで弱らせてからの光電子ライザーでフィニッシュを決める。
アキラは今度こそ子供達と別れの挨拶をかわすと「必ず戻ってくる」事を約束し……
ナレーション「だが、アキラが懐かしいふるさとの山へ戻ってこられるのは、いつの日になるだろうか」
ナレーションさん、シビア。
その実力の一端を見せたアナグマが、地上征服作戦の陣頭指揮に立つ事を遠吠えタイムで宣言し、マスクマンは征く、果てしなきチューブとの戦いの道を!
次回――やはり、一子相伝の暗殺秘拳の使い手なの?!