東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

タイムトンネルのひみつ

◆第36話「四次元の怪 恐怖のタイム旅行」◆ (監督:今村農夫也 脚本:曽田博久)
 「これというのもタイムトンネルで江戸時代にゆき、かの有名な天才的科学者、平賀源内を現代に連れてくるのが目的であったのう」
 「「こちらからも、四次元テレビで平賀源内の居所を探してみましょう」」
 「ビックリしちゃいけないよ。僕たちはね、シャドウのタイムトンネルで、江戸時代に来てしまったんだ」
 ねぐらを探して廃ビルに潜り込んだミサオがシャドウのとんちきな作戦に巻き込まれてしまい、後を追ったイチロービジンダーは江戸時代へ。だが辿り着いた江戸は、平賀源内を探して暴れ回るシャドウ忍者軍団の暴虐により、庶民はおろか将軍家や大名家まで逃げ出し、路傍に誰も片付けない死体の累々と積み重なる、凄惨な死の都と化していた!
 平賀源内を連れて来るとか来ないとかいう次元をとうに超えたレベルの話になっていますが、ここは恐らく、“江戸っぽい異世界”。
 そして見所は、無造作に死体の散らばる荒廃した情景を前にして、ここでは正義とか悪とかそんな事に悩む必要はないのだ、と笑顔を浮かべて自由を謳歌するマリ(笑)
 「見て見ないふりはできなかったわ。シャドウの悪があるところ、たとえ地の果てまでも行くのよ。それが、私の宿命なの」
 無法の世界に君臨する機械女王の道を歩みかけるマリ/ビジンダーだったが、シャドウに追われる平賀源内の息子の窮地を黙って見ている事が出来ず、己が魂の炎に従い正義のロボットの茨道へと再び歩み出す。
 ゼロワンとビジンダーにシャドウ忍者軍団を殲滅されたハカイダーは元の世界へと逃亡し、江戸っぽい異世界に取り残されてしまうイチロー達だが、社会への不平不満から酒に溺れていた平賀源内が鍵開け技能でタイムトンネルの扉を開き……とってつけたような平賀源内の見せ場がサイエンス要素皆無という、これぞ四次元の怪。
 元の世界へ戻るとビジンダーがレーザーでタイムトンネルを破壊し、帰還した世界側のシャドウアジトはともかく、江戸っぽい異世界側でトンネルを隠していた屋敷も派手に吹っ飛んでおり、心配になる映像。
 ……とにもかくにも、ビジンダーは基地破壊の通過儀礼を果たした!!
 ナレーション「シャドウのタイムトンネルは、木っ葉微塵に吹き飛んだ。もう二度と、源内先生に会う事はできない。マリよ、結局は、誰もおまえの宿命の体を助ける事はできないのだ。マリ、ゆけ。泣くなマリ。おまえの道は自分で切り拓くのだ」
 そのままナレーションさんが締めに入ってしまい、忍者軍団との乱戦のみでこれといったクライマックスバトルの無い大胆な変則構成なのですが、背骨があった上で定石から離れた変化を加えてくるのではなく、そもそも背骨が存在していないので、変則というか、活劇としてのメリハリがどこにも無いただの無脊椎。
 ナレーションだけ聞いていると、まるでマリと源内に交渉があったかのようなのですが、実際にはなんの接触もないので、度重なるブラストエンドによる事象変換とタイムトンネルの機能が干渉した結果、本当の第36話は、四次元の渦に飲み込まれていったに違いありません。
 着ぐるみどころか「怪人」ポジションさえ登場しない・いつもなら無駄に戦いたがるハカイダーがまともに戦闘しない・締めのナレーションと本編内容が明らかにズレている・スケジュールの問題でも発生していたのかマリが不自然にビジンダーで登場、などなど、いつも以上に制作現場で何かトラブルがあったとしか思えない凄惨な内容でしたが、時代劇回として残念だったのは、イチローもマリも別に江戸時代コスプレするわけでもなんでもない事。
 マリは着替えると核爆発するし、イチロー兄さんも設定的に着替えがあり得ないのかもしれませんが、特にイチロー兄さんは同心コスプレとか似合いそうですし、せめてそれぐらいのサービスは欲しかったところ。
 この辺りは純粋に当時と近年におけるエピソードの位置づけの違い、というのもありそうですが、そういったサービス要素も皆無の結果明らかになったのは、「人造人間が江戸の街並みで忍者軍団と戦う」よりも、現代日本に振袖般若が出現!」の方が面白いという残念な事実(笑)
 「シャドウは宣言する! 今度こそシャドウ帝国を築きあげるぞ!」」
 気がつけば最強の新幹部の席を失って久しいザダムは意味不明の供述を地平線へ向けて繰り返し、次回――ヒロシとアキラが殺された?! そして、犬が次々と殺された! そこは同列に続けていいのか、というその時、不気味な奴が現れた。
 「ハカイダーさえ足下にも及ばない程のその強さ」
 ……え、ハカイダーが足下に及ぶ強さってどの辺り……と比較対象が最底辺すぎて反応に悩みますが、見た目の奇天烈ぶりは強烈なので、シャドウ組織のテコ入れ成功に期待したいと思います。