東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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年の瀬ネクサス

 年末進行により、本日2件目。

ウルトラマンネクサス』感想・第22話

◆Episode22「安息-キュア-」◆ (監督:根本実樹 脚本:村井さだゆき 特技監督菊地雄一
 心停止した姫矢をライジングしているところに、何故か「私に貸しなさい!」と飛び込んでくる管理官。切迫感を出したかったのはわかりますが、専門家以外が唐突に横から手を出してしまう事で、かえって深刻度が落ちてしまっているような気もしないもでなく。
 イラストレーターの落ち着いたアドバイスにより、波長を変えたビースト振動波を再照射した結果、それが折りたたみ傘の振動波と同調した事により、姫矢はなんとか蘇生。
 「これが彼の光……」
 そして、廊下をぶらぶらしていた孤門は、光に包まれた姫矢とイラストレーターの会話に挟まれる事に。
 「今度その体で戦えば、本当に死ぬかもしれない」
 「俺は、命を捨てるつもりはない。だが、それでもやらなければならない時も、あるんだ」
 「そう。だったらもう何も言わない」
 光の力で基地を抜け出した姫矢は、根来を待ちぼうけしていた佐久田に拾われるが、ティルトではウルトラマンの破壊エネルギーの固有振動数が解明された事により、4機合体チェスターの新装備として、ウルティメットバニッシャーが開発を進められる。
 その為に、捕らえた姫矢を使って実験していた事を隠しもしない管理官に食ってかかる孤門ですが、孤門がティルトのやり方に異を唱えるべき状況は既に何度もあった筈なので、今頃ようやくそれをやるのかという印象が強く、1クール目のツケが重くのしかかります。
 「我々はこれまで、何度もウルトラマンに! いえ! 姫矢准に助けられています! その事は管理官にも、十分理解していただいていると思っていましたが」
 「もちろん理解していますよ。ただ、私は職務に忠実なだけですよ。あなたと同じようにね。和倉隊長」
 孤門を抑えつつ、それとなく異議を唱える隊長は今回も管理官に軽くあしらわれ、どうにもこうにも、隊長の心情の変化についていけないと、辛い展開が続きます。
 そして、隊長と管理官の間でキョロキョロしているだけの副隊長。
 ……その人、つい3話ほど前でさえ、姫矢を背中からデリートしようとしていたのですが、直属の上官が気がつくと強烈なウルトラマンシンパになっている事について、一切の反応が描かれないという、物凄い虚無。
 確かに前半、孤門と副隊長のやり取りは致命的に面白くはなかったのですが、それでも前半から姫矢/ウルトラマンに感情を向け、孤門の感情や思考と対を成して陰影を造っていたのは副隊長なわけで、それらを一切拾わないまま、NRサイドの軸が孤門×隊長にスライドしている話運びが、物凄くついていきにくいです。
 無論、各キャラの存在感が増すのは良い事ですし、孤門×副隊長にこだわったまま進めていたらゆっくりとした死を迎えるだけではあったかもしれませんが、「孤門×隊長に緩やかにスライドしながら副隊長の心情も挿入する」事が出来ずに、0か1しか選択肢が無いのが、厳しい。
 「もうこれ以上姫矢さんの力を借りるわけにはいかない。なんとしても、僕らの手で」
 二箇所同時にビースト反応がキャッチされ、決意も固く出撃する孤門ですが、副隊長が脱走して石掘と平木がお留守番に残っていたエピソード辺りで、NRに和倉ユニットとは別のユニットが存在する事が言及されているので、只でさえ人数の少ないチームを更に二手に分ける必要がどうにも弱く、劇中で上手く理由付けは欲しかったです。
 日勤と夜勤の交代制だったり、現場へ行く為のチェスターが1セットしかないのかもしれませんが……余計な所でそれなりの規模の組織感を出そうとした事が、裏目に出た形に。
 位相空間から触手を伸ばして人々を襲うビーストは次々と移動し、副隊長には〔黙示録の始まりだ、凪〕というストーカーからのメッセージが届く。
 「溝呂木……今度は何を企んでるの」
 この期に及んで、副隊長が溝呂木のメッセージを孤門に伝える気配が見えないのが凄いですが、溝呂木が帰ってくるとビーストが神出鬼没に召喚可能な大変都合のいい手駒になってしまうのはどうにも面白くなく、まあ今後のサプライズとして凄く面白く跳ねる可能性は否定しませんが、最低限「孤門がナイトレイダーの隊員にスカウトされた理由」「溝呂木がビーストを自在?に扱える理由」に関しては、先に提示しておいて欲しかったな、と思うところ。
 「さあ、始めようか。地獄の饗宴を」
 一方、佐久田の部屋で目を覚ました姫矢は、ビースト反応を感知して、立ち上がる。
 「もう誰一人、傷付けたくないんです。貴女も」
 「姫矢くん! 行かないで!」
 追いすがる佐久田の言葉に、はからずも姫矢の一番のトラウマが刺激される、というのは良い重ね方でした。
 「……すいません」
 苦い記憶と共に佐久田を振り切って姫矢が走り去った後、佐久田に接触するミスター嫌がらせ。工事現場では作業員が次々とビーストにキャッチされていき、命を懸けて姫矢が変身したところで、To be continued...
 追い詰められた姫矢と雰囲気を出す位置づけにしては、佐久田の出番もスポットもあまりにも不足していて、話数短縮その他もろもろの影響も出ていたのかもしれませんが、どうにもノリきれない展開が続きます。