『キカイダー01』感想・第27話
◆第27話「秘境の激戦!! ザダムの地獄の罠」◆ (監督:今村農夫也 脚本:長坂秀佳)
瀞峡観光ウォータージェット危機一髪! ホテルながやま自慢の黒潮焼きに人間爆弾の罠が待つ!!
……みたいな感じで、やりたい展開とタイアップ上のオーダーがこんがらがった挙げ句に、観光地のど真ん中で水爆が弾け飛ぶカタストロフを迎える南紀勝浦後編。
「馬鹿め! 俺の体には、もう、念力遮断回路が組み込まれている。貴様の念力も、俺には通用せん!」
イチロー兄さんはザダムに対して勝ち誇り、こういう時の兄さんは本当に愉しそう。
デザインの都合で身軽に動けないのザダムが短距離瞬間移動能力でそれを補うのは成る程というアイデアで、ゼロワンに念力を直接ぶつけるのではなく、落石により間接的に攻撃するという知謀も見せるが、ゼロワンキックを受けて逃走。
改めて地獄の罠作戦を展開する事にしたザダムは、ゼロワンをデスポイントに誘き寄せる為に、時限爆弾内臓の地獄ベルトを取り付けたカツラを解放。一方のイチローは、ザダムと戦った手応えから、月で開発されたザダムの弱点に見当を付けていた。
「日光の下では、5分と保たないに違いない」
もうだいぶ慣れましたが、作戦スタートと黒潮焼きを挟んで、突然、海岸線で一騎打ちが始まって大変謎(笑)
(2分……ザダムは、苦しさを隠しているな。あと何分保つ)
鬼畜な笑みを浮かべながら、ゆっくりとカウントダウンするイチロー。
(2分半……)
ザダムが念力を放とうとすると、イチローは体内に蓄積されている太陽電池のエネルギーをヘルメットから放出し、それをまともに浴びたザダムは撤収。
「日光の下での限界時間は、3分間」
キカイダー01と裏返し、という意図なのか、早くもかなり致命的な弱点が発覚し、ザダム……そして、ゼロワンの弱点は現在ほぼ有名無実になっているので、あまり裏返しになっておらず、ザダム……。
基地に逃げ戻ったザダムは、弱点バレたら困るでしょ! とビッグ社長から怒られ、最高幹部なんだから前面に出ないで部下を使いなさい、と今更ながら経営体制の見直しが行われる事に。
その頃、ホテルながやまに運び込まれていたカツラが目を覚まし、ザダムに暗示された時限爆弾解除の為に瀞峡へと急ぎ、罠作戦が進行中に突如としてザダムの弱点を確認する為だけの一騎打ちが挟み込まれ再び罠作戦が再開するという、目眩のする構成。
「「既に、地獄の罠作戦は開始された。シャドウナイト、よいな、おまえはこの地獄河童と組んで――」」
「断る!」
「「なに?!」」
そして、部下との意思疎通は全く出来ていなかった。
あと20分で約束の3時になるんだよ?! とザダムは、一度目標の背中に張り付いたら離れない(実験のサンプルとなり、地味にそして確実に格を下げる事に余念の無いハカイダー……)地獄河童の能力を紹介し、ゼロワンに対する恐るべき罠に納得したナイトは出撃。
瀞峡観光ウォータージェット上では、イチローが地獄ベルトの取り外しに成功するが、その一瞬の気の緩みに付け込んで背後から襲いかかった地獄河童がイチローの背に張り付き、チェンジ01しても振りほどく事ができない。そこに計画通りにナイトの眼力殺人光線が突き刺さり、シャドウの超魔術により、全身が「水爆」と化す地獄河童!(着ぐるみから姿を変えた造形が怖い)
「ふふははははははは! 飛べ! 早く飛べゼロワン! 俺はこの地獄の罠作戦の仕上げに入る! 貴様はバラバラの部品になって、くたばるのだ!」
吊り橋の上で最後の一撃のタイミングを計るナイトの言い回しはなかなか格好いいのですが、お望み通りに飛び上がったゼロワンは、ナイトが何をするよりも早く、ゼロワンアッパーからの連続攻撃を叩き込み、ナイトが倒れている隙にゼロワンドライバーの高速回転により河童を吹き飛ばしてしまう(笑)
地上で唯一の特殊能力を打ち破られた地獄河童は川に落下すると大爆発してバラバラの部品となり、ここで主題歌が入るのは、なんだかんだと格好いいヒーローのターン。
「シャドウナイト!」
「おのれゼロワンめ! 地獄の罠を破るとは」
そしてとうとう、これといって目立つ仕事もないまま一時期は若い女性を狙う連続通り魔にまで落ちぶれ、倒しても別に山場にならない存在ゆえにしぶとく生き延びていシャドウナイトは、ブラストエンドの直撃を受け、吊り橋の上で無惨に大爆死。……一応、どさくさ紛れにポイ捨てされるのではなく、作戦のキーマンとして最期を迎えた、というのは、今作の怪人にしては恩情を与えられたといえるでしょうか。
シャドウ組織の古参としてハカイダーといがみ合うポジションそのものは悪くなかったと思うのですが、肝心のハカイダーが、悪のルーキー幹部として嫉妬するほどの活躍をするわけがない、反抗的なようで最高権力者には速攻で土下座、デフォルトで錯乱しているので言行がコロコロ変わる、為に組織内部の対立構造が筋が通る形で成立されずじまいであり、そのポジションを活かす事が出来ませんでした。そして何より、明らかに着ぐるみがアクション向きでなかったのが、致命的弱点。
「綺麗な景色を見て、美味しい物をたくさん食べて」
「いいところだね、勝浦って」
「うん!」
3人まとめて完全に脇役パックと化しているミサオらはフェリーで去るカツラを見送り、今日も今日とて遠吠えタイム。
「「ぬぅ……ゼロワンめ、このザダム様を一度ならず二度三度と愚弄するとは。このままにしておかぬぞ! よいなハカイダー」」
「……言うまでもない。気に入らん奴ではあったが、シャドウナイトの仇は、きっとこの俺が討つ」
ハカイダー3人衆についてもですが、ハカイダーが死んだ相手には妙に情の深いところを見せるのは、ライバル体質の名残なのでしょうか……。
次回――世にも美しい新兵器、美女・人魚姫登場!!
「その美しさに人々を催眠術にかけ、たちまちロボットにしてしまう」
「また、その回転スピンビームを見た者は、たちまちめくらとなる」
「そしてまた変身して、人魚ロボットとなれば、体中が新兵器となる」
「次回――「狂った街 恐怖の人魚姫大逆襲」」
前回今回と、予告から迸る狂気が一つ上のステージに上がった感がありますが、果てしなき、シャドウ組織との戦いの道はつづく!