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磁力電力気力!

光戦隊マスクマン』感想・第9話

◆第9話「合体!命のオーラ」◆ (監督:東條昭平 脚本:藤井邦夫)
 「私はロロ。君のオーラを、察知したんだよ」
 タケルは瞑想によるトランス状態で謎の少女の声を聞き、炎の黙示録が今やめなさい。
 一方その頃、ハゲ将軍は地上の電気を奪う作戦を立案し、雨宮作品に出てきそうな正統派クリーチャー造形のマグネドグラーと共に出撃すると、地上に大破壊を巻き起こす。
 「マスクマン! この街は死んだ! 我々が支配する!」
 「そうはさせるか!」
 チェンジマンは被害地域の調査中にアングラ兵と戦闘になり、見所は、ハイヒールで壁蹴り反転する忍者(映像は足下のみのアップですが)。
 ドグラーボディとヘッドが協力して放つエレクトロエリア攻撃に追い詰められるレッドマスクだが、その危機を感じ取ったロロに救われ、ロロは本当に居たんだ! そして、オーラの力は、全宇宙共通です。
 『チェンジマン』『フラッシュマン』(共に敵が侵略異星人組織であり、怪人やゲストなどで頻繁に異星人が登場する)からの流れとしては、そこまで違和感が無かったのかもしれませんが、ここまで地球(地上/地底)単位だった今作に突如出現した宇宙人により、オーラパワーが宇宙共通のものであると示されるのはいささか飛躍しすぎた感があり、ノリにくいエピソードに。
 タケル達がロロと触れ合い、異星人の視点から地球の美しさを讃える、というのは定番ですが、物見遊山の旅の途中とか、トラブルで不時着とかではなく、かなり積極的にタケルを助けに飛び込んできたという流れと、ほのぼの観光タイムも、今ひとつ噛み合わず。
 挙げ句、チューブが発電所を攻撃しているとの連絡があるや否や、少し前に襲撃を受けていた事など無かったかのように、恩人たる子供を一人放置して迎撃に向かってしまい、いくらなんでもどうかと思うよマスクマン!
 取り残されたロロは赤影に囚われてしまい、太陽が沈むまでの命、と宣告されたロロを救うべく、戦場を一時離脱したタケルはオーラパワーを高める為に瞑想を始める……というのもスムーズな流れにならず、「オーラパワー」をどう印象づけ、どう物語に取り込むのか、スタッフの苦戦が窺えます。
 オーラパワーを高めたい → 深い集中状態に入る → 座り込んで座禅、と絵が止まってしまうのも、難しそうな点。
 (……そうだ。戦いの中で、もっと強いオーラを)
 タケルはオーラマスクすると戦場に舞い戻り、ロロ救出の為には増幅したオーラパワーの調整が必要だという話だったのに、死地に飛び込む事でとにかく強い出力を! と剣を振るってオーラパワーを放出すると、地中でロロを閉じ込めたカプセルが砕け散り、だいぶ困惑。
 オーラを纏ったレッドマスクがマグネドグラーに真っ向唐竹割りを浴びせる映像自体は格好いいのですが、ロロのオーラスパークならエレクトロエリアを打ち破れるという要素も途中にどこかで吹き飛んでしまい、ロロ救出のタイムリミットサスペンスとしての盛り上がりも弱く、劇中に散りばめた要素があちこちでショートしてしまっています。
 オーラパワーで地面を割った赤がロロを救出し、マグネドグラーをショットボンバーで撃破。巨大マグネは滞りなくオーラバーストの錆となり、ロロは地球で何よりも美しい友情を手に入れた、とざっくり母星へ帰っていくのであった……。
 立ち上がり、美緒との関係性に重点を置かれたタケルは、敵前逃亡の印象を弱めたい意識もあってか、トンネル回・ゴッドハンド回・今回、といずれも子供ゲストと密接に関わるエピソードを投入して正統派のヒーロー性を補強されているのですが、タケルというキャラクターの芯が「美緒」にある為に、それを省くと表層で紋切り型のヒーロー像に当てはめている感が強くなってしまい、なかなか、キャラ回が上手く噛み合ってきません。
 ゴッドハンド回では美緒を失ったトラウマと絡めていましたが、鉱脈を見出すならやはりそこになるのか……?