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写せネクサス

ウルトラマンネクサス』感想・第19話

◆Episode19「要撃戦-クロスフェーズ・トラップ-」◆ (監督:阿部雄一 脚本:赤星政尚 特技監督菊地雄一
 タンクが、飛んだ!
 ここまでの『ネクサス』で、一番面白いシーンだったかも(笑)
 「凪! 銃を下ろせ」
 「この男はビーストです。溝呂木と同じ」
 「彼は溝呂木とは違う。私にはそう見える」
 二度と甦らないように心臓を撃ち抜いてやる、と姫矢に銃を向ける副隊長を隊長が止め、普通ならこれだけ話数を重ねていれば、“ここぞの場面では物事の本質を掴み取れる”隊長への信頼感とか見ている側に醸成されていそうなものですが、そんなものは全く無いので、隊長も副隊長も、どちらも信じられなくて困ります。
 (隊長にウルトラマンの正体を知られた時、不思議と不安は無かった)
 隊長の信頼感をテコ入れする孤門モノローグによる強引なフォローも、納得するというより笑いを誘う感じに。
 (だけど、ウルトラマン――姫矢准の体は、この時既に)
 えらくぶちっと途切れて場面が変わり、霧に包まれた山の中で登山者が巨大なビーストに次々と襲われ、その振動波をティルトと姫矢はそれぞれ感知する。
 「我々と共に戦う気は無いか?!」
 「……俺は、あなたがたの組織を信じてはいない」
 上層部の命令如何で思い切り背中から撃ってくる上に、歩み寄りの姿勢を見せている割には一言の謝罪もありませんからね!
 「だが、我々の戦う目的は、同じ筈だ」
 「……同じ? ……ならば教えてくれ、俺の目的を」
 NRに背を向ける姫矢の言葉は、らしくて格好良かったです。
 「なに?」
 ウォーモンガー隊長が狼狽している間に姫矢はビースト反応へと飛び去り、隊長達も先行していた待機組の二人と合流。ようやく出番と台詞が増えてきたので、そろそろ意識的に覚えようと思いますが、インテリの方が石掘で、孤門の師匠が平木、と。
 四つ足だが胴長ではない、着ぐるみ的に変わったデザインの鉱物ビーストに立ち向かうネクサスだが、痛めた左腕の影響で苦戦を強いられ、更にビーストはネクサスの攻撃を透過する謎の能力を発揮。亜空間を発動したネクサスは、スライディングでビーストの足下に滑り込み、下から頭部を攻撃するという面白いアクションを見せるも、ガブガブの呪いの傷が深く、必殺光線を放てないまま亜空間をビーストに突破されてしまい、変身解除。
 今回登場しない溝呂木の嫌がらせが、じわじわとネクサスを追い詰めていて、大変不穏。
 「傷の回復が遅い……俺の体に、何が……」
 満身創痍の姫矢は石棺に収納されて飛び去り、姿を消したビーストが位相空間を移動する能力を持つ事を知ったNRでは、それを打ち破る為の位相をまたぐ罠、クロスフェーズ・トラップ作戦が立案される。
 巨大ビーストに対して迎撃ミッションを組み立てる、という巨大怪獣物の面白みをストレートに持ち込んでくるのですが、作戦をわかりやすく噛み砕く意図や、一番経験が浅いという立ち位置はわかるものの、「でも」とか「たった」とか、孤門が大声でネガティブでツッコミを入れる役割になってマイナスイメージを強めてしまい、もう少し他のやりようはなかったものか。
 元々、個人的に好感度のあまり高くない孤門なのですが、アクティブ化してからの孤門も今のところあまり好きになれず、改めて孤門の好感度を上げる為のイベントが設置されないというのは、大変『ネクサス』らしい脱けではありますが。
 一方、石棺が力尽きて山中に墜落した姫矢は、カメラマン・助手・モデルの3人組に拾われて宿に運び込まれるが、奇しくもその温泉町の至近において、一つの街をまるまる囮にした、NRの対ビーストミッションが発動しようとしていた。
 「あんた……あれを撮りに来たのか?」
 姫矢の前職を知り、その写真に衝撃を受けて憧れていたカメラマンは、クロスフェーズ・トラップにより出現した鉱石ビーストの光を目にして駆け出し、チェイサータンクとビーストの戦闘を目の当たりにする。
 位相空間移動能力を作戦によって封じた後、必殺のタンク砲の発射可能まで180秒、って、敵が目の前に居るのにどうするの?! と思ったら、そのまま飛び上がって普通に戦いだしたのは、面白かったです(笑)
 「姫矢准! 今度は俺の番だ。俺の写真が伝えるんだ! 誰も知らない真実を」
 カメラマンはその光景に夢中でシャッターを切り、ウルトラマン不在ながら、NRの対ビーストミッションのサスペンスと、姫矢に憧れる男を通して、かつて姫矢が目にした「戦場の光景」と、今この地で人知れず行われている「ビーストとの戦い」を重ねるという作劇は、なかなかドラマチックになりました。
 以前から、今作は孤門君の立ち位置がそもそも設計ミスなのではないか、という点について触れていますが、やはり今作のメインストリームに必要だったのは、このカメラマンの位置の視点であり、ようやく欲しい所にパズルのピースがはまった感(一応、今回再登場した根来が一番近い位置に居たのですが、出番が少ない上に意図的に好感を与えない描写をされており別の役割が与えられている)。
 「人が居ます!」
 「馬鹿な……」
 タンクキャノン発射準備の完了したNRだが、現場に接近したカメラマンの姿を発見してしまい、決定的な瞬間に負の連鎖が発生したその時、カメラマンは頭からぱくっとビーストに食われ、カメラだけが残されるのであった……で、To be continued...
 話数短縮の影響が出始めたのか、オーソドックスな対巨大怪獣ミッションを見せる形に回帰したのが、今作としてどうなのか、というのは今回時点では何とも言えませんが、溝呂木の一時退場により、溝呂木絡みの要素を醜悪に見せよう見せよう見せつけようという部分が排除された結果、全体のテンポはだいぶ良くなる事に。
 姫矢の写真に衝撃を受けた男、というのも、姫矢を掘り下げていくにあたって良いスパイスになりましたし、そろそろ、浮上の目を期待したい。……後、孤門くんの好感度上昇イベントをなんとか。