東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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後遺症

 『エンドゲーム』で消費したメモリがまだリフレッシュされていないので、本日もざっくり加減で。

キカイダー01』感想・第15話

◆第15話「爆発 ジャイアントデビルの秘密」◆ (監督:永野靖忠 脚本:島田真之)
 付近の海中にウラン鉱脈があったりキャプテン・クックの財宝があったりする事で有名な行川アイランドで僕と握手!
 ナレーション「ギルの亡霊は言った。アキラに兄弟が居る、アキラに兄弟が居ると。だが、ビッグシャドウでさえ、その人間の、性別・年齢・顔かたちまでは、暴く事は出来なかったのだ」
 繰り返しが秀逸な『01』名物ナレーションの名調子に乗せて、ブラックサタンがポンコツなのではなく、多分ギルの偽装工作がなんか凄いのだ! と華麗なスライドからスタート(笑)
 アキラ兄弟の秘密を知ろうとするシャドウは、かつてギルと研究活動を共にしていた日本有数の電子物理学者・山形博士を標的に定め、房総の海岸で密猟をしていたイチローと、リゾートプールを覗きに行っていたアキラは、これに巻き込まれる事に。
 誠意もなければ反省もなく、そもそも記憶容量が256KBしかないハカイダーは、シャドウを出し抜こうと山形博士の娘を狙い、笑いながら水着の女性達を砂浜で追いかけるという最低な感じの絵になったハカイダーに炸裂する、謎の少年の投石!
 ナレーション「この少年こそ、ジャイアントデビルの秘密を握る、アキラの兄・ヒロシであった」
 黒タロスを挑発して身を隠したヒロシ少年は、あくまで偶然、危険な目に遭っている人々を助けようとした正義感の持ち主、とナレーションで紹介され、ムキになって追いかけるもまんまと逃げられてしまったハカイダーは、山形娘らを再び襲撃。
 そこに基地破壊ブラザーズが駆け付け、チェンジするだけエネルギーの無駄とばかり、人間体のままの兄弟に顔面を殴られ、蹴り飛ばされたハカイダー、地面を無様に転がり、撤収(笑)
 本人はずる賢く立ち回っているつもりだが浅はかな思考!
 真っ正面からヒーローに殴り負けて連戦連敗の戦闘力!
 足があると引っ張らずにはいられない短絡的で狭い視野!
 もはや、換気扇の油汚ればりにしつこい以外いいところ全く無しなのですが、お互いに一軍を率いさせてメギド王子(『科学戦隊ダイナマン』)と戦わせてみたい(笑)
 ハワイアンショーの魅力に取り憑かれてしまったアキラは「逃げんのやだ!」と言い出し、ここのところスポットが外れ加減だったアキラの口から、逃亡生活への不満が飛び出す、新しいアプローチ。
 「……アキラくん、逃げ回らなくてもいい日が、必ず来る。いや、僕がきっと、そうしてみせる」
 「いつ?! その日はいつ?!」
 「……僕を信じてくれ。近い日に必ず、必ずだ」
 アキラの感情を理解しつつ、軽々しく断言しきれないイチローの苦しい胸の内が窺えますが、果たしてこの口約束、後々の地雷になる事はあるのか否か……非常に情動が薄かったアキラくんが、遅まきながら当たり前の自己主張を始めましたが、この要素が巧く収まっていくのかどうかは興味深いポイントです。
 少年少女を苦しめるシャドウに対し、新たな怒りを燃やすキカイダー兄弟は山形博士の行方を探すが、それを阻もうとする黒タロス。一方、別荘に篭もり、開発してしまった恐怖の新エネルギーに関する資料を全て処分しようとしていた山形博士は、シャドウの死神ロボットナンバー42・タコバズーカに襲撃され、ごく自然に猟銃を手に取っていた。
 投石と猟銃は、70年代日本人の基本装備です。
 「すまない兄さん。僕が居ながら、山形博士を連れ去られてしまったとは」
 「新エネルギーの秘密を燃やしてしまおうとした、山形博士の事だ。シャドウの恐怖の拷問にも、口は割らんだろう」
 繰り返し笑ってしまう、個人的な今回の大ヒット台詞なのですが、イチロー兄さんは時々、思考法が某ロボット刑事や某正義のエージェントに限りなく近づく時があって、怖い(笑)
 そんなイチローの予測通り、体から白煙があがるレベルの電流を流されても耐え抜く山形博士の意志と口が硬いと見たシャドウは、娘を人質に取る作戦に変更。
 洞穴に逃げ込んだアキラ・リエコ・山形娘はタコバズーカに追い詰められるが、ゼロワンドライバーで岩盤をくりぬいたゼロワンが裏側から3人を助け、正面に躍り出るといきなりのヤクザキックをタコの顔面に叩き込み、博士を救出。ゼロワンカットからのブラストエンドでタコはあっさりと爆死し、ハカイダーは捨て台詞を残して逃亡するのであった。
 怪談シリーズが終了し、正攻法の怪ロボットとして登場したタコバズーカですが、終始雑な扱いのまま、これといった見せ場もなく吹き飛び、通常の怪人ポジションの仕事を半分以上ハカイダーがこなす作劇の結果、ハカイダーの株取引停止と怪人の魅力の低下が同時に進行する、という困った状況になってしまっています。
 ハカイダー、2週ぐらいお休みを取った方があらゆる意味で良いような気がするのですが、そういうわけにもいかないのか……。
 山形博士を狙うシャドウの陰謀は阻止され、仲良くなった山形娘とボール遊びをするアキラだが、ボールを追いかけて車に轢かれそうになった山形娘を、中性的な風貌と衣装の謎の人物が助けると無言のままヒロシの手を引いて去って行き、OPクレジットからは「ミサオ」だと思われる人物が、ミステリアスに顔見せ。
 「ああ、我がジャイアントディビルよ。必ずこの手で完成させてみせよう。そして世界を征服するのだ。世界を我が手に握るのだ」
 運命の兄弟がそれと知らずに交錯する一方、ビッグシャドウはジャイアントデビルへの執着を強めていき……話の理屈はともかく、なんだか少々、プロフェッサー・ギルを思わせる言い回しに感じましたが、果たして、蠢く影の真の姿や如何に。
 次回――「アキラの行く手を阻み、非情冷酷極まるシャドウ組織の攻撃を、ダイナミックに映し出す、「恐怖! ミイラ男のニトロ爆弾」にご期待下さい」。
 なんて力強いメタ予告だ……(笑)