東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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諦めたらそこが終点

キカイダー01』感想・第5-6話

◆第5話「恐怖!青ワニ島で卵が笑う!!」◆ (監督:永野靖忠 脚本:滝沢真理)
 「この、青ワニ島に、一刻も早くハカイダーの基地を作らねばならん!」
 住所不定問題の深刻化するハカイダー部隊は、港町で捕虜にした漁師達を労働力に基地の建設を進め、怪ロボット・青ワニに頭から貪り食われた漁師の白骨死体や、顎の部分だけがミサイルのように飛ぶ青ワニのメカギミックなど、冒頭からパンチのある映像が連発。
 砂浜に捨て置かれた白骨を発見したイチローとアキラが地元の少年を救出する一方、波打ち際ではしゃいでいたリエコがハカイダー部隊の襲撃を受け、それを助けたジローだが、チェンジしようとしたその時、奇妙なノイズが響き渡る――
 ナレーション「ハカイダーは、爆発したプロフェッサー・ギルから、悪魔の笛を手に入れていた。その地獄の旋律が、ジローのメカに激痛を与える。ジローの不完全な良心回路が、ギリギリの抵抗を試みるが、チェンジできない」
 「苦しめ、キカイダー、苦しみ抜いて、死ね!」
 裏地が真紅のマントを翻し、暗がりの中で瞳を明滅させながらステッキ状の杖を吹く黒タロスの姿は大変格好良く、デザインは、デザインは本当に良いのですが……。
 弟の苦戦に駆けつけたイチローは、特に説明は無いが悪魔の笛無効体質らしく、次々とアンドロボットを千切っては投げ捨てていく。
 ナレーション「アンドロボットの爆発音が、笛の音をさえぎった!」
 毎度毎度、派手に吹き飛ぶ戦闘員がこの伏線だったとは!(笑)
 その隙にジローはチェンジ。青ワニを含めたハカイダーカルテットが勢揃いしてキカイダー兄弟と激戦を繰り広げるも、ゼロワンドライバーに次々と殴り飛ばされて撤収し、既に格闘戦だとまるっきり勝負にならないのですが、ハカイダー部隊では、世界征服の作戦を募集中です。
 ところが、ホテル三日月でハワイアンショーならぬ台湾ショーを見学していた少年達がまんまとさらわれてしまい、イチローは結局、青ワニ島に乗り込んでいく事に。そこで待ち受けていた罠にはまったイチローは、水中に仕掛けられたカプセルに引きずり込まれ、太陽光線の届かない海中で、爆死10秒前の大ピンチに!
 ナレーション 「太陽を奪われたイチローは、キカイダー01にチェンジできない。どうするイチロー
 だが――
 ナレーション「絶体絶命のイチローを、キカイダーが救った」
 駆けつけたキカイダーがカプセルを押し上げる事で爆死の危機を回避したイチロー海上の光を浴びてチェンジし、本当に、身も蓋もない展開が続きます(笑)
 基本、傍若無人系ヒーローのゼロワン/イチローなのですが、その足枷として用意された「太陽電池が機能しないと戦闘力10分の1で変身もできない」という弱点が致命的すぎて、極端な性能を突くと話も極端な展開になってしまうというのがどうにも扱いづらそう。
 一応このエピソード内では、ジロー変身不能の危機をイチローが救い、イチロー変身不能の危機をジローが救う、という形で見せてはいるのですが、どちらにせよ、戦闘不能のヒーローが特に機転を利かせて窮地を突破するわけではなく、もう一人のヒーローが力技で助けるだけなので、物語としての面白みは薄め。
 これがもう少し突き抜けると、笑うしかない面白さに昇華される場合はありますが、兄弟共演が早すぎて、傍若無人系としてはやや物足りないのが難しいところ。
 建設中のハカイダー基地に猛然と襲いかかる基地破壊ブラザーズに4タロスが立ち向かうが、既に格闘戦だと(以下略) 不死身の再生能力によって、傍若無人×傍若無人のヒーロー兄弟を相手に奮戦する青ワニだったが、卵カプセルの秘密にキカイダーが気付き、兄弟スローによってカプセルが破壊されると、どういうわけか藻掻き苦しんだ青ワニも爆死するのであった……!
 かくしてハカイダー部隊の、脱・無宿!計画は水泡に帰し、大ダメージを負った青タロスを回収した四人衆は、本日も去りゆくキカイダー部隊に向けて遠吠えするのであった。次回、ゾウリムシ、じゃなかった赤ムカデ出撃!!
 ……赤ムカデ、ムカデの意匠を簡略化していった結果、体の節と、足というかもはやトゲと化した突起物しか残っていない上にずんぐり体型の為、ムカデモチーフの怪人としてはいっそ斬新の領域。

◆第6話「魔術師対ゼロワンの秘密能力!!」◆ (監督:永野靖忠 脚本:滝沢真理)
 見所は、 基地破壊 誘拐された子供達を救う為に、平気でアキラ少年を囮に使うキカイダー兄弟。
 アキラ少年も割とノリノリで助けを求めるフリとかしているのですが、このままイチローに預けていていいのか、段々と心配になってきました。
 ボウガン使いの赤タロスが強化改造された(前回から、何やらそういう設定に)姿である赤ムカデは、誘拐した子供達を毒液培養の素材とし、大量に制作した毒液を用いたバイオテロによる東京攻撃を目論み、ストレートに、親の言いつけを守らないで一人で遅くまで遊んでいる子供は酷い目に遭うんだよ、というお話。
 怪しげな手品師や暗がりを強調した秘密基地に、培養槽に閉じ込められて苦悶する子供達など正攻法のスリラー演出が続き、現在に比べて遙かに、子供番組にそういう機能が、求められていた時代であったのかもしれません。
 地下基地に飛び込む基地破壊ブラザーズだが、太陽の届かない地下とギルの笛の音により、共にチェンジできない大ピンチに。
 「もはや、手段は一つだ」
 苦しむ二人がバロ○クロスすると、互いの体を電流が走り、腕を組んだ状態で二人はハイジャンプにより天井を貫通。
 「「ダブルチェンジ!!」
 ナレーション「ダブルチェンジとは、絶対の危機に陥った時、ゼロワンとキカイダーのボディがクロスし合って始めて発揮できる特殊能力なのだ」
 意味はさっぱりわかりませんが、両者の変身バンクや何故かイチロー兄さんの笑顔が交互にハイスピードで表示される映像が変な格好良さで、ナレーションの終了に合わせて地下基地に着地すると兄弟はチェンジ済み、そこにEDインストが流れ出す、という力技で、格好いいは正義!
 弟が赤ムカデの相手をしている間、ゼロワンは黒タロスの元に乗り込むと演奏を妨害し、ゼロワンアッパーの勢いで地面に落ちたギルの笛が火を噴いたけど、大丈夫か……。
 最後は新技・ゼロワンタイフーンによりムカデ毒針を逆に跳ね返したゼロワンが、ドライバーからプラズマエンドのコンボを決め、赤ムカデは大爆発。残りのカルテットは這々の体で逃げ去り、街に平和が戻った!
 『仮面ライダーファイズ』を見ている時に、ラッキークローバーのモチーフはハカイダー四人衆、と聞き知ったのですが、醸し出す強敵感があっという間に消し飛ぶところまで遺伝子が継承されてしまったのだな、と深く納得(笑)
 ナレーション「かくして、ハカイダー一味の毒液培養計画は、ゼロワンとキカイダーのダブルチェンジによって打ち砕かれた。だが、謎の美女リエコの正体は」
 どこからでも繋げてくるな!
 ナレーション「そして、アキラの握る重大な秘密とは何か。アキラと共に、イチローとジローはゆく。ハカイダーとの戦いの道を」
 ナレーションマジックから遠吠えするハカイダーカルテット(いつもの)でつづき、70年代前半的ではありますが、基本的にざっくりな『01』と、だいたいざっくりな滝沢脚本が組み合わさった結果、前回-今回と、ざっくりがオーバードーズ気味。
 特にリエコは脚本オーダー時点で詳細が明らかでなかったのか、如何にもとりあえず出してみただけという扱いになっており、いつも以上に存在が雑。それもあってか、砂浜で波と戯れたり、カメラマンに抱きつかれそうになって肘鉄を食らわせたり、と恐らくは演出の方で可愛げを付加してみようとしてみたのでしょうが、結果的に、キャラクターとしては更に迷子になってしまい、そろそろ何とかしてほしいところ。
 次回――いよいよ真の姿を見せる黒タロス@自称魔王は、世界征服の夢を守る事が出来るのか?!
 「おい知ってるか? 夢を持つとな、時々すっごい切なくなるが、時々すっごい熱くなる。……らしいぜ」