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キカイダーは帰りたい

キカイダー01』感想・第3-4話

◆第3話「帰って来たジロー キカイダー」◆ (監督:畠山豊彦 脚本:長坂秀佳
 ナレーション「太陽が没し、ゼロワンが残業を始めてから、既に8時間になる。定時以降のゼロワンの能力は、わずか10分の1しかないのだ」
 じゃなかった、
 ナレーション「太陽が没し、ゼロワンの前頭部にある太陽電池が動きを止めてから、既に8時間になる。太陽電池の作動しないゼロワンの能力は、わずか10分の1しかないのだ」
 両足を損傷したゼロワンは、アキラをかばいながら必死に逃げ回るが、遂にハカイダー部隊により発見されてしまう。
 「ゼロワンは、足がないも同然。これでは丸太だ。それ、丸太踊りを踊らせろ! はーははははは!」
 70年代らしい愉快な台詞と共にハカイダー軍団にいたぶられるゼロワン、絶体絶命の危機!
 「足は使えなくても手は使えるぞ! おまえ達が相手なら、両手だけで十分だ!」
 鞭の攻撃を掴み取り、体当たりで必死に食らい付くゼロワンの背後にボウガンの脅威が迫るその時、突如として立ちこめた毒ガス(ただの煙幕のような気はしますが、ハカイダー部隊の苦しみ具合が化学兵器に見えて仕方ない)がハカイダー部隊の視界を奪い、ゼロワンとアキラが姿を消すと、切なげな弦の音色が響き渡る。
 「ギター!? あのギターは?! 探せ! ギターを引いている奴を探せ!」
 トラウマを刺激されたハカイダーが岩の上に目にしたのは、白いヘルメットをすぽっと被り、どこか虚ろな視線でギターを奏でる一人の青年!
 「む、貴様はキカイダー
 「キカイダー?!」
 「ハカイダー! 貴様が生きていたとはな!」
 前作主人公の登場と共に前作の主題歌インストが流れ出し、条件反射で格好いいと思ってしまいます(笑)
 「ゼロワンを助けたのは貴様か?!」
 「だとしたらどうする!」
 「んぬ~、アキラを隠したのもおまえだな」
 「俺は子供に手出しする奴を許す事はできん!」
 第1話のイチローと重ねられているこの台詞、ヒーローの自由意志というよりはロボットのプログラムを感じるのですが、逆にいえば、これ自体が「ヒーローの証明」になっている、というのが時代性でありましょうか。
 サイドカーにまたがるや変身済みのキカイダーハカイダー部隊を蹴散らし、その間に足を修理しながら日の出を待つゼロワンに、遂に恵みの光がもたらされる――
 ナレーション「太陽の光を受け、ゼロワンの太陽電池が活動を始めた!」
 『01』主題歌が流れ始め、復活したゼロワンは背後からボウガンに狙われるキカイダーの窮地を助け、新主人公をただ助けられるだけにはしない作り。タッグを組んだ二人はハカイダー銀と青に怒濤の連続パンチを浴びせ、なんだか、映像だけ見ていると最終回手前のような展開に(笑)
 そして、青と銀が火を噴きながら動かなくなったけど……大丈夫?
 ハカイダー黒はたまらずバイクで逃げ出し、合流したイチローとジローは、アキラ少年をひとまず近傍の幼稚園に預ける事に。
 「木の葉は森の中に隠せ」
 「木の葉って何?」
 「ここなら奴らも、どれがアキラくんかわかりっこない」
 え(笑)
 ジローの頭脳回路に問題があるのか、ジローが去年戦っていた悪の組織の知能指数に問題があったのか、前作を見ていないのでわからないのですが、下手をすると、幼稚園丸ごと爆破の大惨劇になるのでは。
 「それじゃあ、ジロー」
 「兄さん」
 ごく当たり前のように兄弟認識で馴染んでいる二人は、カメラマンにアキラの事を任せると、二手に分かれてハカイダー部隊の行方を追い、ジローのGジャンも丈が半分なので、これは光明寺ブランドなのか。
 悪のあるところセンサーの赴くまま、適当にハカイダー戦闘員を蹴散らして回るキカイダー兄弟だが、一方のハカイダー部隊はアキラの紛れ込んだ幼稚園児をまとめて拉致する人海戦術に打って出……少なくともハカイダー戦闘員(アンドロボット)の頭脳回路は、ジローの認識通りのものだったようです(一般兵レベルでは、人間の顔認識が出来ない模様)。
 しかしその時、トランペットとギターの音色が響き渡り、兄の威厳を示す為、書き割りで物凄く高い所に立つイチロー
 キカイダー兄弟は次々と戦闘員を蹴散らしていくが、まさかの飛行ハカイダー戦闘員が投入されて激戦は続き、前作主人公参戦という事があってか、ダブルヒーローに群がる大量の戦闘員、という派手なアクション巨編の作りで展開。
 サイドカーに乗り込んだ兄弟はアンドロボット軍団を轢いて轢いて轢きまくると、ハカイダー基地へと突入。
 「よし工場を爆破しよう!」
 内部でアンドロボットの製造ラインを目にした兄弟は、あっさりと甦って立ちはだかるハカイダー達を軽々と投げ飛ばすと、今回も破壊ミッションコンプリート。
 「ぬぅーーーん、最新最鋭のアンドロボット工場までが、ゼロワンにやられるとは」
 「秘密兵器を開発中だったミドリガオカ基地、マジックレーダーを備えた基地に続いて、今回のアンドロボット工場基地を入れると、我がハカイダー部隊は、三つの基地をゼロワンに爆破された事になります!」
 戦闘員にツッコまれた!
 「うるさい! そのような事、いちいち言われなくてもわかっておるわ!」
 腹いせにその戦闘員を爆殺したハカイダーは、新戦力・幽霊ロボの投入を予告。一方、基地破壊ブラザーズもといキカイダー兄弟は、アキラを助けるもその秘密については口をつぐんだまま、またも姿を消したリエコを追う事を決め、その旅は続く……!
 糸の切れた操り人形のように無言でバタッと倒れたハカイダーが、基地へ突入するとあっさり復活しているのはホラー映画の不死身のモンスターめいてなかなか面白かったのですが、キカイダー側のリアクションが物凄く薄いのは、既に大量生産品と似たような認識なのか(涙)
 次回――吊される妹! 銀色のエビ! 次に壊されるのはどの基地だ?! 迫り来る基地破壊兄弟の恐怖に、ご期待下さい。
 ところで、サブタイトルの書き文字がやたらと格好いい今作ですが、予告ではどうしてあんなに素っ気ない丸ゴシック体なのでしょうか(笑)

◆第4話「怪奇!幽霊ロボット消滅!?」◆ (監督:畠山豊彦 脚本:長坂秀佳
 第4話にして、怪人ポジションが初登場。
 その名を、銀エビ!
 確か前作の怪人ポジションの名前が、「色+動物」だったのでそれを踏襲しているのでしょうが、それにしても銀エビ!
 三ヶ月前に、アキラと瓜二つの息子を交通事故で亡くした一家に近づいた銀エビは、娘を人質に、その母親に偽物のアキラ母を演じる事を要求。悪の謀略に巻き込まれ、たとえ嘘だとわかっていても情が移って……といった要素はほんとんど掘り下げられず(一応、言及はありますが)、忙しい展開に飲み込まれていくままで、ざっくり薄味。
 なんとなくイチローには懐くようになったアキラ少年も、「母親」という存在に対してなんの感情も見せないので、そもそもドラマチックにならず、なかなか物語部分が噛み合ってきません。
 まあアキラ少年、偽イチローに不審を抱いたり、旧知らしきリエコには最初から警戒をしなかったり、非常に勘が鋭い、或いは、何らかの非人間的超感覚を有しているような節があるので、偽母の欺瞞に最初から気付いていた、のかもしれませんが。
 アキラを狙う銀エビの回転攻撃・銀エビ機雷に苦しむゼロワンだが、とんでもない所(野球場のナイター照明?の上)に現れたジローの救援などもあり、囚われの少女を救い出す事に成功。母子の再会を喜ぶのも束の間、銀エビに追われたアキラは姿を消し、今回もアキラとイチローをストーキングしていたリエコは、ハカイダー赤青に捕まりそうに。
 リエコの窮地を救うゼロワンだが、ゼロワンがハカイダー部隊を蹴散らしている間に、ひとりでトラックで逃げ出すリエコ(笑)
 一方、寺の地蔵へのお供え物を失敬していたアキラには銀エビが迫り、駆けつけたゼロワンは本日三回目のゼロワンドライバーで、寺の境内は鉄くずの山だ!
 「銀エビ! 貴様はシルバーハカイダーだったのか!」
 「よくぞ見破ったなゼロワン。だが俺はこの姿で居る時は、10倍の強さにパワーアップされているんだ」
 今回、露骨にシルバーハカイダーが画面に居ないので早々にわかるのですが、ようやく怪人ポジションが登場したと思ったら幹部の変身(正体)で、ハカイダー四人衆は最初から常にクライマックスだぜ!
 アキラを助け銀エビの包囲網を突破するゼロワンだったが、それを目にしたハカイダー黒は、切り札として準備していたサタンダークネスの使用を宣言。空中高く飛び上がると、その背から漆黒の煙を撒き散らす。
 「死ねぇ、これがサタンダークネスだ。死ぬがいいゼロワン!」
 サタンダークネス――それは、黒雲によって強制的に就業時間を終了してしまう、恐るべき必殺技であった!
 ナレーション「ハカイダーのサタンダークネスによって、 タイムカードは押されてしまった。 太陽光線は遮断された。 もう家に帰りたい 太陽電池によって動く、イチローのパワーは、10分の一に低下する。この危機の中で、ゼロワンは、必殺・銀エビ機雷をどうやってかわすか?!」
 盛り上げるナレーションさんだが、キカイダーがサイドマシーンで黒雲を切り裂くと陽光が射し込み、あっさり解決(笑)
 太陽エネルギーを取り戻したイチローはゼロワンにチェンジすると、飛び蹴りから謎のポーズで発動する必殺ブラストエンドを放ち、直撃を受けて崖から転がり落ちた銀エビは大爆発!
 「シルバーハカイダー! 気を確かに持て!」
 「貴様の恨み、このブルーハカイダーが、晴らしてやるぞぉぉ!」
 早くもリタイアかと思われたハカイダー銀は崖下で赤青に回収され、意外と仲間意識のまっちりなハカイダートライアングルですが、掛ける声が完全に瀕死の相手へのそれで、果たして、今回は基地の代わりにハカイダーが破壊されてしまうのか?!
 ナレーション「ハカイダー部隊、銀エビの凶悪な野望は、キカイダー01によって打ち砕かれた。だが、みなしごアキラの両親を見つけ、幸せを取り戻すのはいつか。アキラの狙われる、重大な秘密とは何か。そして謎の美女、リエコの正体は。イチローはゆく、ハカイダー部隊との果てしなき戦いの道を――」
 ナレーションの名調子に合わせ、アキラを連れたイチローとジローはサイドカーで走り去っていき、今回も、それをバイクにまたがって見送るハカイダー…………四人衆、普通に揃っていた(まあ前回の使い回しなのですが)。
 「ゼロワンめー、例え銀エビ機雷が破れても、まだ我ら、ハカイダー部隊には、恐怖の青ワニが居るのだ。貴様の死ぬ日は近いぞ、ゼロワン」
 ……ええ……ハイ、なんとかなると、いいですね……ホント。
 登場前から出オチ気味の、ブルーハじゃなかった、青ワニの明日はどっちだ?! 次回も、ハカイダー四人衆のクライマックスジャンプにご期待下さい。