今、風邪をひいているわけではない
以前に、00年代以降の《スーパー戦隊》シリーズ17作品の、パイロット版/3-4話/最終回、の担当監督一覧をリストアップしてみた事があったのですが(■〔風邪の間に作った小ネタ〕)、その《平成ライダー》版。ひとまず、2000年の『クウガ』から、通しで見ている『フォーゼ』まで、13作品対象。
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『仮面ライダークウガ』 石田秀範/渡辺勝也/石田秀範
『仮面ライダーアギト』 田崎竜太/長石多可男/長石多可男
『仮面ライダー龍騎』 田崎竜太/石田秀範/石田秀範
『仮面ライダーファイズ』 田崎竜太/長石多可男/田崎竜太
『仮面ライダーブレイド』 石田秀範/鈴村展弘/長石多可男
『仮面ライダー響鬼』 石田秀範/諸田敏/坂本太郎
『仮面ライダーカブト』 石田秀範/田村直巳/石田秀範
『仮面ライダー電王』 田崎竜太/長石多可男/長石多可男
『仮面ライダーキバ』 田崎竜太/石田秀範/石田秀範
『仮面ライダーディケイド』 田崎竜太(1-3)/金田治(4-5)/石田秀範
『仮面ライダーダブル』 田崎竜太/諸田敏/石田秀範
『仮面ライダーオーズ』 田崎竜太/柴崎貴行/田崎竜太
『仮面ライダーフォーゼ』 坂本浩一(1-4)/※石田秀範(5-6)/坂本浩一
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パイロット版:田崎竜太(8)石田秀範(4)坂本浩一(1)
3-4話:長石多可男(3)石田秀範(2)諸田敏(2)渡辺勝也(1)鈴村展弘(1)田村直巳(1)金田治(1)柴崎貴行(1)
最終回:石田秀範(6)長石多可男(3)田崎竜太(2)坂本太郎(1)坂本浩一(1)
圧巻はやはり、『電王』~『オーズ』の5年連続含め、8回のパイロット版を担当している田崎監督。伝説を甦らせた『クウガ』メインの石田監督がそれに続き、実に『フォーゼ』を坂本浩一監督が担当するまでの12作品において、この二人のどちらかが立ち上げに参加する、という事になっています。
一方で3-4話には8人の監督が参加していて、17作品で6人だった戦隊シリーズとは少々趣が異っており、『クウガ』でデビューした鈴村監督、『電王』『カブト』でデビューした柴崎監督がいずれも、数年後に3-4話を任されている、というのは面白い共通点。
田崎監督が次作立ち上げに関わると自然におはちが回ってくるのか、最終回は石田監督がトップで、ついで長石監督。
長石・石田・田崎が初期《平成ライダー》演出陣の3本柱といえる中、唯一パイロット版を担当していない長石監督ですが、劇場版やパイロット版を担当せずに年間通してTV本編に参加している場合が多く、最終回担当3作品の他、『龍騎』『ファイズ』『カブト』『キバ』『ディケイド』でラスト一つ前を担当しており、最終盤に長石監督に残っていてもらえば何とかなるだろう、的なものはあったのかな、とも。
また、『メガレンジャー』や『ゴセイジャー』といった、この時期にスーパー戦隊で担当したパイロット版の出来があまりよろしいとはいえない面があるので、石田・田崎とはタイプの違う監督だったのだろうな、と。
なお、パイロット版と最終回を共に担当している作品が、石田監督は『クウガ』『カブト』、田崎監督は『ファイズ』『オーズ』、長石監督の場合は3-4話と最終回で考えると『アギト』『電王』で、なんとなく、3人ともイメージと合うような合わないような。
坂本浩一監督が第4話までを担当した『フォーゼ』の3-4話を除いた38項目中、実に28項目を長石・石田・田崎の3監督で占めてているのですが、裏を返せばパイロット版~3-4話、最終回までを坂本監督が担当した『フォーゼ』は、一つの区切り、シリーズにおける転機であった事が窺えます(次作『ウィザード』では、中澤祥次郎監督がパイロット版を担当)。
勿論この辺り、プロデューサーの問題も含み、実際、『ファイズ』までを一区切りに『ブレイド』-『響鬼』で一度、切り替えが試みられた形跡が見えるのですが、『ディケイド』における作品的区切り(長石監督は最後の《平成ライダー》参加作品)、『ダブル』『オーズ』という、「仮面ライダー」及び《平成ライダー》のリビルド的思想を持った2作を足場にした上で、『フォーゼ』というのが新たな未来を掴む志向を強く持った作品だった、という位置づけがスタッフワークの(ごく一部ですが)面からも見て取れるような気がします。
……まあ、個人的にはこの、『オーズ』~『フォーゼ』で顕在化されてくる、全体的な演出カラーの変化が肌に馴染まず、2010年代の《平成ライダー》作品は、見ては序盤でリタイアして……を繰り返しているわけですが。
そんなわけで、シリーズにのめり込む、という事から遠ざかって久しいこの頃ですが、『ゼロワン』立ち上がりが非常に好感触なので、期待を強くしています。