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全速前進急転直下

電撃戦隊チェンジマン』感想・第54話

◆第54話「ギルーク大爆発!」◆ (監督:山田稔 脚本:曽田博久)
 見所は、最強の宇宙獣士に飛び蹴りを入れる伊吹長官。
 「電撃戦隊基地を失った奴らは、もはや我が大星団ゴズマの敵ではございません」
 「ゆけスーパーギルーク! 地球を滅ぼせ! チェンジマンと、こしゃくな宇宙人どもを抹殺せよ! この儂に逆らった者の、哀れな末路を全宇宙の見せしめにするのだ」
 「ははっ。――ゴズマード、発進!」
 これまで遠征軍の本社ビルどころか社員寮ぐらいの存在感しかなかった母艦が地球に向けて出撃し、電撃戦隊に残った最終戦力であるシャトルベースと対比される、というのが今作らしい巧妙な構成。
 「嵐よ吹けぇーーーぃ! 雷よ落ちろぉぉーーー!」
 地球に乗り込んだスーパーギルークが大変盛り上がったところにかかるサブタイトル(笑)
 ひ・ど・い。
 Sギルークは宇宙要塞戦艦ゴズマードにより地表に大攻勢を仕掛け、雷雲をかきわけ立ち向かおうとするシャトルベースの見せ場! かと思いきや、いきなり機関室をやられて緊急不時着する羽目に。
 「生きておったかチェンジマン! だが、基地はなく、シャトルベースも使えずして、このスーパーギルークに勝てると思っておるのか?!」
 地上に降り立ったSギルークに立ち向かうチェンジマンは隕石落としの大爆発にいきなり大ピンチに陥るが、応援に駆けつけた伊吹星人がスペースビームで隕石を破壊し、前回の使い方は許容範囲でしたが、ラスト直前とはいえ、今回のこれは少々やりすぎ感。
 ゴズマードの空襲を受けてなんとか撤退した6人は、空中の敵への攻撃手段が無い事に歯がみするが、ゲーターが過去に不時着したままになっているゴズマ戦闘機の存在を思い出す。だが応急修理した戦闘機は出力不足で一人しか乗る事が出来ず、ゲーターと共にコックピットを確認していた飛竜は、ゲーターを追い出すとそのまま一人で飛び立ってしまい、思わずジーニアスワープでその後を追いかけるナナ……とこの辺り、52-53話と幹部退場回を気合い入れて盛り上げすぎた反動か、思い切りの良すぎる展開が続きます。
 「我が手にかかれば、チェンジマンなど他愛のないもの。ふははは、滅びゆく地球に乾杯」
 大気圏外から地球を見下ろし、背後にギョダーイが寝転がっているだけのブリッジで独り祝杯をあげるSギルークだが、戦闘機を操りこっそりとゴズマード内部に潜り込んでいたドラゴンがその背後から忍び寄ると不意打ち判定にクリティカルし、その剣は振り返ったギルークの心臓を刺し貫く!
 「油断したな、スーパーギルーク!」
 「おのれ、チェンジドラゴン……」
 戦闘機で奇襲を仕掛けて不時着させるとか、潜入して動力部を破壊して航行不能にするとかかと思っていたら、単身で暗殺を謀るというぶっ飛び具合に仰天しましたが……これ、前回、伊吹長官が電撃基地と共に死亡していたら、完全にオヤジの仇じゃぁぁぁぁぁ!!だったのか(笑)
 そして単身ゴズマ組に乗り込んだチェンジドラゴンは、仇敵ギルークを仕留めるも、組員(ヒドラ兵)に囲まれて大立ち回りの末、日本庭園に降り積もる一面の白い雪を真っ赤に染めて倒れるエンド(待て)
 そういう意味では由緒正しいカチコミを仕掛けたドラゴンは、ギルーク反撃のビームに吹き飛ばされるが、そこに飛び込んできたナナにかばわれ、混乱の中で地球に着陸したゴズマードから投げ出されるギルークと……ギョダーイ(笑)
 戦闘の最中に跳ね返ったビームが操縦装置を……的なくだりがカットされたりでもしたのか、かなり雑な成り行きなのですが、全てはきっと、宇宙要塞戦艦を落下させるついでに所有者の方を外に放り出す、高所墜落のプロフェッショナル・剣飛竜の匠の業前なのです。
 「なんて無茶な事を!」
 「だって……剣さんを失いたくなかったんですもの。……剣さんが死ぬなんて、あたし嫌!」
 要塞の中では、勢い余って飛竜を追いかけてきたナナが勢い余って飛竜に抱きつき、年増(シーマ)と腹黒(さやか)に負けるものか! とフルスイング。予想外に攻めてきて驚きましたが、最終回直前に敢えて描いてきたのは、ラストの布石になったりするのかしないのか。
 残りのメンバーはバズーの秘密を求めてゴズマードへ乗り込もうとするが、その前によろめきながらも立ちはだかったSギルークが、最後の手段として自ら宇宙獣士ギラスへと変貌。そこに飛竜が合流してレッツチェンジし、今回も伊吹・シーマの戦闘シーンをたっぷり描いた上にゲーターまで暴れ回る事で、「チェンジマン」だけではなく「反ゴズマ同盟」としての戦いに全体の構造がシフトしている事が、映像で補強されるのが重ねて秀逸。
 『チェンジマン』の世界観のスケールとも上手く合致する形で広げられているのですが、戦隊シリーズにおいて、最終的に戦隊を超えた枠組みで悪と戦う姿が描かれる所まで進む、というのはかなり珍しいでしょうか。
 伊吹・シーマ・ゲーターは、ゴズマードのブリッジに突入してナナと合流し、チェンジマンはギラスと激突。圧倒的なその攻撃に追い詰められるが、ドラゴンが抉った傷に5人一斉攻撃・アースフォース電撃ソードを直撃させ、そこから続けざまのズーカ斉発射そしてパワーバズーカでストライク。自ら獣となったギルークは木っ葉微塵に大爆発し、脊髄反射で光線を放ったギョダーイに巨大化されるのであった。
 家捜し中の伊吹達がブリッジの窓から迫り来る巨大ギラスを目にする、というカットが面白く、あわや皆殺しの寸前、シャトルベースの修理が完了してチェンジロボが発進。ギラスの二刀流と電撃剣で打ち合い、風車斬りから胸の傷口を突き刺すと、最後はサンダーボルトで真っ二つにし、今度こそギルークは最期を迎えるのであった…………?
 遠征軍司令官であり因縁の仇敵にしては意外とあっさり風味だったので、もしかしたら最終回にワンチャンスあるかも、とも思わせるギルーク/ギラスの最期でしたが、テーマ的にはアハメスと重なっている部分が多いので、ゴズマ側のドラマとしてはアハメスの最期で打ち止めにして、ギルークはバズーの前座として扱う、という事なのかも。
 その場合、ギルーク個人の情念が掘り下げられないまま終わってしまうのは大変残念ではありますが、ギルークに関しては、一度死に、怨霊として現世に戻ってきた時点で、既にかつての志を失った妄執の怪物でしかなかったという事でありましょうか。この辺りは、最終回後に改めて。
 なおスーパー化後、圧倒的な強敵として君臨し続けたギルークの足下をすくった大きな敗因は…………飲酒であり、勝つなら飲むな、勝つまで飲むな。赤い鎧のお兄さんとの約束だ!
 一方、ゴズマード内部では長官が隠しデータへのアクセスに成功するが、その途端、ゴズマードは宇宙へと飛び立ってしまう! チェンジマンシャトルベースで慌ててその後を追い、戦いはなんと、地球を飛び出して大宇宙へ! という衝撃の展開で、つづく。