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工事と事故

『騎士竜戦隊リュウソウジャー』感想・第12話

◆第12話「灼熱の幻影」◆ (監督:加藤弘之 脚本:山岡潤平
 注目は、
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 「マイナソーを生み出した人間がわかれば、あのマイナソーの弱点もわかる」
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 「でも、コウに助けられているのも事実だ」
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 「なるほど、消防学校の生徒を狙ったわけか」
 「ディメボルケーノの吐く炎にも耐えられるマイナソーを生み出す為に」
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 次々と台詞で積み重ねられていく既成事実!
 驚くべき突貫工事で、屋根の穴と床の穴と壁の穴にベニヤ板が打ち付けられていくのですが、設計ミスと物語の欠落により存在していなかった事象を全て台詞で「そうだった事にしてしまう」という、考えてもなかなか出来ない豪腕ぶりに戦慄。
 「俺達は信頼できる仲間だ!」(いや、その信頼の醸成が全く描かれていないのですが……)だとままある事故ですが、「俺達は信頼できる仲間でバンバは実は猫好きでメルトはコウを尊敬していてういちゃんのTwitterが凍結されました!」まで断定されると、カオスすぎて事故を超えた何かの領域に。
 ……もしかして今作はこの調子で、クールの終わりに全て台詞で「○○だった!」「××だった!」「△△だった!」と穴を埋めて既成事実化していくのか。
 全体の手法はともかく、前回に続いてコミカルタッチでキャラのやり取りの密度を高め、ドルイドンのアジト問題に触れたり、ティラミーゴとコウを絡めたり、バンバとメルトが会話したり、と痒いところに手を伸ばそうとする姿勢は好印象。特に7-8話では浮き加減だったワイズルーが、コミカルな演出を貫く事で世界観に馴染んできたのは良い感じ。
 また、素体の青年をういの「高校の後輩」とする事で、背景事情の調査時間を節約しつつ、ういの台詞も増やし、存在感を出す事にも成功しました。
 ういの情報から、消防士ではなく映画監督になりたかった青年の鬱屈がマイナソーを生んでいる事を知るバンバとトワだが、巨大マイナソーを止めようとした赤青桃の方では、ボルケーノへの嫉妬に狂うティラミーゴが暴走の末、まんまと幻影の罠に引っかかって同士討ちをしてしまう。
 炎が生じてから現れる召喚シーンが格好いいボルケーノだが、ワイズルーの仕掛けによるまさかのハニートラップに引っかかり、戦闘不能に。素体の性質から、マイナソーの能力が水蒸気への映像の投影だと突き止めた緑が、回りソウルで幻影を吹き飛ばすが、マイナソーの不意打ちを食らって、ボルケーノは哀れノックダウン。
 慌ててティラミーゴの元へ走った赤は、ふてくされて戦意喪失中のティラミーゴに必死に呼びかけ……
 「ティラミーゴ! おまえが一番に決まってるだろー!!」
 く、クズい……。
 10話分のあれやこれやを突貫工事で補強して回った今回ですが、さすがに、コウとティラミーゴの相棒関係が第3話以降ろくに積み上げられていない、という致命的に足りない柱を100円均一で買ってきた突っ張り棒で補うのは無理がありすぎた結果、仲間関係の先例もあるコウがますます「俺が一番信じているのはおまえさ」「おまえだけが俺とベストマッチ」など、その場その場で誰にでも(除くメルト)調子のいい事を言うクズ野郎、みたいな印象に。
 純真なティラミーゴは呆気なく転がされてテンションMAXで立ち上がり、ディメボルケーノと合体。炎の二刀流が格好いい騎士竜王ボルケーノは、マイナソーの幻影によって現れた巨大うい隊員&アスナ隊員に攪乱されるが、巨大メルト隊員をバッサリ(笑)
 まあそんな事だろうとは思いましたが……コウのメルトへの対応を素直に笑うには、もう少し幼なじみトリオの信頼感を描くエピソードが切実に欲しいです……。
 騎士竜王ボルケーノの都合であぶれている4人が、ただの棒立ち応援団になるのではなく、まずは青が渇きソウルで水蒸気を無効化、続いては黒が水蒸気を加熱する事で逆にホタテを茹でてやれとアドバイスを送り、敵の能力の特性を把握した上で、それぞれ対抗策を採り、それが勝利に繋がる(素体を探し出して能力の特性を調べた事に意味がある)というのは、この構成の中では大変良かったです。
 ひとり支援攻撃から除外されている分、他でアスナにポイントが入るシーンがあればバランスとしてはベストでしたが、それが無かったのが惜しい。なお、メルトとバンバが知力でアプローチしているのに対して、「高速回転して力尽くで霧を吹き飛ばす」だったトワは、やはり筋肉カテゴリという事のよう。
 仲間の助けも借りた騎士竜王炎はメラメラバーニングしてホタテマイナソーを打ち破り、この見せ方(強化形態が赤ソロバトル)自体はあまり好きではありませんが、今回に関しては上手くスキルソウルの見せ場に繋げていましたし、今後ファイブナイツとのバランスなど、巧く見せていってほしいです。
 「あのさ……目指せばいいと思うんだよ、映画監督!」
 Youtuber家では目を覚ました素体の青年の夢を無職Youtuberが励まし、あまりに近づきすぎたところを帰宅したお父さんに誤解され、と親子のシーンを描いてくれたのも良かったです。前回今回と、これまで手の届いていなかった部分に幾つも手を伸ばしてくれたのは良かっただけに、肝心な所もその調子で突っ切ろうとしたらやはりどうにもなるわけなかった、というのがつくづく残念。
 色々と補強工事の様相は窺えるものの、根っこの部分のやり方には変化がないので、これまでと同じ形で事故を起こす、というのは、引き続き大きな不安材料。
 戦い終えたリュウソウジャーが、いったい誰がボルケーノを復活させたのかを気にしていた頃、ハニートラップによるボルケーノの籠絡(やはり兵器に、知性や感情は不必要なのだ)に失敗するも、ショーを楽しみご満悦のワイズルーの帰路に現れる、通りすがりのウルっぽい辻斬り。
 「せっかく騎士竜の封印を解いてやったのに、あいつらにゲットされちまったかはははふふふふ……」
 「笑うな!」
 両者は激しく激突するが、お互いに武器を突きつけたところでその動きを止める。
 「……おまえがリュウソウジャーをまとめて始末してくれても良かったんだよ?」
 「それじゃあつまらない。エンターテインメントにはならん。だろ?」
 「……That's Light」
 「またいい情報があったら持ってきてやるよ」
 剣を下ろしてウルッぽい鎧は去っていき、拳を握り肩を震わせるワイズルー。
 「あれは……誰ですか?!」
 「彷徨う鎧――ガイソーグ」
 遂にスーパー戦隊最強バトルで先行登場していた困った鎧ことウルッポイゾが本編に姿を見せて、つづく。
 次回――果たしてドルイドンは、屋根のあるねぐらを手に入れる事が出来るのか?!