東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

急に暑くて頭があまり回っていない……

電撃戦隊チェンジマン』感想・第50話

◆第50話「ゴズマが震えた日」◆ (監督:山田稔 脚本:曽田博久)
 宇宙獣士にされたシーマの自我を呼び覚ました“望郷の歌”の威力を目の当たりにしたチェンジマンは、その笛の音を増幅して宇宙へ響かせようと考え、増幅装置を作る勇馬、そこに歩み寄る長官の背を背後から追いかけていくカメラ、という冒頭の映像がこれまでと違う緊張感が出て格好いい。
 「ワラジーの吹く曲は、星を奪われた宇宙人が、故郷を偲んで作ったものです。ゴズマにも聞かせてやれば、あんな連中でもきっと、故郷の星へ戻りたくなるでしょう」
 「うん。父ちゃんも今度こそ僕たちと一緒にナビ星へ帰る気になってくれるかもしれへんねぇ、母ちゃん」
 「そうやねぇ。そうなったらええなぁ」
 純真な少年が流してくれましたが、明らかにさやかの「あんな連中」の中に「父ちゃん=ゲーター」が含まれており、本質的なところで子供と距離感のある渚さやか!(笑)
 「これまではゴズマに攻められてばかりだったけど、この笛を武器に、俺達チェンジマンがゴズマを攻めるんです」
 虐げられ押さえつけられてきた人の心が故郷への想いという形で一つになり、恐怖によるゴズマの支配を揺るがす! という展開なのですが、少年が父親に貰った思い出の笛をにこやかに「武器」と言ってのけるのが、青春を捧げた野球を殺人の手段に変えられてとうの昔に魔道に堕ちた剣飛竜の発言だけに根深く深刻で、大変、チェンジマン(笑)
 白球に魂を込め汗を流していたあの頃の剣飛竜はもう居ない。
 戦争は、こんなにも人を変えてしまうのだ!
 チェンジマンは笛を吹くワラジージープに乗せながら走り回り、増幅された望郷の歌を耳にしたゲーターにギョダーイ(ここでギョダーイの存在も忘れないのが実に手堅い)、更にはシーマまでもが涙を流して望郷の念に囚われて立ち尽くし……やはりこれ、某家畜化光線の亜種なのでは。
 「こらぁ! しっかりしろ!」
 そんな中、前々回、心まではゴズマではない姿を見せるも、そもそも宇宙海賊なので善人というわけでもなく、望郷の念に同調する要素を持たないブーバが小悪党を貫くのが、良いアクセント。
 「アハメス、これはゴズマへの、由々しき挑戦だぞ」
 怒りのバズー様はアハメスにお仕置き光線を浴びせると、ジャンゲランを強制的に宇宙獣士化。二つの頭を持つ怪鳥ジャンゲランから、ジャンとゲランという二体の宇宙獣士が誕生し、地球守備隊の基地を襲撃する事でチェンジマンを分断すると、ゲーター、決死のダイビングアタック!
 「父ちゃんと、ナビ星に帰りたいんや……」
 「ゴズマが勝ったら帰れるんや! ええかワラジー、宇宙で一番偉いのは、星王バズー様なんやでぇ」
 「父ちゃん昔ゆうたやんか! 正しいもんは必ず勝つって!」
 「ええぃ、黙れぇ! 親に説教する気かぁ!」
 「ばかばかばか! 父ちゃんのばかばか! あほんだれぇ!」
 強引に笛を奪い取ろうとしたゲーターはワラジーと揉めると高圧的な態度に出てより頑なにさせ、ゴズマの地球侵略に協力し、割と破壊力のあるビームとか出しながらも、“家族への愛情”だけは本物として描かれてきたゲーターが、思うにままならない苛立ちを息子にぶつける姿が大変辛い(ゲーターの行動次第で故郷であるナビ星そのものが危機に陥りそうで、ゲーターが背負っているのは、家族だけではないと思われるのがまた辛い)。
 再びジャンゲランに合体する事でパワーバズーカを回避する、という荒技を見せたジャン・ゲランの挟撃を受けたチェンジマンは追い詰められるが、飛び込んできたゾーリーの毎度お馴染みピンクの球体でなんとか脱出に成功。だが、ブーバに脅されたゲーターから、笛を渡さなければ無差別攻撃を続ける、と最後通牒を突きつけられ、それを聞いた飛竜は、今回の作戦が親子の仲を引き裂いてしまうものだったと謝罪。
 作戦を中止し、責任を取って始末を付けてくる、と突撃を敢行しようとするチェンジマンをゾーリーが必死に引き留め、こんなピンクの着ぐるみと、心の通い合いが成立して見える積み重ねがお見事。
 「俺達は、いつもこういうピンチを切り抜けてきたのさ」
 呼び出しの場所に赴く5人だが、後を追ってきたワラジーが最後の機会と笛を吹き……しかしそれはもう、ゲーターの心には届かない。
 「ワラジー! 早く渡せ!」
 「もう父ちゃんじゃない! こんな笛ーーー!」
 あくまでも笛に執着する父の姿にワラジーは笛を投げ捨て、砕け散る笛――家族の絆の象徴。
 「もう父ちゃんなんかおらへん! 父ちゃんの、ばかやろー!」
 「ゲーター! よくもワラジーの最後の願いまで踏みにじったな!」
 家族を救いたいという思いが家族を破壊してしまった事に苦悶するゲーターは頭を抱えて走り去り、子煩悩な父親像、だけは確固としたイメージのあったゲーターが、戦争の荒波の中で身勝手な父親に転じてしまうのは衝撃的。そこに高笑いを被せる下衆ぶりの素晴らしいブーバがジャン・ゲランを召喚して、主題歌バトルへ突入する。
 ジャンとゲランの猛攻を受け、冷やされたり熱されたり忙しいチェンジマンだが、ドラゴンの挑発により隙を作ると、ジャンを爆殺。巨大ジャンのブレス攻撃で凍ってしまうチェンジロボだったが今回もフルパワーで脱出し、電撃剣とシールドを接続して閃光を放つ脳細胞破壊技から、サンダーボルト。
 ゾーリーとワラジーを探す飛竜達だが、二人は「これ以上迷惑をかけられない」と姿を消し……そのゾーリーの体に異変が? そしてゴズマから離れられないゲーターは、妻子に背を向けるしか出来ないのであった……。
 てっきり、反攻作戦からゴズマの支配体制に綻びが……と来るのかと思いきや、この局面で逆転の一手の失敗から一家離散続行、失意のチェンジマンのままつづく、という怒濤の連続もの展開。ぐっと盛り上がってきたところで次回――ナナちゃん再び。