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ゼロ・ゼロ・ゼロ・ゼロスター

電撃戦隊チェンジマン』感想・第47話

◆第47話「ゲーター親子の涙」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
 ナレーション「誰が吹くのか、不思議な笛の音が流れると、地震に似た、不気味な謎の震動が、起こり始めた。チェンジマンは、手分けして、その原因調査に取り組んでいた」
 笛の音をバックに、薄暗い映像、霧の掛かった暗闇の中に浮かび上がる影、と70年代ぽいスリラー調でスタート。笛の吹き手を追い詰めた勇馬だが、それはなんと、ゲーターの息子・ワラジー
 「僕はこの笛で父ちゃんを探しに来たんや!」
 ゲーターが作ってくれた笛を吹けば父が戻ってくれるのではないか……その純粋な思いに笛を取り上げられない勇馬だが、笛は突然現れたブーバにより強奪されてしまう。
 そして伊吹長官の分析により、観測される謎の地震波は超破壊兵器ゼロスターが起動する際の振動音と波長が一緒である事が判明。
 「ゼロス星というとても科学の進んだ星で作られた、星一つを完全に破壊してしまうと云われている、悪魔の兵器だ」
 ※独自の研究です。
 相変わらず謎の宇宙伝説に詳しい伊吹長官だったが、ゼロスターが地球にあるのは真実であった! ワラジーが吹く笛の音がゼロスターに反応している事を突き止めたアハメスは、笛を奪い、ゼロスターを起動させて地球人類全体を脅迫しようと目論んでいたが、ゼロス星出身の宇宙獣士も、シーマも、笛を吹く事ができない。
 貸してみろ、とシーマから笛を受け取ったブーバ、いざ吹こうとしたところでちょっと考え、咳払いの末に口を付けずにゲーターを問い質し、何故あなた、この終盤にきて萌えポイントを稼ぎますか(笑)
 その笛はワラジーしか吹けない作りである事を知りゲーターを恫喝したアハメス様は、床に落ちた家族写真を目に留めると、妖艶にして邪悪なスマイル。
 「ゲーター、子供に会いたいだろうなぁ」
 何故か地球に眠っているゼロスター、それと反応するゲーターの作った笛、後楽園ゆうえんちで再会したゲーター親子の背後を平然と通り過ぎていく人々(遊園地のキャラクターだと思われている……?)、と展開はかなり強引なのですが、強大な征服者の都合に振り回される民衆の悲劇、を引き裂かれた親子の姿で象徴する、というのが物語の積み重ねによりしっかり機能しているのは今作の強み。
 「思い出すなぁ……あの頃は、我が家も幸せやった」
 ゲーターはアハメスの指示によりワラジーに笛を吹かせ、それを止めようとする勇馬は、ブーバの妨害を受ける。
 「久しぶりの親子の再会じゃないか。野暮な真似をするんじゃないぜ!」
 しゃれっ気のある小悪党ぶりを見せ、本日のブーバは絶好調!
 獣士の攻撃に追い詰められる勇馬は、地球へ来ていたゾーリーの特殊能力に助けられ、ゾーリーからもゲーターを止めてほしいと頼まれるが、遂に海底から浮上を始めるゼロスター
 「わいは! わいはどないすりゃええねん!」
 命令と家族への愛の間で揺れるゲーターだが、ゴズマを裏切る事は出来ず、苦悩する着ぐるみ宇宙人(正直、不細工)と、それを見つめて立ち尽くすしか出来ない勇馬の姿が滑稽にならないのが、1年間の積み重ねの大きさです。
 ゼロスターを手に入れようとした獣士はさっくり爆殺し、巨大戦は、ゼロスターを挟んでの水中戦。獣士を水中サンダーボルトで成敗したチェンジロボは、ゼロスターを抱えると単独で平然と大気圏を突破し、ゼロスターを宇宙に投棄して地球爆発を免れるのであった!
 アハメス様が脅迫に使おうとしていたゼロスターが、途中から爆発寸前の扱いになったり色々と滅茶苦茶なのですが、伊吹長官の「このままでは爆発するぞ!」みたいな情報シーンがカットでもされたりしたのでしょうか。
 ゲーターはいつの間にやら宇宙船に戻り、ゾーリーとワラジーは家族を取り戻せる日まで地球に残る事を選び、ゲーターの事情に再びスポットを当ててくれたのは良かったのですが、ゲーター離脱などキャラクターの立ち位置を変えるところまでは進められなかった為に、悲劇性の再演に留まって、その先の「劇的な変化」が生じなかったのは、残念。
 家族への愛情を繰り返した上で、それでもゴズマの為に戦う事を選ばざるをえないゲーターの悲哀は増しましたが、ヒーローがそこに関与できないのも含め、やや中途半端な印象のエピソードになってしまいました。
 次回――今回の活躍は諸々フラグだったのか?! 宇宙海賊ブーバに、リストラの危機迫る!!