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エースの証明

電撃戦隊チェンジマン』感想・第24話

◆第24話「ギョダーイの家出」◆ (監督:山田稔 脚本:曽田博久)
 「大変や大変や! ギョダーイが家出したんやで!」
 「なに?」
 「ギョダーイが!」
 「家出?!」
 ある夜の事、静まりかえるゴズマ遠征軍指令船から突然ギョダーイが小型宇宙船に乗って脱走し……これは、家出という概念でいいのか?(笑)
 地球の商店街に出現したギョダーイは人々を追い散らし、あの着ぐるみで結構動いていて凄い。自動車やガードレールなどを貪り食うギョダーイだが、そこに駆けつけるチェンジマン
 「来たかチェンジマン!」
 「ギョダーイが喋ったわ!」
 一瞬、どういう設定だったか考えてしまいましたが、驚いて良い所でホッとしました(笑) まあ、声は明らかに西尾徳さんなのですが!
 喋るギョダーイは思わぬ怪力でチェンジマンを次々と張り飛ばすも4人一斉の蹴り技を受けて遂に地面に転がるが、なんとその体内から、ダンゴムシのような宇宙獣士が飛び出してくる!
 「宇宙獣士キーガ!」
 これは予想外の展開で、素直に面白く驚きました。
 そこへ雷光とともにマジカルアハメスが降臨すると、再びギョダーイの体内に獣士を寄生させる。キーガは寄生した相手の食べた物をエネルギーとして吸収する性質を持っており、全てはギョダーイを利用して強力獣士をチェンジマンにぶつけようという、アハメスの目論見であったのだ!
 「おまえはいつも変わった宇宙獣士を見つけてくるな。面白い作戦だ。好きなようにやってみせろ」
 ギルークとアハメスの変則二頭体制は、両者の作戦をどう特徴づけるのか、という問題があったのですが、「ギルーク陣営の困惑」を描き、バズー様から「アハメスの宇宙獣士は変化球」のお墨付きを与える事で、実際にどうかという以上に“そういう事”にして、差別化を固定。
 もちろん、映像などの説得力で見せられればそれに越した事はないのでしょうが、どだい毎週のTVシリーズでは限界もあるというのを踏まえた上で、子供向けのわかりやすさという部分も含め、語りすぎず、言葉足らずにもならず、どこまでを台詞で補強してしまうか(どんな台詞を置いておけば効果的か)のバランス感覚が優れているのは、今作の一貫した長所。
 地球守備隊の基地を襲撃したギョダーイは、打ち込まれたミサイルさえたいらげてしまい、救援にかけつけたチェンジマンの前には、順調に強化されて人相の悪くなったキーガが再出現。強化キーガのゴムボール爆弾を受けて怯むチェンジマンだが……寄生獣士の背後で消耗状態のギョダーイの存在に気付く。
 「今の内にギョダーイをやっつけろ!」
 ですよねー(笑)
 「なにー?!」
 機を見て敏な戦術判断力が売りのチェンジマンは、狼狽した獣士に赤がドラゴンキックを浴びせて引き離し、残り4人が一斉にギョダーイに襲いかかるが、ギョダーイは体から煙を吹き出すと逃走し、その体内に飲み込まれたミサイルが爆発しかけている事が発覚する。
 街中でギョダーイを倒すとライジングマイティしてしまうかもしれない、と伊吹長官の制止を受けたチェンジマンは、どんなショックで体内の爆弾が爆発してしまうかわからない、とギョダーイを遠巻きに追跡するしか出来ない状況を強いられ……地球守備隊の標準兵装への不信感が募ります(ギョダーイの体内で特殊な化学反応を起こして威力が増強されているのかもですが)。
 ギョダーイを追跡するチェンジマンの姿が少々コミカルに描かれ、それを見下ろすアハメスは、爆発でチェンジマンが消し飛ぶならギョダーイの犠牲など安いもの、と様子見に方針をシフト。
 アハメスの冷徹さを強調しつつ、寄生獣士の変則攻撃から爆発を防げというサスペンスに話の軸がスライドするのですが、アハメスの見立て自体、チェンジマンの生命力を甘く見すぎか爆発の威力を過大に見積もりすぎか、としか思えない為に劇中におけるリアリティが弱く、肝心のミサイルが一般隊員が普通に打ち込んだミサイル、というのが盛り上がりを弱くしてしまって残念。
 ミサイルそのものに特殊性(実験的な新兵器、など)を持たせるには尺が足りなかったのかもですが、物語を成立させる為の要素が抑えきれずに、プロットが散らかってしまった印象。
 「宇宙動物だって命ある生き物。仲間を懐かしく思う気持ちがあるなら、俺達とだって気持ちは通じるかもしれない」
 「どうやって?」
 「動物と意志を通じるには、 餌付け その動物になりきる事さ」
 ギョダーイを追っていたチェンジマンは、ギョダーイが鏡や水面に映る像に興味を示す事から、仲間を求めているかもしれないと飛竜が推測し、まさかのギョダーイコスプレでコンタクトを試みる事に。赤いフードをすっぽりかぶった飛竜の賭けが成功し、物陰で見守っていた4人もギョダーイコスプレを身に纏うと、本物のギョダーイを取り囲んで奇妙な踊りに興じ、面白いとか面白くないとかを通り越して、なんだか凄い絵になってきました(笑)
 そのままギョダーイを市街地から引き離して抹殺しようと考えるチェンジマンだが(「気持ちが通じる」とかメルヘンな事を言っていますが、5人の目的はあくまで、爆発被害が出ない場所までの誘導です)、そうはさせじと襲撃してくる獣士とアハメス。疾風達がレッツチェンジして足止めしている間に、飛竜と共に郊外まで逃走したギョダーイからミサイルが排出され、追いついたアハメスと獣士に向けて、手に取ったミサイルを構える飛竜。
 「アハメス! お返しだ!」
 チェンジミサイル!(遠投)
 剣飛竜は手掴みにしたミサイルをそのまま投げつけ、野球か、野球の魂なのか?!
 とにかく、剣くんは後でまた職員室まで来なさい。
 「キーガ! おまえはこれまでの中で一番卑劣な宇宙獣士だ! 正々堂々と戦ってみろ!」
 アハメスが魔法のステッキからヒドラ兵を召喚して主題歌バトルに突入し、チェンジマンが次々とヒドラ兵に連続回し蹴りを決めていく映像が格好いい。アハメスは火薬の量がちょっと笑っちゃう威力のサンダー攻撃から鞭による連続攻撃を放ち、その隙に再びギョダーイの中に入り込むキーガ、半魚人のような顔に強化されたキーガ究極体は強烈な爆弾攻撃を連射してくるが、チェンジマンは新技・パワーシュートにより5人それぞれのシンボルマークをエネルギーとして叩き込むと、そこからのパワーバズーカでフィニッシュ。
 突然の新技で逆転、というのは如何にもこの時代といった感ですが、『チェンジマン』基本、〔戦闘→風呂→訓練→パトロール→戦闘→風呂〕のヘビーローテぽいので、それはめきめきレベルも上がりましょう。
 どうするかと思われたギョダーイはあっさり寄生獣士を巨大化させると、こっそりと事態の推移を見守っていたゲーターによって連れ帰られ、「所詮は宇宙動物だったか……!」と吐き捨てるチェンジマンですが、仲間(?)より飼い主であった模様。
 まあ、あまりギョダーイに情を移すと、倒しにくくなるという事情もあるのでしょうが(倒さない、という選択肢もありえるとした上で)、或いは、ギルーク達はちょっと毛色の変わった「仲間」だと認識されているのでは(笑)
 巨大戦は、バルカンからさくっとサンダーボルトで片付け、帰路につく5人。
 「一時的とはいえ、ギョダーイと気持ちが通じたのよ。他の宇宙の動物とも、気持ちが通じるかもね!」
 ギョダーイを手なずけるのには失敗したが(そもそも、殺る気満々だぜぇ!だったわけですが……)、地球の生命以外ともわかり合える可能性はある筈だ、という視野の広げ方が実に『チェンジマン』らしい視点の置き方と接続で、今作は、こうすると『チェンジマン』的、という“型”が確立しているのも強みといえます。
 「ああ。大空くんなんか、あのー……ほら、ゲーターの仲間になれるんじゃないかい?」
 「うん……ゲーターね……ゲーター?! ちょっと、どういう意味だよ?!」
 で、ドタバタ追いかけっこが始まり、つづく。
 ギョダーイの突然の行動の理由は寄生獣士だった! という意外性のある発端は面白かったものの、ミサイル周りはどうもまとまりが悪かったのが残念でしたが、これまで扱いがいまいち不明だったギョダーイが宇宙「動物」とされたのはスッキリで、そこから搦め手のアプローチを試みる、という流れは面白かったです。
 単独のエピソードとしてはやや出来の落ちる内容でも、物語の世界観やテーゼがきちっと貫かれているので、毎回何かしらのストーリー的見所が存在していて楽しめる、というのは今作の見ていてだれない部分。
 次回――次の銀河のスターは、君だ!