東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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つらつらと雑文

『ルパパト』落ち穂拾い

 やり忘れていたネタ。
 「祝え! 全コレクションの力を受け継ぎ、時空を越え、過去と未来をしろしめす時の警察、その名もパトレン1号:サイレンアーマー!! 全ての悪を打ち砕く、ジャスティスモンスターが誕生した瞬間である」
 ……『ジオウ』、何話溜まっているのかもわからなくなっている状態なのですが、戦隊お祭り期間の内に視聴再開したい予定であります、ハイ。なんだか未来ライダー編とやらが挟まっているようで、アイデア的には面白そうだな、と見たいゲージが1目盛りぐらいは上がったので。
 『ルパパト』合間のCMで、マネージャーさんが結局変身するのは知ってしまったのですが、まさかの蛍光グリーン! マネージャーさんはかつて、全時空に愛と夢を届けようとしたアイドルであったのだろうか……。

 そういえばドグラニオが「好きにする」事を決めた後、ギャングラーの粛正シーン&コレクション回収シーンがあると良いなと考えたのは、そのシーンを入れておけば潜伏ギャングラーの可能性をなくして綺麗に終わる説得力を上げられるから、というのがあったのですが、本編は逆に、潜伏ギャングラーの可能性を残す事で状況を継続して、これはこれで目配りとしては納得。
 で、その視点を持ち込むと、実質的に組織を解体し、ゴーシュこそ切り捨てはしたものの、「好きにする」事を選んだドグラニオは、わざわざコレクションを回収しようとはせずに(元)配下達にも「好きにさせる」事を選んだわけで、ドグラニオの鷹揚さと懐の深さというのはかなり本質的な部分にあって、ボスはどこまでいってもボスであったと、思うところ。
 そしてそんなボスゆえにザミーゴの願いを聞き入れるわけですが、それはザミーゴ(と快盗)の自由を奪う行為であり、敵対者への嫌がらせとはいえ、「快盗の自由を奪って閉じ込めておく」というのは実は最もボスらしくない行為であったのもかもしれず、結果的にそれが敗因へと繋がった――そしてあのラストシーン――というのは、改めて皮肉な因果を感じます。
 ラストといえば、快盗が解放された以上、ドグラニオを生かしておく理由の大半が消滅してしまうわけですが、一方であの状況で改めて処刑するというのも幾ら凶悪な化け物扱いとはいえ心理的にはハードルが高そうで、やはりドグラニオ様は、薬漬けにされて国際警察地下で実験体としての余生を過ごす事になるのか……そして最終的に疑似ルパンコレクション<けも○のやり>を突き立てられて封印され、幾歳月――――石化したドグラニオの前に、国際警察戦力部隊メンバー・夜野灯利(あかり)が姿を見せる。
 次週新連載、『あかりとどら』第1話「あかり、どらに出会う」!
 ……すみません、そろそろ離れます。

 ネタ話だけで終わるとあんまりなので、各キャラについてつらつらと書き散らすと、ヒルトップとジムが純然たるサポート要員以上の掘り下げが無かったのは、その手のポジション好きとしては少々残念でしたが、ぎりぎりコグレ回を投げ込むので精一杯であったのだろうな、とは。
 結果的に今作、回収しきれなかった伏線かもしれないものを含めて、実は割と裏が無い、W戦隊の構造から明確に嘘をついている場合を除くと登場人物は意外と素直な気持ちを口にしている、作風になったな、と。
 裏と言えば、エアロビ回のおはぎ爆弾の電話の主は謎のまま終わりましたが、あれは大和屋さんが何となく投げ込んでおいたけど使われなかった伏線、という事でいいのか(残党の中に、中級幹部的に居て始末されたのかもですが)。
 圭一郎は大変良いインパクトのあるキャラクターでしたが、追加戦士登場前に警察戦士としてある程度完成させた上で、中盤にノエルに引っかき回され、快盗達の正体やVSチェンジャーの真実を知って壁にぶつかりそして乗り越える、という“たわんで跳ねる”部分が大幅に省略されてしまった感があり、最終章の魁利とのやり取りにまで圧縮されてしまったのは少し残念だった部分(やり取りそのものは大変良かったのですが)。
 これはつかさ先輩も同様で、中盤までに立てた「警察戦隊」の姿の、崩壊と再生、というのがホントはやりたかったけどやれなかった部分なのでは、と思うところです。
 3人の中では最も“化けた”といえる咲也は、最終盤に大きくスポットが当たりますが、これも咲也の場合、“公”と“快盗”ではなく、“咲也個人”と“初美花&友達”という「個人」の問題にスライドしてしまっていて(だからこそ私人として探りを入れる)、「警察戦隊」としての挫折からは少々ズレており……実は今作はこの、着陸地点に向けて少しずつズラしていく、という手管が非常に巧妙であったな、と改めて思います。
 勿論、そこにはどうしてもひずみは蓄積していき(結果、物語のサスペンションとしてのノエルが主な被害者となり)、最終的な着地点に関しては、スライドが許容範囲を超えてしまった、と見る向きもあるかと思うのですが、良くも悪くも、ロングスパンの伏線、ロングスパンの話のスライド、というのが今作の特色といえるのかなと。
 “夜野魁利の物語”としては、見たかったものは概ね見せて貰えて、完成度が高かったと思えます。
 透真は初美花パパ回を契機として未成年達への保護者意識が高まっていくのが面白かったですが、“婚約者の父”との一件を思い出す事で、初美花を心配する意識が強まる、というのは非常に納得の行く変化の仕方で、単なる悲劇のバリエーションではない“結婚を控えていた男”という透真の設定は、全編通して非常に効いたなと。
 根幹設定というのもありますが、“敬愛と劣等感のないまぜになった実の兄”勝利・“家族になる筈だった女性”彩・“子供の頃の自分を救ってくれた親友”詩穗、という三者三様の大切な人の設定は、魁利の圭一郎への感情、初美花が咲也を「他人の為に真剣になれる人物」として好感を持つようになる、という展開とも密接に繋がり、非常に良く出来ていたと思います。
 そういう点では、彩とつかさが親友だったりすると(この場合、つかさは透真にあまり良い印象を持っていない)、同じ人を失いながらそれぞれの道を行く二人の対比がクッキリし、終盤ちょっと困ってしまった透真とつかさの距離感も、別の形でスムーズに近付ける事が出来たかもなーとは。
 ……まあその場合、モテモテイエーイ回はさすがに出来なかったでしょうが(笑)
 ノエルについては、色々厄介でどうしても長くなるので、まあ大体、感想本文をご参照下さい(笑)

 ギミック関係については、W戦隊で最初からWロボ体制は難しそうだな……とは思いましたが、1つのコアパーツで両サイドのロボ、というのはやはりハードル高かったかなというのが正直。
 商業展開の不振にはビークル周りのパッケージングが良くなかった面もあったようですが、赤/1号のビークルをコアに双方コンパチのビークルでロボのバリエーションが成立するスタイルの方が、話は作りやすかったのではないかな、と。
 そうするとグッティどうするのか、という話にはなりますが……ノエル登場を前に急に好感度上げを図ろうとした感じがあるなど、実は一番巧く書けていなかったキャラは、グッティではないかという気が正直。
 商業上、押し出さないといけないものの見せ方やキャラの出し方にスタッフが苦慮し、結果的に悪い意味でベテランの声優さん頼りになってしまったという印象があります。
 上述した「登場人物は意外と素直」とも繋がるのですけれど、今作、W戦隊のVS構造かつ周辺に黒い思惑が見え隠れする世界観の割に、メインキャラに腹黒い存在が居ないというのがあって、これが戦隊シリーズとして“書けなかった”のか“書きたくなかったのか”はわかりかねますが、思い切って腹に一物あるキャラが混ざっていても良かったのかも、とは思うところ(後半まで引っ張ったコグレも、行動はともかく性質としては軟着陸になりましたし)。
 グッティがW戦隊の間を行き来するのも、コレクションを守りたい・グッと来た相手を助けたい、という善意がベースになっているわけですが、ここにもう少し、黒い思惑が混ざるとスパイスになったかもとは。
 これはノエルにも繋がっていくのですが、いっそノエルは、当初は本気で自分の目的の為に両戦隊を利用しようとしていたが、なんやかやあって3クール目の終わりぐらいに考えを変える、とかだとその「変心」をスッキリ劇的に組み込めたのではと思うのですが、ここでも、“ヒーローサイドには邪心の持ち主を置か(け)ない”という意識が働いたのではないか、とは見るところです。
 今作はそういう点では、あくまでも「戦隊の見せ方」にこだわるのが長所であった一方、「戦隊の見せ方」ゆえに突破しきれなかった部分があるのでは(両取り不能のどちらが良かったのはifにしかなりませんが)、とは考えてしまいます。そのアンビバレントというのがまさに、今作を貫くテーゼであったりするのですが。
 それ故に、多くのジレンマを抱えたまま舞台は回り続ける、というラストには、作品そのもののメタな姿を物語が引きずって混ざり合う面があったのかも、とは思ってしまうところです。

 総じて殺陣の面白かった今作、シールドを始め、大型武器路線の追加装備は結構好きで、特にクレーンは出番がほとんど無かったのが惜しまれる要素。ロボの追加武装ビークルとしてよりも、戦隊メンバーの装備品としての印象が強いのは、違う、そうじゃない、のかもしれませんが(笑)
 シールドを駆使して毒針ギャングに迫る、などは今作でも好きな戦闘シーンの一つ。
 ビクトリーレッドの予知能力の見せ方も、面白かったです。そしてそれを力でねじ伏せるデストラさん!
 ロボではVSXを“共闘の象徴”とする事で、巨大戦にクライマックスとしての意味づけを付加する、という手法は絶妙にはまりましたが、あまりにもはまったが故に、使い方の難しくなってしまったのは今作のまた厄介さではあり。まあVSXに関しては、着ぐるみ再現不能のデザインをフルCGでぐりぐり動かす事にしたので、当初から予算的に使いどころは限られていたのでしょうが。
 そういえば今作、第1話で思い切ってCGメインのルパンカイザーによる空中戦を描いたのは印象的でしたが、次作『リュウソウジャー』ロボが初回でどんなアクションを見せてくれるのか、また楽しみであります。
 そんなこんなで、とりあえず今回はここまで。なにぶん要素の多い作品だったので、またふらっと何か書くかもしれませんが、出来れば『リュウソウジャー』始まる前に、簡易構成分析だけはまとめておければな、とは思っております。