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開幕から大車輪

電撃戦隊チェンジマン』感想・第7-8話

◆第7話「悲しき宇宙獣士!」◆ (監督:山田稔 脚本:藤井邦夫)
 バズー肝いりで地球遠征部隊に派遣された宇宙獣士デモスは、バズー様の光線を受けると、地球人そっくり@ただし全身銀色タイツの姿に。
 戦闘員がホテルディナーを襲撃するなど夜の大都会で大暴れして子供達をさらい、立ち向かうチェンジマンだが陽動作戦にはまったドラゴンが本日も分断されてしまい、デモスと一騎打ち。
 「貴様、名はなんと言う?」
 と確認したのが
 「チェンジソード!(射撃)」
 の直後だったので、武器を打ち合わせて戦士の誇りを認めたとかそういう格好いいやつではなく……え? なに、地球人、この、戦闘外道民族?! という動揺の現れが疑われます。
 子供達を人質にされて武器を捨てたドラゴンはデモスにぐっさり刺されて、屋上から投擲される落下ダメージ(3話ぶり3回目)。バズーはデモスを銀色タイツ男に変身させ、さすがに銀色タイツを脱いだデモスは、地球人の青年・タロウとして、通りすがりに飛竜を助けた青年を装い、電撃基地への侵入を目論む……とシンプルながら、なかなか面白い二段構えの作戦です。
 プロデューサー気質のバズー様は演出にこだわって飛竜&タロウが基地へと向かう車を戦闘員に襲撃させ、その集団に生身で立ち向かう飛竜。
 「俺は必ず、地球を守ってみせる! 負けて、たまるか!」
 飛竜の地球を守る強い意志が改めて強調されながら激しい生身バトルが続き、仲間達が駆けつけて戦闘員は撤収。自分を救った上に、体からアースフォースを感じるタロウを電撃基地へ招きたいと主張する飛竜だが、4人のクールな反応に断念し、二人の男は沈みゆく夕陽を並んで見つめる。
 「綺麗だ……本当に綺麗だな」
 「ああ。俺は、この夕陽をいつまでも見ていられるように、地球を守る!」
 基地に戻ってもタロウの事が忘れられない飛竜は、長官のアドバイスでドラゴンに変身する事で、アースフォースに宿った残留思念?をホログラム映像化し、タロウの宿すフォースの中に古代の地球の記憶を見る。
 タロウの正体は、遠い昔に地球を訪れ文明を与えたアトランタ星人の子孫であり、飛竜が感じた「アースフォース」を「アトランタフォース」と称する事から、宇宙の数多の星に、それぞれ星の力が宿っている事が示唆されるのは、後の『星獣戦隊ギンガマン』に継承された気配を感じる要素。
 作戦であった筈の飛竜との接触により、かつて祖先が訪れた地球には今も故郷を同じくするアトランタ星人の血を引く子孫が生きている事、そして星を守る戦士の強い意志と誇りを思い出したタロウだが、バズーによりデモスの姿にされてしまう。
 デモスとシーマに挟み撃ちを受けながらもタロウの意識に呼びかけ続ける飛竜だが、一度は足を止めたデモスはバズーの言いなり光線によって凶暴化。仲間の危機に飛竜はやむなく変身し、哀しみを振り切る連続攻撃からパワーバズーカでフィニッシュし、本日の巨大化担当はチェンジマンの射程範囲の外という高い所に登場だ!
 ドラマパートがやや長めだった影響で巨大戦はいきなりミサイルから電撃剣でずんばらりんするのが、図らずも、一度決断すると割り切りの早い、当時のヒーロー性を加速します(笑)
 「タロォォォォォ!!」
 それだけに、最後にコックピットでドラゴンの絶叫が入ったのは良かった。
 侵略の尖兵とされていた悲しき宇宙獣士の真実を知ったチェンジマンは、形見となったペンダントを宇宙葬
 「さよなら太郎。バズーは必ず倒す。君はアトランタに帰るんだ」
 揃って「敬礼!」で見送るのが凄くチェンジマンで、今作は軍人戦隊という基本設定を置く事により、こういった描写のスタンスが物語として非常にハッキリしている為、要所要所でビシッと決まるのが、気持ち良い。
 ナレーション「チェンジマンは知った。星王バズーに地球が征服されたら、自分たちが、悲しい宇宙獣士にされる事を」
 ……強そう。
 ナレーション「戦え! 電撃戦隊・チェンジマン! 大星団ゴズマを、打ち破れ!」
 戦隊の尺だと話がまとまりきらない事が多い印象の藤井さんですが、事情と心を持った怪人(ポジション)との悲劇的な決着、というプロットがそつなくまとめられ、ある意味では視聴者に向けた語りである飛竜の意思表示がタロウの心を揺り動かす要素となり、『チェンジマン』の根幹にある、被征服者側の悲哀と綺麗に繋がったのは秀逸でした。

◆第8話「お嬢さんは吸血鬼」◆ (監督:山田稔 脚本:藤井邦夫)
 演出のローテ制が確立していない時期ではありますが、山田監督、既に6連投。
 痴漢と誤解されて剣道少女に竹刀で叩かれた勇馬は、その汚名を晴らそうと少女を探すが、少女はコウモリ獣士に吸血された事で宇宙吸血鬼と化していた! 獣士の遠吠えによる超音波を浴びると正気を失ってしまう女性達を、超音波シールドをかけた部屋に保護する電撃戦隊だが、それでは根本的な治療方法にはならない……。
 勇馬は悔しがる剣道少女を、「悔しいなら俺たちと一緒に戦うんだ」と囮に指名する(おーーーぃ)
 ……前回は、銀河を超えた戦士同士の交流が比較的綺麗にまとまっていたのですが、今回は、戦隊×女性ゲスト、というものの見事に藤井脚本が明後日に羽ばたくパターンが炸裂!
 勇馬は、敢えてシールドの外で超音波を浴び、吸血鬼化した少女がコウモリ獣士に呼び出されるのを尾行してアジトに突入し、わかった事は、ペガサスが一人で戦闘員に囲まれながら戦うと、画面が、激しく青い。
 怪人と吊られながら取っ組み合っている所に4人が合流し(ペガサスの無謀な単独行動っぽいのですが、その辺りも酷く曖昧)、激しい空中戦の末、パワーバズーカでフィニッシュ。巨大戦では、バルカン・ミサイル・謎のビームから電撃剣のフルコースで成敗し、一応チェンジロボの飛行戦闘もあるのですが、なにぶん、一番最初に空を飛んで出てきた事もあってか、初の空中戦闘とは思えないざっくりぶり(笑) まあこの時代は、ドッグファイトは分離時にやるから、というのもあるでしょうが。
 ゴズマの吸血鬼作戦は失敗に終わり、平穏を取り戻す少女と笑顔を交わすチェンジマン……ですが、吸血ビールスは地球の科学では治療不能であり、コウモリ獣士を倒したらビールスが消えたといった言及もないので、ビールスを発症させる超音波の発信源(コウモリ獣士)が倒されたからきっとOK、というのは戦隊史上でも割と珍しい解決手段でしょうか。
 次回――誓いの魔球。