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電撃戦隊チェンジマン』感想・第5-6話

◆第5話「ペガサス逮捕指令」◆ (監督:山田稔 脚本:曽田博久)
 「チェンジマンの剣飛竜! 大空勇馬を帰してもらうぜ!」
 地球守備隊最高司令官から召喚を受けたチェンジペガサス・大空勇馬が尋問の末に不条理な逮捕命令を受けた事に激昂した飛竜は、バイクで味方の基地に突撃……(ノーマル)
 そのまま廊下を爆走……(レア)
 そして会議室へ突入(Sレア)
 最高のシーンでした!(笑)
 「乗りなよ」
 超爽やかな表情で勇馬を回収した飛竜は、居並ぶお歴々に向けて堂々、所属と姓名を名乗るとバイクで走り去り、第5話にして身内に追われる身となった2人は仲間と合流。たとえ最高司令部が相手でも納得いかなければ反抗する、という独立愚連隊ぶりを見せつける電撃戦隊ですが、元諜報部員の麻衣が勇馬の隊服に盗聴器を仕掛けてきた事を笑顔で明かし、前回-今回と、女性陣が濃い。
 ところが当の勇馬は上層部に問い質された「結晶X」について覚えがあり、仲間の為に銃殺覚悟で日本支部を強襲した電撃戦隊の殺意は裏返って身内に向けられるが、そこに起こる激しい爆発が近い!
 一当たりして退却する宇宙獣士は、出自からすると水晶怪人なのでしょうが、造形の関係で折り紙のやっこさんに見えます(笑)
 「冷静になって考えてみりゃ、総司令官がなんの根拠もなくあんな事するわけないもんな」
 5人は基地に帰投し、ゴズマよりも前に、身内の処断を検討。
 兵士が指揮に一丸でないと、軍隊は万全の機能を果たさないのです!
 「さあ、何もかも正直に喋ってもらおうか。おい、大空」
 既に口調が仲間へのそれではなくなっている、拷問開始5秒前な皆の視線に囲まれた勇馬は仕方なく口を割り、空から降ってきた奇妙な水晶を拾い、将来の資金源にしようと隠していたという、どうしようもなさすぎる真相を白状。
 「俺、電撃戦隊を辞めたらトンカツ屋やりたいんだ!」
 勇馬に呆れつつ、話が出来すぎている事に飛竜と長官は疑問を抱き、もともと日本には孫娘マリアと観光に立ち寄っただけの筈の総司令官を尾行。ゴズマが巨大水晶焦熱作戦の為に結晶Xを必要としており、総司令官の孫娘を人質に取る事で上層部から圧力をかけようとしていた真相が明らかになる。
 「トンカツ屋を開くのは諦めるか」
 宇宙から落ちてきた水晶を売り飛ばそうとして上層部からの詰問にもしらを切り通していた、という実に最低な行動原理だった勇馬ですが、いたいけな少女が人質になっていると知るやさくっと切り替え、憎めないキャラ付け。
 電撃戦隊は勇馬が総司令を水晶の隠し場所に案内、敵の目を引きつけている間に手薄になったアジトを叩いて人質を救出し、誘い込んだ敵も殲滅するという作戦を立て、敵のアジトを奇襲。
 今日も「チェンジソード!」(射撃)が炸裂し、正面から派手にツッコんだドラゴンがブーバらを囮として誘い出している間に、マーメイドの操縦するBメカから元レンジャー部隊のグリフォンがアジトに降下してマリアを救出する、という流れるような連携が滅茶苦茶格好いい。
 初期戦隊の見せ方にはスパイアクション物の要素がありますが、ここでは特殊部隊物の魅力が、戦隊の作劇と見事な結合をしています。
 人質救出の連絡を受けた勇馬は結晶Xを隠した洞窟に獣士を誘い込むと変身し、フェニックスの操るCメカに乗り込むと、洞窟を爆破して結晶ごと生き埋めを図り、トンカツ屋の恨みを思い知れ!
 辛うじて這い出した水晶獣士はペガサス稲妻スパークでダメージを与えてからパワーバズーカで撃破。初お披露目の挿入歌で各メカの攻撃からアースコンバージョンしたチェンジロボは、プリズム光線に苦戦するも、肩からバルカンで吹っ飛ばし、スーパーサンダーボルトでフィニッシュ。
 かくしてゴズマの陰謀は阻止され、孫娘と共に電撃戦隊の基地を訪れた総司令は、全世界の地球守備隊による電撃戦隊へのバックアップを約束し、伊吹長官は大きなコネクションを手に入れた!
 孫娘と挨拶を交わす際、1人だけ腰をかがめて視線を合わせる女(の子)好きの疾風、という演技が細かいですが、明確な二枚目ポジション(三枚目要素もありますが)を演じている時の河合宏さんは、実に二枚目で眼福(総司令を尾行して真相に気付き、アジトの前で相談している時の表情とか非常に格好いい)。
 一方でどこか抜けた雰囲気を持ち合わせているので、後の八荒(『超人機メタルダー』)にしろジョージ(『特捜ロボ ジャンパーソン』)にしろ、話が進むにつれへたれ成分が上昇していく事になりましたが、果たして疾風はどうなるのか、というのは個人的な今作の注目点の一つです(笑)
 第5話にして、ゴズマが高官の家族の誘拐に手を染めた時は不安がよぎりましたが、
 バイク!
 トンカツ!
 生き埋め!
 と、畳みかけてくる80年代の勢いを堪能できて、大変楽しいエピソードでした。

◆第6話「狙われた女子高生」◆ (監督:山田稔 脚本:曽田博久)
 「宇宙獣士マーゾ!」
 「生きておったのか! わーはははははは!」
 遠征部隊を訪れた植物獣士(ワイアール星人似)の肩を叩き、笑顔で握手をかわすギルーク指令はホント、昭和の親分気質というか、昭和のプロ野球界に沢山居そうで……は?! それで、野球回なの?!
 「はははは。ギルーク様こそよくご無事で」
 「うむ。バズー様のお許しを得てな。今は遠征軍司令官よ」
 獣士と親しげに言葉を交わしていたギルークだが、顔を寄せると表情を改めて声を潜める、という変化の見せ方が渋く、これまで顔面金色中年だったギルーク指令に、一気に深みが増したのが鮮やか。
 「……アハメス殿はどうした。女王アハメス殿はどうした?」
 「わかりません。どこへ行かれたのか。生きておられるのかも」
 「そうか……しかし、何故おまえがここに」
 疑問を呈したその時、高笑いと共に姿を見せた星王バズーにより、ギルークはかつて、女王アハメスと共に大星団ゴズマに抵抗を続けた一大勢力の首魁だった事が明かされる。盟友アハメスの忠臣であるマーゾと共に一度はバズーの暗殺も目論んだギルークだが、それに失敗。今やゴズマに従う尖兵となった両者に、かつて自分の暗殺未遂に用いた呪術により、地球を征服せよとバズーは命じる。
 遠征部隊の士官が、いずれも過去に大星団ゴズマに屈した被征服者側であった事は第1話時点で示されていましたが、その中でも有力な指導者であったギルークは今もバズーに心から忠誠を誓っているわけではなさそうな事が暗示され、ゴズマ側に波乱の一石が投じられる事に。
 バズーはバズーで、辺境で再び牙を剥くも良し、忠節を証明するも良し、とギルークの腹の底を承知した上で敢えて遠征部隊を任せているようで、ギルークが早々に右腕を戦線に投入したのも、バズーが事あるごとに遠征部隊にプレッシャーをかけてくるのも、互いの駆け引きの産物であったという、第6話にして実に濃厚な敵勢力の掘り下げ。
 成功しても失敗してもバズーの得、と地球に送り込まれたマーゾは乙女座の女子高生に次々と憑依し、両手から伸びる植物のツタをひらひらとたなびかせた制服姿の女子高生が、幻想的な夜の街を駆け回りながら赤い種子をばらまく、というのが強烈な映像。
 事件を調査する電撃戦隊は被害者の誕生日が一緒という共通点を割り出し、
 「次に襲われる女の子もわかるはずだ。誕生日の同じ若い女の子なんて、もうそんなに居ない筈だ」
 と宣う長官が物凄い丼勘定なのですが、本当に残り一人だったぁ!
 ガード対象が通う「名門女子校」の響きに大興奮する疾風だが、女子寮にこのレンジャーを送り込むとグリフォン逮捕指令が出て怒りの飛竜が女子寮にバイクで突入しかねない為、女性2人(設定年齢は幾つなのだろうか)が護衛として女子高生コスプレで潜入する事となり、セーラー服と虚無僧は東映の伝統芸です。
 「お前達スケバンか……?!」
 丁度この年、メインライター杉村のぼる(杉村升)、演出陣に坂本太郎田中秀夫・小西通雄という、ドラマ版『スケバン刑事』(第1作)が放映されており、ほぼ内輪ネタでは(笑)
 「よしてよ。この顔、よく見てよ!」
 「まさか知らないとは言わせないわよ!」
 「は?! おまえ達は!」
 「渚さやか! チェンジ・マーメイド!」
 「翼麻衣! チェンジ・フェニックス!」
 から、2人が名乗りを上げて変身! というのは格好良かったです。
 男衆と合流して戦闘開始、白桃コンビによるダブルハリケーンソード(射撃)で痛めつけてから、パワーバズーカ。
 前回-今回は、巨大化した怪人が即座に攻撃を仕掛けてくるので巨大化担当に攻撃している暇がない、とそこはかとなく理由付けを増強し、巨大植物獣士のツタ攻撃を受けるチェンジロボであったが、腹からチェンジミサイルで反撃するとさくっとスーパーサンダーボルト。
 「アハメスよ……私はそなたが、生きておるものと信じておるぞ。この広い宇宙のどこかに、きっと必ず、いつか会えると」
 星の海に向けて呟くギルークの人間的な面が掘り下げられ、予想外に早い時点で、それぞれ事情を抱えた侵略勢力というゴズマ側の暗闘に触れられたのは、ここからどう転がっていくのか大変楽しみです。
 戦い終えた電撃戦は基地内のプールで一休みしており、どうして唐突に水着なのかと思ったら(まあ第2話は風呂でしたが……)体のあちこちにアザが出来ても、チェンジマンを辞めるわけがない、と女性陣が宣言し、近作ほど劇的なチームアップが描かれるわけではないものの、メンバーそれぞれの自発的な決意を補強し“青春を捧げる場”としてのチェンジマンを強調する、という構造。
 基本的には、軍隊に所属している上に、アースフォースという特殊な力に「選ばれた存在」ではあるわけですが、軍人だろうが戦場だろうが、そこに居るのはあくまでも「人間」である、というフラットな視点で戦士像が示されているのは面白く、「青春と戦い」というのは曽田さん(或いは鈴木プロデューサー)にとって思い入れのあるテーゼなのかもしれません(次作『フラッシュマン』は「奪われた青春」の物語とも見て取れますし)。
 次回――どう見てもスーパージャイアンツ。