東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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藤宮博也の筋トレチャンネル

ウルトラマンガイア』感想・第15話

◆第15話「雨がやんだら」◆ (監督:北浦嗣巳 脚本:右田昌万 特技監督:北浦嗣巳)
 その夜、速水市に不思議な雨が降り注いだ――緑の雨、人間を溶解する奇怪な生物、そして甦る死んだ動物……怪事件の取材に向かったKCBクルーは、現地で調査中のXIGを目撃。
 「まーた緑の雨まで根源的破滅招来体の仕業とか言い出すんじゃ」
 なんか、オカルトかぶれの胡散臭い組織扱いされている!
 XIGの鼻を明かしてやろうと意気込む玲子と倫文は、医療廃棄物の不法投棄現場と、地面に残された謎の粘液を発見。一方、エリアルベースで緑の雨を分析していた我夢のPCに突如、筋トレしている自分のアップ映像で割り込んでくる藤宮ぁぁぁ!!
 (何故か藤宮に向けて叫ぶのが癖になっているのですが、何がきっかけだったのか思い出せません)
 「根源的破滅招来体は、怪獣体だけとは限らない」
 自室備え付けの固定カメラの事情かと思ったら、自分にズームインする藤宮(笑)
 助けて藤宮。
 「絶好の宿主があの街に存在していたんだ」
 研究室で数字と睨めっこしているお前に、俺の激しい筋トレと! 崇高な筋肉の美を伝える! といつもより負荷を掛け、荒い息づかいの合間にヒントを伝えてくる藤宮と、チーム・ハーキュリーズの圧倒的密度に比べたら、モニター越しの筋トレ映像など、春の野に心地よく吹き渡るそよ風のようなものなんだよ藤宮、とそのアピールを平然と受け流す我夢の対比が、寄せては返す波のような面白さ。
 今回はもう、ここだけで3エピソード分ぐらい笑えたので、満足といえば満足。
 遙か天空で乳酸と糖質が火花を散らしている頃、不法投棄のルートを追っていたKCBは、世界初となるクローン心臓の移植術を控えた少女と、手術に使われるクローン臓器の研究者である矢淵博士と出会い、少女の身の上に同情を寄せる玲子の、引っ込み思案だった少女時代を振り返る形でキャラを掘り下げ。
 だがそのクローン臓器――博士の知らないところで不法投棄されていたクローン細胞――こそが、藤宮の指摘した「絶好の宿主」であり、緑の雨として宇宙から飛来した微生物が取り憑いて誕生した、モンスターの正体であった。
 その日の夜、増殖したモンスターに囲まれたKCBはXIGの地上部隊によって助けられ、我夢とKCBクルーが初顔会わせ。
 「さすがアルケミースターズで、XIGの高山我夢」
 「あなた達って……KCBだ! いやー、僕ってもう、そんなに有名なんですか?!」
 そのファーストインプレッションは、大変お気楽であった。
 ……気をつけて我夢! 業界の有名人かつ地上任務の多い君のマスコミへの対応如何で、「怒りの告発! 増大し続ける防衛予算の使い道は、最新鋭の筋トレ設備?!」「エリアルベースの食堂でタンタン麺を要求する呆れた実態!」「関係者F氏は語る。「プロティンの消費ペースが不自然」」とか、有ること無いこと書かれて、ネガティブキャンペーンされてしまうから!
 我夢の分析により、モンスターの粘液を浴びて溶かされた人間は、ドロドロのゲル状態でも生きている事が判明。我夢とKCBはお互いの持っている情報を擦り合わせて(というやり取りは尺の都合か存在しないのですが、ここは両者の関係性強化という点でも、会話があった方が面白かったかなと)、矢淵博士の元でモンスターの正体に気付き、博士は自らの研究が招いてしまった災厄に苦悶する。
 少女の事を心から思う博士は、悪質な処理業者の行為まで自らの責任として背負い込もうとする非常に善良な人物として描かれ、人の命を救う事もあれば思わぬバイオハザードの原因ともなりうる、科学の発展の二面性を最終的に左右するのは扱う人間の倫理である、という事を対称的に描写。
 堤率いる地上部隊は夜明けを待ってモンスターの巣に攻撃を仕掛けるが、その刺激によりマザーモンスターが巨大化。チームライトニングの誰かが電信柱アタックで撃墜された事でガイアは変身し、地上ではKCBが中継に突撃するが、地面に散らばる粘液人間を思いきり踏みつけていく田端と倫文に対し、そこに明確な人間の意志を見る玲子は座り込んでしまう。
 「これじゃリポートできないよー……!」
 田端たちは玲子を置いて先に行ってしまい、粘液人間の声に耳を塞ぐ玲子の背後に現れる、厚着をした藤宮。……藤宮、理想は筋肉でガードなのでしょうが、実際の役者さんはスラリとした細身なので、さすがに寒さが限界に達した模様。
 「染みにされた方が幸せなのかもな。いずれ人間は滅ぶ。その時になってじたばた足掻くより、染みのままの方が潔いじゃないか」
 「じたばた足掻いたっていいじゃない! 綺麗じゃない! 破滅招来体だろうが、植木鉢が落ちてこようが、人間死ぬ時はみんな死ぬんだから! でもね……人間は死を待つためになんかあるんじゃない。今なにをしようか、今どうしようかって精一杯生きていく。人間はその為にあるんじゃない」
 ガイアvs怪獣の戦いを見上げながら闇のポエムを嘯く藤宮に対し、立ち上がった玲子が生の尊さを説くのですが、あまりにも強引な説教モード。
 人類に対して虚無的な視点に立つ藤宮に向けて、「活力」の象徴として玲子がぶつかっていく、というのは第13話の関係性を踏まえているのですが、第13話が「何様か知らないけど、一つだけ言わせてくれる?! 人の存在理由って誰が決めるのよ!」という啖呵に集約されていたのに対し、キャラクターと長広舌がどうもアンバランス。
 エピソードにおける「難病の少女」というタームと繋げる事で説得力を付加しようとしてはいるのですが、その少女とのやり取り含めて、この台詞の為に玲子が急に「語る」キャラにされてしまっている、違和感が先に立ちます。
 また今回限りでも、取材対象に偉そうにリアクションの演技指導をして怒らせる・取材許可を取らずに立入禁止区域に入って怒られるなどが描かれており、マスコミの負の側面にも目を向ける意識はわかるのですが、正体を知っている粘液人間を事も無げに踏み越えていく、という「他者の尊厳を踏みにじる行為」はやり過ぎで、田端・倫文の人間性を必要以上に貶めてしまいました。
 それに続く玲子のヒステリックな反応も唐突になりましたし、そのヒステリーから説教モードに反転するというのも強引さを増してしまい、総合的に無理の重なるシーンに。
 「あんた見かけ若いけど、頭ん中そうとう老けてるよ」
 「ふん、次の時代を見るのは、俺だけだ」
 直後のこのやり取りも玲子のキャラクターが安定せず、それこそ肉付けの進んだのが第13話ぐらいからなので仕方ない面はあるのですが、こういう軽口の延長線上でぐさっと藤宮を一刺しする方が、まだそれらしかったかなと。
 病院では少女の手術が進められる一方、責任を感じていた矢淵博士がモンスターの唾液の分析から、粘液人間を元に戻す為の酵素を発見。連絡を受けた玲子は我夢を探すも当然見つけられず、藤宮からのアドバイスによりそれをガイアへと伝えると、ガイアは怪獣を殴り倒し、空から体内の酵素を振りまく事で、粘液状態にされた人々を元に戻すのであった。
 玲子が少女に語った「喋る」「伝わる」という要素がクライマックスに持ち込まれ、ガイアが玲子の言葉を受け止める(この双方向性がポイントであり、藤宮が持っていないものでもある)シーンは良かっただけに、玲子×藤宮のくだりの強引さが惜しまれます。
 二足方向するぶよぶよしたスライム、というグロテスクだが滑稽な怪獣のデザインを活かす狙いがあってか、筋トレ通信に始まり、一人称視点の盛り込み、怪獣に囲まれて逃げ惑うKCB、並んで一斉に振り返る堤と地上部隊、など物語はシリアスなまま映像でおかしみを与える、という演出のトーンも効果を発揮してはいたのですが、それだけにますます、玲子×藤宮のやり取りは浮いてしまう事に。
 この辺りは、脚本段階ではもっとシリアス一辺倒だったものを、産業廃棄物問題を絡めたヒューマンドキュメンタリー風味がくさくなりすぎるのを、演出サイドが嫌がったのかなとも邪推しますが。
 少女の手術は無事に成功して大団円となり、次回――今こそ語ろう、藤宮博也が筋トレに目覚めた日の事を。