東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

帝王は一人でいい

電光超人グリッドマン』感想・第21-22話

◆第21話「処刑!!夢のヒーロー」◆ (監督:村石宏實 脚本:川崎ヒロユキ)
 十字架に磔にされ、腕組みした巨大グリッドマンに見下ろされる悪夢で目を覚ます武史。
 「グリッドマンめ……夢の中まで僕を苦しめやがって!」
 いい感じの逆恨みからヒステリーを起こした武史が本棚をかき回すと、本がぶつかった表紙に妙にセクシーな枕のCMがモニターに映り、翔家のお茶の間では男衆が口を半開きにして同じCMに釘付けになっていた。
 巷で大ブームのこの枕を一家揃って導入する事になる翔家だが、台形の箱から伸びた電極を頭に繋いで「ぐっすり眠っていた」って、この枕自体に危ない匂いがするんですが!
 武史は、黒いボディの上に白い骨のような装甲を被り、両腕が鞭状、昆虫+甲殻類のミックスといった具合のデザインがなかなか格好いい幻覚怪獣を街中の枕のシステムに送り込み、終わりなき悪夢の世界に引きずり込まれた翔一家は、妙にリアルな夢の中で馬場家・井上家と遭遇。
 総勢11人のパジャマ姿という、なかなか見ない変な絵面で物語は展開。
 こんなに同じ夢を見るなんておかしい、とカーンデジファーの関与を感じる3人だが、夢の世界ではジャンクに行ってアクセス・フラッシュするというわけにはいかず、現実世界では必死に直人に呼びかけるグリッドマンからのGコールが鳴り響く、という二つの世界の錯綜は面白くなりました。
 夢の世界では怪しいピエロ軍団が「グリッドマン公開処刑」のチラシを配って回り、大変、小林義明です(笑)
 更にマスカレード武史とカーンデジファー様まで登場し、磔にされて鞭打たれるグリッドマンの姿に、声をあげる直人。
 「やめろーー!! それ以上グリッドマンを傷つけたら、この俺が許さない!」
 ゆかと一平からは、これは夢だと諭されるが、それでも直人は真剣な怒りを見せる。
 「俺は我慢できない。たとえ夢の中だって、グリッドマンが苦しんでいるのを黙って見てられるか!」
 「直人……」
 グリッドマンは俺たちの仲間なんだぞ!」
 4人のチーム意識を強調しつつ、通常、戦闘が始まるとグリッドマンに一体化してしまう直人の主人公度を、変則展開の中で補強してくれたのは良かったです。
 「3人で力を合わせて、グリッドマンを助けるんだ!」
 3人はピエロ軍団に立ち向かうも包囲網を突破する事が出来ないが、その時、グリッドマンの用いたグリッドキネシスによりグリッドマンの精神エネルギーがブレスを通して精神世界に送り込まれ、普段の戦闘とは逆の形でアシストを受けた3人は、グリッドパワーで夢の世界を脱出。
 目を覚ましてジャンクに駆け込むと枕のCワールドに突入するが、グリッドキネシスを使ってしまったグリッドマンは、いきなりエネルギータイマーが点滅する大ピンチ。今度はドラゴンフォートレスが送り込まれてダブルビームを怪獣の口に叩き込み、幻覚攻撃を使用不能にしたところで主題歌スタート。
 頭部への連続キックから鞭を掴んで逆に振り回し、攻勢に回ったグリッドマンは高度のあるブレーンバスターからのグリッドビームで怪獣を撃破。これによりシステムの修復された夢の世界では、磔から解放されたグリッドマンが、かなり長めの尺でピエロ軍団を鮮やかに叩きのめし、人々は悪夢から解き放たれて快眠を取り戻すのであった。
 翌朝、大地は鮮明にヒーローが活躍した昨夜の夢に大興奮。直人父もグリッドマンを格好いいヒーローとし讃え、普段Cワールドで人目に触れずに戦っているグリッドマンが、この件によって皆の無意識の中に“夢のヒーロー”として刻み込まれる、というのが終盤に効いたりしたら個人的に好きな展開ですが、さてさて。
 一通りのドラゴンウェポンが出そろう・Bパートの戦闘中に分割展開しない、という事でスッキリした構造にまとまり、直人のヒーロー度を上げつつグリッドマンとの絆も描き、戦闘もしっかり盛り上げる、となかなか面白かったです。
 次回――殺人ショベルカー!

◆第22話「復活!恐竜帝王」◆ (監督:村石宏實 脚本:平野美枝)
 桜が丘丘陵で新種の恐竜と思われるニホンティラノサウルス(仮称)の完全な化石が発見され、恐竜大好き少年だった直人は大興奮。
 「帝王だと? この儂以外に帝王はいらん!」
 「ふん、なにが最強の恐竜だ。僕の怪獣の方がずっと強いのも知らないで」
 「その通りだ。それを証明してやるのだ、武史」
 そして、発掘を進める吉原博士の「恐竜の帝王。最強の恐竜です」発言を耳にしたカーンデジファー様&武史も斜め上に大興奮。
 太古の恐竜への悪質クレーマーとして一致団結した2人は、大学のコンピューターをハッキングすると恐竜の公開データを滅茶苦茶に改竄。ドラゴンフォートレスの変形システムの参考にするべく、同じデータを閲覧していた直人と一平がこれに気付き、怒りを燃やしてハッカーに対抗しようとするが、ゆかにきつくたしなめられる。
 「なに言ってんのよ、2人とも! データを守る為だからって、大学のコンピューターに入り込んだりしたら、このハッカーと同じじゃない! 犯罪だわ!」
 ……え、貴女、つい最近レベルでも、スニーカーのPCを逆ハックして、リアル住所抜き取ってませんでしたか。


「探していたんです。実は我々も」
「取り上げてくれるマスコミを」
(『ブルースワット』)
 ばりの設定改変で、どこまで真面目に受け取って良いのか大変困惑します(笑)
 直人とゆかは発掘現場へと自転車を走らせて吉原博士にデータの改竄を伝えるが、武史は続けてネオメタラスをショベルカーの制御システムに送り込み、暴走するショベルカー。Gコールの呼び出しを受ける直人だが、化石を守る為にはジャンクへ戻っている時間はなく、決死の覚悟で発掘現場のコンピューターからアクセスフラッシュを試みる。
 「大丈夫? もしアクセスに失敗したら、コンピューターワールドを永遠に彷徨う事になるのかもしれないのよ」
 「心配するな」
 「だって……」
 直人とゆかがテントの中で見つめ合い、決戦に趣くヒーローとそれを見送るヒロインみたいな雰囲気が醸し出されるのですが、急に放り込まれた設定を既知の事実のように語られるので、これまた大変困惑。
 前回の内容も合わせて考えると、戦闘中に存在が消滅してしまう直人のヒーロー度を上げよう、という狙いがあったのかとは思うのですが、直人、幾らなんでも合体にリスクありすぎでは。
 そして今回、
 直人に手を引かれてショベルカーから逃げる・グリッドマンの勝利を祈る・ウインクを飛ばす
 と、テント以外でもゆかが正統派ヒロインムーヴを立て続けに繰り出し、これも恐らく直人のヒーロー度強化キャンペーンの一環なのでしょうが、ゆかの立ち位置はそこでは無い気が。ヒロイン性はヒロイン性であって良いのですが、ゆかのキャラクター的面白さは、通り一遍のヒロイン造形に縛られない、ナチュラルハイスペックな自首独立性にあると思うので、そこが削られてしまわないかは心配。
 また合わせて、一平のプログラミング能力がここ数話の間に急向上しているなど、幾つかの描写に補正の動きが見られるのですが、定着するのかどうなのか。
 決死の遠隔アクセス・フラッシュに成功する直人だが、そのフォローの為にグリッドマンは多量のエネルギーを消耗しており、今回ものっけから大ピンチ。ゆかから送られてきた標本データを参考に、一平がドラゴンフォートレスの変形システムを完成させて送り込み、遂にお披露目される恐竜ロボ・ダイナドラゴン!
 火炎放射器 → ジェットメカ → 合体戦闘機 → 変形恐竜ロボ
 と積み重ねて登場した恐竜ロボなのですが、散々リアル恐竜のバランスにこだわって完成させたのに、スーツがほぼ直立歩行で、物凄い台無し(笑) ディテール自体は凝っていて、歩きさえしなければ見栄えはするのですが。
 グリッドマンは恐竜ロボと怪獣を挟み撃ちにし、渾身のスローイングからグリッドビームでフィニッシュ。暴走ショベルカーは停止し、間一髪で貴重な化石は守られるのであった。
 変化球を一つ置いて、またもドラゴンメカの強化ギミック回でしたが、エピソードと繋げながら丁寧に1段階ずつ見せていく作劇とは裏腹に、何度やっても強化展開とエピソード内容が巧く繋がらず、今回もちぐはぐ。〔スペシャルドッグ→バリアシールド〕は飛躍しすぎたという意識があったのか、リアル恐竜の骨格を参考にするという段取りを踏むのですが、それ自体が今ひとつ、物語として面白くなってくれませんでした。初期は手探り感のあった再生・改造怪獣がいい感じのリデザインになっているだけに、惜しい。
 次回――漕ぎ続けろ一平!