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電光超人グリッドマン』感想・第20話

◆第20話「地球から色が消える?!」◆ (監督:北村義樹 脚本:新藤義親)
 本屋でマンガ雑誌を別のコーナーに持ち込んで立ち読みしながらバカ笑いする直人……君ももう、さいてー墓場行きだな!(私憤)
 主要男性陣がめでたく全員さいてー墓場送りとなる中、一足先にさいてー墓場に堕ちて手招きしていた一平は立ち読みしていた本からインスピレーションを得ると、ダイナファイターを強化する新たなアシストウェポン、合体戦闘機ドラゴンフォートレスを作成。
 一方、CGコンテストに応募した武史は、その選評会の中継を、ワクワクしながら見つめていた。
 「我が良き友等」
 と武史らしからぬ前向きなタイトルで驚いたら、その内容は、画面の向こうにぐいと邪悪なスマイルを向ける武史の周囲を、凶悪な面構えの奇っ怪な怪獣達が取り囲んだ上にサイケな色彩変化をするという、強烈な代物で、もうこのイラストだけで、今回は満足しました(笑)
 そして地味に、武史にとって怪獣=イマジナリーフレンドである、という事実が重いのですが、そんな14歳の作品に対して「性格暗いな、見ていて辛いぞ」(意訳)と評する審査員は、プロとして一貫したシビアな視線と捉えるか、TVに出してはいけないデリカシーの欠如と見るか、悩ましいところ。
 優勝間違いなし、と自信満々だった武史は怒りの形相で歯を剥き出し、すかさず顔を出すカーンデジファー様。
 「そうだ。怒れ、もっと怒れ! おまえの怒りが、あの愚か者に罰を下す事になるのだ!」
 逆恨み同盟の処罰対象となった審査員の名は、世界的CGアーティスト、ジロウ・ダイ。その正体は直人の叔父・翔大次郎であり、直人は一平を大次郎に紹介する事に。軽妙な調子の大次郎は親戚には気さくな一面を見せて一平達をオフィスに招き、翌日3人組は女性スタッフだらけの大次郎のオフィスを訪れる。
 特段キャラクター性とも繋がらないですし、大次郎のスタッフが女性だらけという描写の意図がいまひとつ掴めないのですが、何か当時、こういう感じの有名デザイナーとか居たのでしょうか……(笑)
 仕事が押して〆切りに追われる苛立ちを若い女性スタッフにぶつけて感情的に怒鳴りつける大次郎の姿を3人組が目にする、というシーンに恐らく悪意は全くなくて、当時としてはごく普通に、おちゃらけた感じだけど仕事には真剣、という大人のオン/オフの格好良さを表現する意図だったのかとは思うのですが(直人達が肯定的に感心しますし)、今見ると率直にどん引き。
 「せっかくこの世に生まれてきたんだもん。夢に向かって生きていかなきゃ。ね」
 そんな大次郎が一平に夢の大切さを語るシーンは、如何にも立派な訓辞を述べていますといった形でゆったりと間合いを取って演出されるのですが、だったら藤堂武史くん14歳の抱える薄暗さを汲み取って気に懸けるコメントの一つも出来なかったのか、と諸々の合わせ技で全く心に響いてくれず辛い。
 一平達に過去の作品を見せる大次郎だが、憎しみに燃える武史が大次郎オフィスにメカステルガンを送り込んでカラーパレットを破壊した事で、全てのCGがモノクロになってしまう。メカメカしさが格好いいステルス怪獣の破壊活動により、コンピューターから放たれた色覚破壊光線が世界に放たれ、映像がモノクロになってしまう、というのはなかなか面白い演出。いっそこれをもっと大々的に扱って、白黒の世界で起こる大混乱、みたいなものを描いても面白かったかもですが、さすがに本編の半分以上を白黒で展開するわけにはいかなかったか。
 白黒の世界で落ち込んだ大次郎を励ます一平と、Cワールドでの戦いを並行進行し、ドラゴンフォートレスはCGデザインのみならず設計プログラムまで一平がした事になって、この辺りはどんどんぐちゃぐちゃに(^^;
 2クール目における話のバリエーションの拡大作業と、サンダーグリッドマンからあまり間を置かずに新装備導入、のタイミングが被った事で色々と苦慮があったのでしょうが、ドラゴニックキャノンから一連の強化展開は、どうにもまとまりの悪いエピソードが続きます。
 送り込まれたドラゴンフォートレスの連続ミサイル猛攻は大迫力で、
 「おーのれこざかしいカトンボめ!」
 と、勢い余って台詞がちょっと富野化するカーンデジファー様(笑)
 合体からの分離を見せたドラゴンメカがひたすらミサイルを撃ち込んでHPを削り、弱った怪獣を連続で投げ飛ばしたグリッドマンがビームでフィニッシュ。世界には再び色彩が戻るのであった。
 次回――なんか、小林義明。