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とりあえず『ルーブ』追いつく

ウルトラマンルーブ』感想・第18-19話

◆第18話「明日なき世界」◆ (監督:神谷誠 脚本:勝冶京子)
 「さあ、ヒーローショーの始まりだ。今日は生中継で行くぞ!」
 滅亡の宣告された地球が宇宙人の間でホットな話題になり、実は宇宙人の間では大人気だった変Tシャツのデザイナーとして、クワトロMのオーナーである湊父が、地球人に偽装した宇宙人制作のドキュメンタリー番組に出演する事に……その名を、『情熱惑星』。
 普段から楽しんでいる作品なら話は変わりますが、そうでもない作品でこの手の飛び道具を用いられると、ひたすらきっついなぁ、というエピソード。
 「この映像は、全宇宙の視聴者が見ている。視聴者はみんな刺激を求めてるんだよ!」
 「そんな事の為に父さん騙したのか」
 「本物か偽物かなんて関係ないんだよ。人生はショーだ! 数字さえ取れればそれでいいんだ」
 「人の人生を弄ぶな!」
 「君たちが来てくれて助かったよ。これで視聴率が、跳ね上がるぞーーい!」
 愛染マコトを通してメタ要素を色々交えてきた今作で、TV業界に対する風刺的毒舌などを盛り込むと、メタネタの過剰供給で酸欠になりそうな上、ただでさえ強い内輪ウケ傾向がますます強まって、なーんかスタッフはゲラゲラ笑っているのかなぁ……と視線がどんどん冷め切ってしまうわけですが、個人的には120%肌に合いませんでした。
 そして、そんなメタギャグ回で出涸らしのお茶のようにトドメに使われるオーブ守護霊光線には、もはやオーブに対する悪意すら感じるのですが、今作は本当に、『ウルトラマンオーブ』/ウルトラマンオーブをどう位置づけたいのか。そもそも玩具関連の商業的要請ありきなのかもですが、今のところ先輩ヒーローの使い方としては、最悪の部類に入る印象。
 数多の宇宙人にとっては地球の滅亡も他人事でエンタメ、という宇宙的視点の織り込みなど光る部分もあり、ここまでの今作自体を好意的に見ていたらまた違う印象で素直に楽しめたかもしれませんが、どうにもこうにも、面白がる事が出来ませんでした。

◆第19話「善人と悪人」◆ (監督:神谷誠 脚本:武上純希
 外部からのハッキングによってサキを裏切ったダーリンが、地球爆破を阻止する為の社長暗殺計画を宣言。愛染が密かに建造途中だったキングジョーを起動すると、サキの元を訪れようとしていたアサヒを体内に捕まえ、この3年で4回目(ギャラクトロン@キャップ-メカゴモラ@レム-メカゴモラ@コマねぇ)の怪獣内部人質展開。
 「アサヒを助ける。私に協力しろ」
 兄弟はサキと一時的に共同戦線を張る事になり、劇中の珍発明といえばバイブス波観測セットぐらいのもので、これといってトンデモ天才キャラとして成立していないイサミが、国際諜報機関レベルのハッキングに対応してしまい、もはや別キャラ。
 そういうスキル持ちと言われればそれまでとはいえキャラターの連続性が感じられないのも度が過ぎますが、どうしてそうなったかといえば「“研究者としての湊イサミ”がほとんど掘り下げられていない」という明らかな問題点をずっと放置していたからであり、その挙げ句に真っ正面から落とし穴に飛び込む、というのはあまりに杜撰。
 イサミの場合、キャラ回の割り当てをイカロスお嬢様に持っていかれた、という事情はあるのですが、では今作がその後で何をしていたかといえば、“愛染マコトで遊んでいた”わけであり、そのツケを主人公の一方が払う事になっている、というのはどうにもいただけません。
 また、サキが命を賭けてまでアサヒに執着するのは、“お約束”で済ませるにはあまりにも積み重ねが足りず、今作のダイジェスト作劇が四方八方に悪い形で炸裂しています。
 ロッソがキングジョーを誘導・足止めしている間にイサミがダーリンのコントロールを取り戻し、キングジョー内部に飛び込んだサキがアサヒを救出。合流した兄弟は炎と水の同時攻撃でキングジョーの装甲にヒビを入れると、ウルトラ光輪ショットで大勝利。
 ここ数話にかけて随分凝っているミニチュアワークに加え、ビルにめり込むウルトラマン、後方から頭をぶち抜かれるキングジョー、などの映像は迫力と見応えがあったのですが、肝心の極フォームに、二人で一人な事になんの魅力も生じていないドラマ性の薄さには頭が痛くなります。
 本気でアサヒを助けるのに力を振るったサキに対し、どう接すればいいのか戸惑うルーブ極だったが、キングジョークリスタルを回収したサキは怪獣拘束光線をルーブにぶち当てて強制変身解除させ(え、何この最強攻撃……)、地面に這いつくばりながらジャイロに伸ばされるカツミの手をぐりぐりと踏みつけにする。
 「その汚い手で触るな! これはお前達のような偽物が持つべきものではない。これは私の……兄たちのジャイロだ」
 サキの「身内」とはどうやら、かつてのウルトラマンそのものらしいと明かされ、二つのジャイロを回収して去って行くサキの背中を呆然と見送る兄妹、でつづく。
 サキの昔語りによると、ウルトラマンの敵だとばかり思われていたグルジオは、むしろ1300年前に魔王と戦っていた勇者パーティーの一員だった、というのはちょっと面白い要素なので、なんとか浮上してくれるといいなぁ……。