東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

ぼくのPCには魔王様が住んでいる

電光超人グリッドマン』感想・第12話

◆第12話「怪盗マティに御用心!」◆ (監督:小中和哉 脚本:右田昌万
 「何者だ?! ふん!」
 見所は、藤堂家に入った空き巣を気合い一発、モニターの中から放った電光で撃退するカーンデジファー様。
 「馬鹿者め!」
 高らかに勝ちどきをあげ、カーンデジファー様、かっこいーーー!
 「カーンデジファー様、今の男は……?」
 「馬鹿者! 見知らぬ男を入れるとは、何事だ!」
 若い女の子がそんな事ではいけません! とか続きそうな勢いですが、これは一歩間違えると、電○文庫あたりから出ちゃうぞ、『我が家の魔王さま!』(著・藤堂武史)。
 自室に仕掛けた防犯カメラの映像を解析した武史は犯人の顔を割り出し、これで人格が真っ当なら物凄く有能な人物である事を久々に思い出させてくれましたが、『グリッドマン』世界ではコンピュータースキルの向上と人間としてのクズ度が比例するのが真理なので仕方ありません。
 カーンデジファー様に追い払われた空き巣の正体は、忍び込んだ家の金庫に、何も獲らずにクマのぬいぐるみだけを置いていく事で巷を騒がしている怪盗マティ。そしてその真の姿と目的は、ハッキング技術を活かして元々の防犯装置を無効化し、住人の危機感を煽ったところで自社のセキュリティシステムを売り込もうという、警備保障会社の営業マンであった!
 『グリッドマン』世界ではコンピュータースキルの向上と人間としてのクズ度が比例するのが真理です。
 馬場家もこの被害に遭い、ショックでソファに転がっている父の姿を見るや、
 「父ちゃんになんかあったんだ……父ちゃん!」
 と血相を変えて家に駆け込む一平、いい奴。
 今作ではそれぞれの家族がそれぞれの正義の背景に直結しているので、こういったシーンを挿入してくれるのは、良いところです。
 一方、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いマッチ一本テロの元、を行動原則とする武史&カーンデジファー様は、キャッツアイ警備保障のCワールドに磁力怪獣を送り込み、セキュリティシステムを書き換え。それにより、椅子からひっくりかえて頭を打ったゆか兄が、暴走した防犯システムがドアや窓に流す電流により、外に出られなくなってしまう。
 ……まあ、これが《レスキューポリス》シリーズだったら家が自爆するので、今回ばかりは、良心的だな武史&魔王(笑)
 怪盗に大事なサインボールを盗まれたと勘違いした一平は復讐に燃え、翔家に仕掛けた罠がどんぴしゃり。捕らえた営業マンの見苦しい言い訳を聞き流して警察へ引きずっていく途中でこの騒動に行き会い、自宅のセキュリティを開けさせようと、怪盗の胸ぐら掴んでひきずっていくゆか、『グリッドマン』世界ではコンピュータースキルの向上と(以下略)
 セキュリティの異常にカーンデジファーの影を感じたところでGコールが鳴り響き、アクセスフラッシュ。全身にカメラのストロボのようなものをつけた磁力怪獣の破壊光線を浴びたグリッドマンは、かつて耳にした事のないような悲鳴をあげて悶絶。
 井上家の玄関先では、営業マンが必死にセキュリティを解除しようとするも感電を繰り返し、室内では白目を剥いたゆか兄がぴくぴく……というのは映像が完全にギャグに振って描かれる為、どこまでタイムリミットサスペンスとして盛り上げようとしていたのかは、謎。過剰に描かないと間が持たなかったのかもしれませんが、個人的には冗長かつちぐはぐに感じてしまいました。
 グリッドマンの危機に、一平は営業マンに貰ったロボットの玩具から3つのオプションメカの合体を思いついて急遽ゆかがプログラムを組み上げ……ゆかが即興でプログラムを完成させるのは毎度の事として、なにもその場で思いついたのではなく、わざわざ3つもメカを作ったのは最初から合体ロボにするつもりだった、でも良かったような。
 最終的にマイルドに着地させる為に営業マンにポイントを稼がせる意図があったのかもですが、営業マンが変形ロボットで小学生女児(カナ)の気を引こうとするくだりはあまりに強引でしたし。
 なにはともあれ、ジェット・ドリラー・タンク、3つのオプションメカが変形合体し、ビックリするほどサイ○トロン総司令顔のサポートロボ、ゴッドゼノンが誕生。
 ジョイスティックで操縦されるゴッドゼノンは怪獣に真っ正面から立ち向かうと、ゴッドパンチ(いわゆるロケットパンチ)で磁力バリアーと角を破壊。奮闘の果てにエネルギー切れを起こすも、その間に力を溜めたグリッドマンのグリッドビームにより怪獣は撃破されるのであった。
 Cワールドの正常化により井上家の玄関扉は開いてゆか兄は医者である父に救出され、自身こそ怪盗であると口を滑らせた営業マンも己の罪を認めて逮捕される事に。
 「ゆかの兄貴、異常なかったんだ?」
 「ま、普段からおかしいけどね」
 と、辛辣な一言に、一平のサインボールを無断で拝借したのは、露骨に誤魔化す素振りを見せていた腐れ外道妹だった、でオチ。
 ゴッドゼノン誕生のくだりをスッキリさせればもっと面白かったと思うのですが、余分な段取りを足してしまった印象。ゲストの好感度が高ければともかく、率直にかなりの下衆野郎なので、ゲストのお陰で……というのが劇的な面白さ(見ていての嬉しさ)に繋がらず、仕掛けが空振りになってしまいました。
 ミリタリー系の専門雑誌を参考にオプションメカを描いてしまう一平が、子供のおもちゃから合体ロボを閃く、というのも今ひとつスッキリ繋がりませんでしたが、考えてみるとバリアシールドはスペシャルドッグからの連想でしたし、日常からのインスピレーションや視聴者目線とのシンクロという観点でいうと、むしろ間に挟まったオプションメカ3つの方が、連続性を崩してしまった、と見た方がいいのか。
 次回――更なる力を纏う時!