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一週遅れジオウ

仮面ライダージオウ』感想・第4話

◆EP04「ノーコンティニュー2016」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:下山健人)
 エグゼイドvs魔王&俺の戦いにタイムジャッカーが介入。再びおじさんをアナザーエグゼイドにするとエグゼイドの変身が解除され、パイロット版ではだいぶわかりにくかった、アナザーライダー×オリジナルライダー×変身者、の関係について補強。
 劇中では“ライダーの力”と称されていますが、どうやらライドウォッチが奪い取り、移し替えているのは“ライダーであった時間”という事なのか?
 ……まあ、“ライダーであった時間”を奪い取れるという効果の大きさの割に、その辺りの一般市民と契約するだけでライドウォッチが出てくるという点は、謎と同時にバランスの悪さを感じますが。
 「医者が救ってくれないなら、俺が救うしかない」
 ソウゴ達との協力を拒否したエムが行おうとしていたのは、心臓の疾患で倒れた息子を救う為、移植に適した心臓を見つけようと似た体格の少年達を意識不明にしていたアナザーライダー(少年の父親)の説得であり、アナザーライダーを“倒す”のではなく、アナザーライダーが生まれた原因を“治療”しようとするというのは、キャラクターの特性が綺麗に繋がりました。
 2016年に跳んだゲイツが腕力とストーキングで事件を解決しようとする一方、ソウゴはエムの真意に辿り着く知性の閃きと物分かりの良さを見せるのですが、初対面の年長者に向けて全方位に「あんた」呼ばわりなのは、引き続き好感度が上がりません(^^;
 少年マンガの主人公的アクセントとはいえますし、見せ方次第の要素ではあるのですが、細かい常識に囚われない型破り、みたいなものが常磐ソウゴというキャラクターの魅力に繋がっているのかというと、あまり噛み合っていない印象。そもそも隣のゲイツ(とツクヨミ)が型破り担当なところはありますし、いっそソウゴは、他は比較的まともなのに「王様になる」の一点突破で物凄くオカシイとかでも良かったような。
 「民を救うのって――王様の役目だろ」
 ソウゴは自分が誰かの為に戦う理由として王様宣言し、ああつまり、王たる者が下賤の民草どもを敬う必要なしという事だったのか今までの態度(笑)
 エムからエグゼイドウオッチを受け取ったソウゴは、割と脈絡なくイグアナロボで襲いかかってきたウールを蹴散らして2016年に跳ぶと、エグゼイド2016がアナザーエグゼイドにダメージを与えているのを見て、アナザーライダーにはオリジナルライダーの攻撃が有効な事に気付く。
 「辿り着いたね。我が魔王。覚えておくといい。ライダーには、ライダーの力」
 冒頭の展開に続いて今作のルール面を補強し、パイロット版でとにかく並べるだけ並べた設定を重ねて説明する形で掘り下げ、4話かけて2サイクルで今作の基本構造を示す、という構成は悪くなかったと思います。1-2話の出来が、思ったよりも地味になってしまった感はありましたが。
 「祝え! 全ライダーの力を受け継ぎ、時空を越え、過去と未来をしろしめす、時の王者。その名も仮面ライダージオウ:エグゼイドアーマー。また一つ、ライダーの力を継承した瞬間である」
 マネージャーの朗読に応え、ハンコと化してしまった両手を振るエグゼイドジオウ。
 「ノーコンティニューで!」
 「なんかクリアできる気がする!」
 1-2話では戦兎に耳打ちされて、うさぎさんがちょーん、がありましたが、今回は横に並んだエム先生が笑顔で決め台詞を促し、先輩が後輩の背中を押す構図がメタ的な爽快感も含みつつ物語の中に収まってアナザーとの決着へ、というのは綺麗に盛り上がり、気持ちの良いクライマックス。
 そんなわけで、今作の楽しさはここ、というのをスッキリと見せてきた印象の3-4話ですが、一方で主人公たるソウゴは話の都合の良いように様々な主人公属性をパッチワークしたような造形なのは、個人的には引っかかる点。
 手法としてのパッチワークそのものが悪いわけではないのですが、やたら物分かり良くエムの真意に辿り着くまではともかく、その勢いのまま、ツクヨミゲイツを信じているから「魔王」と判断して殺されるならそれはそれで納得、まで言い出すと、人間というより人形めいてしまい、パッチワークが描き出している紋様がいびつに思えます。
 事故というよりは意図的な(或いは、意図的に掘り下げを放棄した)仕掛けには見えるので、どこかでキャラの魅力に転じてくれると良いのですが。
 かくしてジオウはマネージャーさんの期待通りに全時空トップアイドルへの階段をまた一つ登り、次なるステージは……天ノ川学園?!
 「次のレジェンドはすぐそこに――」
 で大杉先生が大写しになったら面白かったのですが、そんな事は無かった。
 さて、ちょっと気になる出所不明の謎アイテム・ライドウォッチですが(補完計画とやらで解説されているかもしれませんが)、今回までの描写を見る限りでは
 〔タイムジャッカーが契約者に埋め込む → その世界のライダーの力を吸収して(?)アナザーライドウォッチとなる → ジオウがアナザーを倒す → 空のウォッチを回収 → その場でレジェンドに渡す → ライダーの力が蓄積して(?)変身ウォッチに → 未来(現代)でソウゴに渡す → ジオウがアナザーを倒す → ……〕
 というメカニズムでしょうか……タイムパラドックス要素を入れているのは故意だとは思いますし、この辺りの理屈の厳密さに関しては割とどうでも良い方なのですが、願望も含めた予測として、もしかしたら今作、後半は“返す物語”になったりするのか……?
 前半分でライダーの力を集め(物語を奪い)、折り返しで転機があって、後半はその物語(象徴としてのライドウォッチ)を返していき最終的に“ただの”ジオウに至る……とかだと割と好みの展開になるかも。……まあ、後半の強化展開などを考えると無さそうかなとは思いつつ(笑)
 諸々のザル加減に関しては、作品の方向性、という事で個々の好き嫌いは別として流せるにしても、「物語が消える」事に関してはどうしても引っかかるので、何か意味や仕掛けや解決策が予定されているのだと願いたいです。