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花と先生と太公望

ウルトラマン80』感想・第33-34話

◆第33話「少年が作ってしまった怪獣」◆ (監督:湯浅憲明 脚本:阿井文瓶)
 OP映像が大幅に変更されて、花の咲き誇る公園を駆けたり花を見つめてニヤニヤする矢的先生の姿にえらく尺を割き、いったいどこを目指して……と思ったら、後半はひたすら、津波、爆発、暴風、の怪獣災害が大写しにされ、『80』のウリといえばウリですが、肝心の80の姿が見当たりません。
 ……あ、ラストは、光線銃を構える矢的先生3連発で、僕が! モテモテの! 主人公です! と、なんかそれらしく締めました。
 病院近くの夜空に巨大な怪獣が浮かび上がるが、UGMのレーダーなどには全くその存在は検知されない。城野と共に病院を訪れた矢的は、難手術を控えるも健気に振る舞う少年が、内に抱えた強い恐怖心から怪獣騒ぎを起こして手術日を引き延ばしている事に気付くと、その病室を訪れる。
 「怖くないものに向かっていく。それは当然のことじゃないかな。怖いものに向かっていく。それが本当に勇気のある事じゃないかな」
 「ウルトラマン80なんかも、怪獣が怖いのかな? 怖くても、向かっていくのかな?」
 「そうだと思うよ」
 大変心配していたのですが、美人ナースに鼻の下を伸ばす事もなく、矢的先生にしては極めて真っ当な説諭が飛び出し、何故、学園で、それが出来なかったのか。
 本当の勇気を諭され、手術に立ち向かう事を決意した少年だが、病室で手慰みに作っていた自作の怪獣に謎の光が入り込むと巨大化してしまい、ぼくのかんがえたさいきょうのかいじゅうは、設定通りに攻撃を受けるほどに強化されていく!
 防衛軍の戦闘機が次々と撃墜され、火炎放射を浴びた矢的は、海中に転落から80へと変身。
 設定通りの倍返しを受けまくって危機に陥る80だが、胸のパーツが外れやすい、と自作ゆえの作りの甘さも怪獣にそのまま継承されており、少年のアドバイスで胸部を攻撃する事で、逆転勝利。少年の手術も、無事に成功するのであった。
 ……なにぶん阿井脚本なので、80がぱーっと奇跡を起こして少年を救ったらどうしようかと身構えていたのですが、それが無くて一安心。
 ただ、怪獣撃破→手術開始→謎の光の正体は「怪獣の魂」だったと説明される→手術成功! は物凄くリズムが悪く、怪獣の原因となった謎の光が正体不明のままなのも確かに据わりが悪いのですが、何故そこに説明を挟んでしまったのか。
 時々出現しては物などに入り込んで怪獣化する「怪獣の魂」とやらも強引にひねり出した感が凄いのですが、『80』初期設定ならば、手術を控えた少年の脅えやストレスがマイナスエネルギーを生んで玩具に乗り移った、で成立しそうなところを、その設定は消滅したので……と、途中から強引に軌道修正したような印象。
 そんなわけで、どうも最後まで締まりきらないのはいつものパターンながら、自作系怪獣のグロテスクな造形は印象的で、悪くないエピソードでした。
 お花畑回はノーブレーキで岸壁からダイブしましたが、第31話以降の基本構造(子供ゲストと矢的が関わる事から話が広がっていく)は、特に矢的先生の好感度という部分で、物語に入りやすくなっているのは嬉しい改善点。
 そしてそんな矢的の行動を、黙って頷いて認めるだけでぐんぐんカリスマ性の上がっていくキャップに痺れます(笑)
 次回――またも予告でほとんど喋っている系ですが、今作に、予告40秒は真剣に長すぎるのでは。

◆第34話「ヘンテコリンな魚を釣ったぞ!」◆ (監督:湯浅憲明 脚本:石堂淑朗
 「おい、離せ! 竿を離すんだ!」
 「一万円もしたんだい!」
 「おまえの命は一万円か! 離せ!」
 ちょっと困った感じもありつつ、手応えを見て危険を察知するや子供を助ける釣りおじさんが、いい味を出しているエピソードでした。
 ナレーション「この少年の釣った、あの魚は、果たして怪獣なのだろうか。――まさかそんな事は」
 物語の方は、前回今回と妙にナレーションさんがスリラーを煽り、少年の釣った魚はアンコウ怪獣の子供であり、それを探して沿岸に巨大アンコウ怪獣が出現するが、てんやわんやの末に子供怪獣を返して大団円となる、最初から最後まで次回予告から想像される通りの内容。
 まあ、てんやわんやの部分こそが作品の見所とはいえますが、そこに至るまでのサスペンスも楽しみの一つですし、あまりにも予告から想像された展開そのまますぎて、てんやわんやに辿り着くまで氷点下の気温が続き、幾ら何でも次回予告が真っ正直に過ぎます……。
 「よし、怪獣を釣り上げるんだ!」
 「「え?!」」
 「釣り上げるんだ!」
 「……了解」
 突拍子もないキャップの命令にさすがのチーフも不満そうな表情を見せるが、巨大アンコウ怪獣が重すぎて、釣り上げ作戦は失敗。怪獣親子の事情が判明する中、子供を守る為に海に飛び込んだ矢的は80へと変身。
 「エイティー!」
 「き、君! 君の気持ちは、ウルトラマンに通じたんだよ!」
 全然そんな事はないのですが、綺麗な解釈を投げ込んで、釣りおじさんが非常に効果的な存在になっています(笑)
 80の1.5倍はあろうかというアンコウ怪獣との海面での取っ組み合いは大迫力で、80が時間稼ぎをしている内に子供怪獣が到着し、妙に重々しいBGMで怪獣親子は再会。BGMからはこのまま人類への報復が始まりそうでしたが、80のハンドサインに従って怪獣は深海へと帰っていき、ラストは皆で釣竿を並べて大団円。
 珍しく80のカラータイマーが鳴らないまま事態が解決するなど、最初から変化球を意図した内容だったのか、或いは『帰ってきたウルトラマン』などに参加していた石堂淑朗さんの作風なのか、
 ・ホームドラマ風の家庭のやり取り
 ・善良な一般市民(釣りおじさん)がいい味を出して活躍
 ・子供の無神経な残酷さと衝突が描かれる
 ・キャップが愚痴をこぼす
 ・UGM隊員のコミカルな描写が増加
 と、全体的にこれまでとかなり違ったテイスト。面白いか面白くないかで言うと、全体の7割ほどが刺激の無い状態で進むので評価不能になってしまい、もう少し、次回予告を手加減してほしい……。
 ところで、矢的×子供ゲスト構造の長所は、「UGMへの憧れのまなざし」をスムーズに組み込める事で、これにより、怪獣電話相談室の激務の結果、一般市民に対する態度の悪い事には定評のあるUGMのヒーロー性も無理なく確保されるのですが、つくづく、学園編で矢的のUGM参加を秘密にしてしまったのは失策でありました。
 次回――なんだかまた東映特撮風味で、快傑する人とかが出てきそう。

11/22付けレス

 本日は『海賊戦隊ゴーカイジャー』感想おまけの4を書きました。

いいにぃにの日

◆てひろぐさん
 >次回がスタッフワーク的にも注目回なのであまり時間が開かずに感想が読めるので嬉しいです。
まだ今日分は見ていないのですが、田口監督参戦の報を小耳に挟んだのもあり、気合を入れて追いつきました! 割と重要回っぽいけど……と、色々な意味でドキドキしています(笑)
 >メインとなるおもちゃで遊ぶシーンで共感性羞恥が働いて直視できなかったというか。
私は距離を取って見られたので、象徴的なシーンとして受け止められましたが、確かにあそこは、人によってだいぶ感触の変わるシーンかもですね。
 >ただ玩具化したのがキラメイジンで良かった、マジキングだったら合体出来ていないというネットの感想には笑いました。
ロボットによっては確かに……キラメイジンも、実質余剰パーツの青が武器である事に気付いて良かったな、と(笑)
 >かなり地雷な要素が満載でしたが爆発させずにヒーローとしての雄姿を描いた荒川さんと加藤監督は流石ベテランという仕事っぷりでした。
構成するピースは結構危うい要素も孕みつつ、「母子の愛情」「ヒーローと子供」というコアをブレさせずに、うまーく泳ぎ切りましたねー。
 >で、割を食っていた小夜回が来て、潜伏していたガルザの作戦が行われるという構成は相変わらず美しいですね。
こういうのはやはり、見ていて気持ち良くてポイント上がりますね。

◆あきさん
 >オラディン自身のキャラからも違和感ありますし王妃を見ても時間制限等があってそれを隠しているという方が自然に思えます。
この辺りの事情が、早めに出てきてほしいところですねー。
 >リペイントとはいえこのスーツ作るためだとしたら狂ってますね(笑)。
ここでしか使えそうにない音楽まで用意し、そこにお金かけるの?! が、素晴らしかったです(笑)
 >あの時点でオラディンが「無鈴くん」と名前を知っていて
前回、散々交信しておいて「充瑠くん」認識してなかったんだ……からの、「無鈴くん」は効果的になりましたね。
 >オラディンの枠のなさも凄いけど、博多南家、特にお父さんの底知れなさ感も物凄いなと改めて(笑)。
存命なら70過ぎぐらいかと思うと、90年代前後の長官世代なので、その辺りのイメージなのかなぁと(笑)
 >博多南さんこそまさに、キラメイジャーのテーマど真ん中の人生を歩いてきた人だったのかもしれないなと。
今回、立ち位置こそ違うものの、「博多南とオラディンの関係」が「充瑠とファイアの関係」を、オーバーラップさせる作りになっていたのが鮮やかでしたね。戦士ではなくても、一人一人がキラキラ輝く自分の人生の主人公、という見せ方は凄くキラメイらしかったなと。
 >一見アドバンテージと思えることを背負わせ過ぎるとバランスを見るタイプのスタッフからは迂闊に光を当てられなくなる面もあったのかもな、と思ったりしました。
ノエルは、「弱み」の要素がほとんど、伏せカードになっていたのはやはり、難しいキャラでしたね。「怪盗と警察のバランスを取ろうとすること」事態が弱みといえる、というのもなかなかわかりにくかったですし、ある意味では、丁寧なキャラ作りがデメリットに転がってしまった部分もあったのかなと。
 >牙狼東映以外かつ大人向けの特撮として注目され人気だったようですし、もしかしたら影響を受けた部分があるのかもと考えたりします。
冴島家が修行していた海岸線、高丘家も居なかったっけ……? と思ったりしたのですが、面白いシンクロになってますよね。
 >映士はもしかしてカオルの代わりにチーフに出会ってしまい使命から解き放たれた鋼牙なのかもしれないなとか(笑)。
「冴島、ボウケンジャーになれ」
「は?!」
ボウケンジャーになって、おまえだけの宝を見つけてみないか?」
……は、元よりそういう構造とはいえ、はまりすぎますね(笑)

◆中吉さん
 >アタマルドが第二のクリスタリアみたいな感じではあるので(あれは大分謎の多い場所ですが)
あの世界は、物質的に“存在”しているといえるのか、ちょっと謎ですよね……。
 >やはりファイヤの発言はどちらかというと「畏れ多いから」というニュアンスに聞こえるので、ちょっとどうかという感じですね……。
うちの王様に敬意を払えよ、というのはまあわかるんですが、ファイヤの中で、地球人の相棒たちも一緒に臣下扱いになってないか……? というのはちょっと引っかかりますよねー。
 >幼少期から一人でいる時間が多かったのがきっかけで絵にのめり込むようになった、のパターンとかありそうですよね。
実際はわかりませんが、いい具合にスムーズな想像の余地を作って、充瑠回としても巧かったですね。
 >宝路さんと充瑠の掛け合い中心だったために魔進の台詞が期待したより少なかったのはちょっぴり残念でしたが、
 >ちゃんと充瑠からバトンを受け取ってくれたのは好感度高かったですね。
ほぼ無茶ぶりにきちっと応えて、さすが博多南さんの敬愛するにぃに! と宝路がしっかり収めてくれたのは不憫枠に流されずに嬉しかったです。
 >『もののがたり』1巻買いました。
おお、ありがとうございます。好みに合われたようで、良かったです。

『海賊戦隊ゴーカイジャー』感想おまけの4

海賊戦隊ゴーカイジャー』感想・日記タイトル&エピグラフ元ネタ集(その4)

-感想記事タイトル編-

●第39-40話:気のせいかな カルビのぬくもりを感じるのは
 『電磁戦隊メガレンジャー』EDテーマ「気のせいかな」歌詞「気のせいかな 手首にぬくもりを感じるのは」より。
 「メガ」回と「タイム」回の組み合わせで「メガ」を取ったのは、どうしても焼き肉ネタを入れたかったからで、「タイム」回が割としんみりしたいい話だったのに、こんなタイトルで各方面にすみません。『メガ』EDは放映当時はそんなに好きでもなかったのですが、時を経てじわじわといい歌だなぁと感じるようになっていて、『ジェットマン』EDもですが、バラード系EDは、全編終了後に、ああ成る程そういう歌だったのか、となったりするなと。
 変身ブレスの歌、という変わった切り口なのですが、「元気を半分 分けることくらい オレにだってできるさ」とか「いつだって どこだって つらい時は力になるさ お前がしてくれたみたいに」とか、好き。またこのEDテーマを挿入歌に用いる第17話が、歌詞を物語に上手く取り込んでなかなかの秀逸回だったり、と『メガレン』を語り出すと発作的に長くなるので、これぐらいにします。

●第41話:レッツ! ゴーカイチェンジ!
 『電撃戦隊チェンジマン』変身キーワード「レッツ・チェンジ!」より。
 アイムの海賊入りの経緯が明かされるエピソードですが、過去戦隊を重ねるならこれは『チェンジマン』だ! と思ったので、『チェンジマン』絡みのネタで。もともと『ゴーカイ』の基本設定は『チェンジマン』と重なる部分があるのですが、特にこの回は『チェンジマン』への意識もあったのかもしれないな、と。

●第42話:勇者が行く?
 『バトルフィーバーJ』EDテーマタイトル「勇者が行く」より。
 ハカセに伝説の勇者疑惑(笑)が浮上する回という事で。書いた後に、この歌の歌詞を既に用いていた事に気付いて、少し失敗したと思ったのですが、割り切りました。

●第43-44話:決めるのは いつでも 君自身だ
 『海賊戦隊ゴーカイジャー』挿入歌「海賊(つわもの)たち~宇宙海賊のテーマ~」歌詞より。
 第43話において、ハカセが処刑場に乗り込むシーンで用いられたのが大変印象深かったので。エピソード内容と歌詞も合っていて、格好いい使い方でありました。

●第45話:スーパー戦隊ゲッタージャーニー
 『海賊戦隊ゴーカイジャー』EDテーマタイトル「スーパー戦隊 ヒーローゲッター」より。
 総集編風味のエピソードなので、海賊たちのこれまでの旅路をイメージして。

●第46話:シークレットニンジャマン
 『忍者戦隊カクレンジャー』OPテーマタイトル「シークレット カクレンジャー」より。
 原典未見の「カクレン」回という事でOPとEDの歌詞をひとしきり転がしてみたのですがどうにももじりにくく、開き直って登場要素をシンプルに組み込んでみたところ、エピソードがまさに「ニンジャマンの秘密」に帰結したので、結果的には良かったなと(笑)

●第47話:嫌な嫌な嫌なアイツ
 『五星戦隊ダイレンジャー』サブタイトル「嫌な嫌な嫌な奴」より。
 バスコとの決着前編という事で、レッドのライバルキャラに絡めようと過去作を振り返り、十臓か? 理央様か? ウルさんか? と彷徨っている内に最終的に魔拳士ジンに落ち着き、登場回のサブタイトルから。80年代~90年代戦隊において数々の印象的な悪役を演じ、大好きな広瀬さんオマージュも含めて。

●第48話:邪剣、落日に散る
 『五星戦隊ダイレンジャー』サブタイトル「魔拳 落日に散る」より。
 上に同じくの発想で、ジン編ラストのサブタイトルから。

●第49話:いちばんかがやく おたからさがせ
 『海賊戦隊ゴーカイジャー』EDテーマ「スーパー戦隊 ヒーローゲッター」歌詞より。
 いよいよ本編クライマックス、“宇宙最大のお宝”が登場し、海賊達の手にした「一番輝くお宝」とはなんだろう? と。

●第50話:永遠の戦士たちはいつも君のそばに
 『恐竜戦隊ジュウレンジャー』OPテーマ「恐竜戦隊ジュウレンジャー」歌詞「ジュウレンジャー ジュウレンジャー 永遠の戦士たちよ ジュウレンジャー ジュウレンジャー いつも君のそばに」より。
 ゲスト登場の『ジュウレンジャー』にあやかり、主題歌の歌詞が巧いこと、“スーパー戦隊”の存在と向き合う本編のテーマと合致してくれました。

●最終話:君の前に広がる海 道なき道をゆこう
 『海賊戦隊ゴーカイジャー』OPテーマ「海賊戦隊ゴーカイジャー」歌詞より。
 ラストという事で、素直にOPの歌詞から。主題歌で一番好きなフレーズは「目指せまだ見ぬ新世界 俺たち旅に出る理由 そんなもんはない 生まれた限り それが生きてる証だから」なのですが、記事タイトルにするには長いので感想本文の方に入れ、記事タイトルの方は、海賊たちのこれまでの旅路、そしてここからの旅立ちを示すフレーズで締めてみました。
 グイグイ進めば、そこに自分の道が生まれるのです!

エピグラフ編-

◆第39話「どうして?俺たち高校生」◆ (監督:竹本昇 脚本:香村純子)
 ――「ああ、今はあれでいい、あれでいいんだ」
 『電磁戦隊メガレンジャー』より、久保田博士。『メガ』本編で断トツに好きなキャラというのもありますが、戦いの中でも若者らしい明るさを失わないメガレンジャーの姿を見守り、青春の煌めきを肯定するのが、この「メガ」回のテーマにも合っているかな、と。全編通して見ると「メガ」回は「ライブ」回への一つのアンサーになっていると同時に、次の「タイム」回にも繋がっているといえるのが、香村さんの見通しの良さの光るところでお見事。

◆第40話「未来は過去に」◆ (監督:竹本昇 脚本:香村純子)
 ――「……けど未来は変えられなくたって、自分たちの明日ぐらい変えようぜ」
 『未来戦隊タイムレンジャー』より、浅見竜也/タイムレッド。小林作品らしく、第2話にして作品を貫くテーマが込められており、「タイム」回としてはしっかりここを拾ってくるのが、さすがの香村さんでした。

◆第41話「なくしたくないもの」◆ (監督:竹本昇 脚本:荒川稔久
 ――「ゴズマに屈しない俺達の姿を、全宇宙に示すんだ!」
 『電撃戦隊チェンジマン』より、剣飛竜/チェンジドラゴン。海賊入りを望むアイムの「海賊だから良いのです。だって、この手配書に顔が載れば、わたくしが生きて、ザンギャックと戦っているのを見せられますから」という決意が、侵略Youtubeの残虐生放送を乗っ取り、ゴズマに抵抗する地球人の姿を宇宙に中継するのに逆に利用する、という大変『チェンジマン』らしいエピソードを思い出させた事から。

◆第42話「宇宙最強の男」◆ (監督:加藤弘之 脚本:荒川稔久
 ――「貴方はバトルフィーバー隊の頭脳だ。頭脳が剣を振り回してはいけないと思います」
 『バトルフィーバーJ』より、神誠/バトルコサック(二代目)。殿下退場編では、殿下=メギド王子なら、ダマラス=カー将軍、と見立てていたのですが、今回、「宇宙最強と言われている、ザンギャックの軍師」なる説明が登場した事で、ダマラスは鉄山将軍だったのか! と。なおこの頭脳は、ヒーローチームの必殺技より威力ある秘剣を使います。

◆第43話「伝説の勇者に」◆ (監督:加藤弘之 脚本:荒川稔久
 ――君が超えたいものは何? 大空 逆風 昨日の自分
 『魔法戦隊マジレンジャー』OPテーマ「魔法戦隊マジレンジャー」より。第3話に始まって、ロングスパンで描かれてきたハカセ×勇気の物語の一つのクライマックスという事で、『マジレン』主題歌で一番好きなフレーズを。

◆第44話「素敵な聖夜」◆ (監督:坂本太郎 脚本:香村純子)
 ――「諦めちゃ駄目。クリスマスは、一年中でいっちばんキラキラした日じゃなくちゃいけないんだから」
 『炎神戦隊ゴーオンジャー』より、須塔美宇/ゴーオンシルバー。個人的に、歴代屈指の傑作クリスマス回だと思っている『ゴーオン』より。余談ですが、クリスマス回はその年のカレンダーなどによって、年末の大きな山か一山越えた後のインターミッションになるかなどの落差も大きいので、歴代クリスマス回を並べて比べてみるのも面白いかもな、とメモ。

◆第45話「慌てん坊忍者」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:香村純子)
 ――数えたい 絶対 覚えてみたい スーパー戦隊 レッツゴー
 『海賊戦隊ゴーカイジャー』EDテーマ「スーパー戦隊 ヒーローゲッター」より。総集編風味の回という事で、記事タイトルと重ねて。

◆第46話「ヒーロー合格」◆ (監督:坂本太郎 脚本:香村純子)
 ――「卑劣に徹してこそ忍びよ」
 『光戦隊マスクマン』よりオヨブー。原典未見の「カクレン」回という事で過去作品から忍者絡みの台詞を探し、前後がなくても意味が通じてインパクトのあるこの一言に(笑) ……私の中で、東映×忍者というと『世界忍者戦ジライヤ』のバイアスが強いので、『ジライヤ』的世界観と通じるものが選ばれた説もあります。

◆第47話「裏切りの果て」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:荒川稔久
 ――「俺の夢を邪魔するものは、死、あるのみ」
 『超獣戦隊ライブマン』より、ドクター・ケンプ。記事タイトル同様ライバルキャラ絡みにしようと考え、レッドの鏡像としてはやはり今作直近の十臓(『シンケンジャー』)が印象強かったのですが、究極的に同じ死線に立つ事を望んでいた十臓はマベvsバスコの構図からはちょっとズレるな、という事もあり……「ライブマン」回で用いていなかった『ライブマン』の劇中台詞をチョイス。
 なお当初、続く第48話とセットで、「勇介、あの世から、我々の進化と繁栄を見るがいい」「ケンプ……おまえこそ人類の平和な未来を地獄から見るがいい!」(同じく『ライブマン』における壮絶な会話のドッジボール)で行こうと考えたのですが、これはこれでちょっとズレるか……という事で、没に。

◆第48話「宿命の対決」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:荒川稔久
 ――戦うだけではない、子供達と一緒に夢を追うのだ!
 『科学戦隊ダイナマン』第1話次回予告ナレーションより。自分で設定した縛りからするとかなり変則で、色々とこねくり回した末に最終的にこれに辿り着いた理由をよく覚えていないのですが、『ゴーカイ』感想全体を、「夢」・「明日」というキーワードから捉えていこうという発想の関係からかとは思います。結果としては、戦隊に欠かせない声優陣の中から、「ナレーション:大平透」を取り上げられたので良かったかなと。あと単純にこのフレーズ、《スーパー戦隊》の一つの軸を簡潔に捉えていて、好きで。

◆第49話「宇宙最大の宝」◆ (監督:竹本昇 脚本:荒川稔久
 ――悲しみの夜が つづいても 君は負けずに 朝を待て
 『太陽戦隊サンバルカン』OPテーマ「太陽戦隊サンバルカン」より。もやもや空間における大挙登場レジェンドのセンターが二代目バルイーグルだった事に加えて、「明日」の歌であり、第50話の展開を象徴する伏線のイメージも込めて。エピグラフで伏線を張ってどうするのか、という点については生暖かい眼でスルーして下さい。

◆第50話「決戦の日」◆ (監督:竹本昇 脚本:荒川稔久
 ――勝利の明日が待っている 約束さ 終わらないファンタジー
 『恐竜戦隊ジュウレンジャー』OPテーマ「恐竜戦隊ジュウレンジャー」より。記事タイトルと連動して『ジュウレンジャー』から&「明日」繋がりで、前回のエピグラフを受ける形に。感想書いている内に、「君の心にしるしはあるか?」(『超電子バイオマン』OP)のフレーズを収めたくなり、だいぶ悩んだのですが、そちらは本文の中に入れる事にしました。

◆最終話「さよなら宇宙海賊」◆ (監督:竹本昇 脚本:荒川稔久
 ――「あばよ涙。よろしく勇気だ」
 『海賊戦隊ゴーカイジャーvs宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』より、一条寺烈/宇宙刑事ギャバン。最終回という事で当初は『ゴーカイジャー』本編の台詞から……と考えていたのですが、会心のラストシーンで園児たちへ向けられたこのサインが極めて印象深く、傑作だった劇場版との接続、という意味も込めて。
 大きくなったなぁ……立派な男になった!
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 以上、謎のこだわり4クール分でした!
 10年越しの感想という事で、凝れる所には凝っておこうと取り入れたエピグラフですが、私なりに、『ゴーカイジャー』とシリーズ過去作品の接続性を高めるアプローチには出来たかなと。
 後もう一つ、折角なので、出来る限り幅広い作品から取り上げたい、というこだわりがあったのですが(縛りすぎても面白くなくなりそうで、途中集計やチェックはせず)、この機会に集計をしてみました。感想タイトル+エピグラフ、全94項目の内訳はこんな具合に。


9:ゴーカイジャー
6:ダイレンジャー
5:ダイナマン・カ-レンジャー・タイムレンジャー
4:バトルフィーバーJ・ハリケンジャーデカレンジャーマジレンジャーゴーオンジャーシンケンジャー
3:ゴレンジャー・ジャッカー電撃隊サンバルカンチェンジマンギンガマンゲキレンジャーゴセイジャー
2:ジェットマンジュウレンジャー・オーレーンジャー・メガレンジャーゴーゴーファイブガオレンジャーアバレンジャー
1:マスクマン・ライブマンカクレンジャーボウケンジャー・(その他)

※(その他)は、「ライブマン」回の、曽田先生特例。

 ……何故か、『ダイレンジャー』が多い!(笑) 我ながらこれはちょっと驚き……。
 抜けたのは、デンジマン、ゴーグルV、バイオマンフラッシュマンターボレンジャーファイブマン、で、未見かつレジェンド回のない80年代戦隊は取り込みにくいのが前提の企画でしたが、改めて、『サンバルカン』関連の歌が好きな自分に気付かされるのでありました(笑)
 元ネタ集も含めて、多少なりともお楽しみになっていたならば幸いです。

 構成分析用集計、後半分は以下。
 演出〔竹本昇:8本 渡辺勝也:7本 加藤弘之:4本 坂本太郎:4本 中澤祥次郎:2本〕
 脚本〔荒川稔久:10本 香村純子:9本 下山健人:4本 井上敏樹:1本 石橋大助:1本〕
 後半だけ見ると荒川さんと香村さんの脚本数にほぼ差がなく、改めて、獅子奮迅の活躍ぶりが光ります。
 後はひとまず、軽い構成分析と総括的な事をやりたい予定の補遺2につづきます。