東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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引っ越しルパパト31

快盗戦隊ルパンレンジャーvs警察戦隊パトレンジャー』感想・第31話

◆#31「自首してきたギャングラー」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:大和屋暁
 んーーーーーーーーーーー、次回の一山の前振り回として、定番のプロット+警察戦隊をギャグに寄せて間を埋めたら、ここまでの今作が築いてきた面白さの方向性から全く外れてしまった残念エピソード。
 特に、警察サイド(主につかさ)が“善良だけど真実に至れない愚者”で、快盗サイド(主にノエル)が“高みから真実を告げる賢者”という役回りとして描かれたのは、極めて残念。
 ノエルに至っては、緑の光=ルパンコレクションの発動を確認、は良いとして、その後の言動の限りでは、何故か「光を見ただけでどんなコレクションか判断していた」ようなのですが、それ自体も不自然な上で、その事についてきちんと説明しないまま「一生懸命やってるから手を出しにくい」って、どれだけ警察戦隊を馬鹿にしているの?!という話になってしまい、ノエルの人格と警察戦隊の知性とプロとしての姿勢がまとめて崖からコースアウト。
 そもそも警察戦隊と友好度を下げてばかりなのでまともに話を聞いて貰えないノエル、というのがベースにあったのかもしれませんが、そこに至る感情の綾を整理する代わりにギャグを優先してしまった為、適切な説明をしないノエルの警察戦隊に対する視点が、説明しても理解できないと見下している、としか思えないものになってしまいました。
 これが今回限りの大暴投ならば、1年物の戦隊シリーズでは時々ある事として折り合いがつけられるのですが、不安なのは、今作の商業的不振を受けた路線修正の影響という可能性で、今後の警察戦隊の役回りが今回のような方向性にされてしまうのではないか、という事。
 笑いのツボは人それぞれの部分が大きいので、ギャグに関してはバリエーションを試すのはアリだとは思うのですが、今後の警察戦隊の立ち位置が、正義感と善良さが空転する知恵の足りない道化役、とされるような事があれば個人的には大変辛く、次回がどういった形で展開するのかを確認しない事には、とても今回のエピソードを細かく分解する気になれず。
 次回、圭一郎とノエルの決闘、快盗と警察の共闘の持って行き方次第では、ここまでの積み重ねを粉々に噛み砕きかねない巨大な奈落が口を開けている可能性に戦々恐々なのですが、なんとか土俵際で踏みとどまってほしいと願います……。
 今回、唯一面白かったのは、真実を知ってショックを受けながらもギャングラーへと突撃した3号が、先に戦っていたパトレンXを支え代わりにして、怪人にジャンピングシザースを決めたところ(笑)
 そして、1号と2号が左右から拘束した怪人を今度こそ撃つ……のかと思ったら、全力で飛び蹴り。
 鳩時計ギャングラーを倒すも、ゴーシュの実験によって産み出された5つの金庫を持つ合成ギャングラーが出現し、パトカイザー完敗、でつづく。

9/10付けレス

 本ブログの方には、『ギンガマン』感想書きました。
 〔『星獣戦隊ギンガマン』感想・第37-38話〕

かもん繋がり……?

◆さやまきさん
 >変身時にちゃんと黒タイツになったり
あの黒タイツは、オーブの力と紐付けされていたの……? という、新たな疑念が(笑)
 >まぁあの世界にウルトラマンという用語がない筈なのに 思いっきりウルトラマン呼ばわりしてたのは
 >社長に憑依してる宇宙人が知ってたからなんでしょうけど
正体の宇宙人が知っていた、はまあいいとして、その宇宙人はいったいどういう「宇宙」から来たのだろう……というのがメタではなく、物語の中に収まってくれると良いのですが、ちょっぴり不安です。
 >しかしオーブって単なるスーツのリカラーの筈なんですが結構悪人顔だったというか
口の辺りこんなだっけ……? と思っていたのですが、造形をいじっているわけではないのですねー。
 >ただ社長の変身はルーブ以上にやたら長い!(苦笑)
善玉も長ければ悪玉も長くて、二重に筋を圧迫するという……(^^;

◆やずみさん
 >ハナっから「そんなこと、俺が知るか!!」という反応でよかったと思います。
ああ、そうですね。終わってみれば成る程だったのですが、ちょっと入り方を間違えたというか、導入で考えながら見てしまったのは、失敗したなと思った点です。
 >しかし、TV版における「本当にそれでいいのか」という問いかけを排除し、ポジティブに特化した演出を施すのが本作の特徴。
もともと『オーズ』は本編も、重いドラマ性と軽快なバトルエンタメという二面性のせめぎ合いがありましたが、この劇場版は『オーズ』を思い切りエンタメに振る、というのが方向性としてあったのですね。
 >こうした背景事情を考慮しなければ色々足りなかったり過剰だったりと思えるかもしれませんが、それは単純なミスではなく「覚悟の上で投げ捨て、かき集めた」もの。
TV本編もそうですが特に映画の場合、「1年間の企画」の一環として、時代性と切り離せない面、というのはあるのでしょうね。背景を教えていただくと、劇場で「よっ、上様!」というのが一番良い見方であったのだな、と当時離れていた事を残念に思います。

◆chi-chanさん
 >これって『W』以降の夏ライダー映画に付きまとう問題(?)ですよね…。
なるべく白紙で見るのが好きなので何も調べなかったのですが(上様登場ぐらいしか知らず)、後から見る場合、どういった位置づけだったのか、という点ぐらいは事前に確認しておいた方が、ライダー映画はスッキリ楽しめるのかもですね。
 >『W』以降ではっきりと「本編とは関係ない話」なのは本作とウィザード(主人公だけが別世界に迷い込む)くらいなんですよ。
今作の選択としては良かったと思いますが、いわゆる2期としては異色の劇場版ではあるのですね。
 >だから本作のブラカワニコンボみたいな限定形態が登場しているんでしょうけど。
何故、レッドスネークカモン! だったのか割と気になっています(笑)
 >仮称「サクオ」と呼んでた敵ライダー(正式名称「仮面ライダーポセイドン」)、あれオーズのコンボだと「サラミウオコンボ」になるそうです(笑)。
思ったより長いですね(笑) そして微妙に、おいしそう……。

将軍! チョンマゲ! サンバ!

仮面ライダーオーズvs暴れん坊将軍

◆『劇場版 仮面ライダーオーズ WONDERFUL 将軍と21のコアメダル』◆ (監督:柴崎貴行 脚本:小林靖子
 鴻上会長のやらかしで訪れる世界滅亡の危機! 戦えオーズ! 負けるなバース! 地球を守れグリードファイブ!!
 「まさに欲望は世界を救う!!」
 『劇場版 轟轟戦隊ボウケンジャー』の感想において、


この、「ああ、○○だなぁ」とどこで思わせるのかが、映画の独立性としては大事なのだな、と。
 いうことを書きましたが、それが早々と提示された『ボウケンジャー』映画と比べるとくしくも真逆というか、TVシリーズ本編の方も歯車が噛み合ってくるまで時間のかかる作品ではありましたが、「この時点の映士とアンクの関係は……?」とか「映士のはぐれ外道LVは今どれぐらいになるんだ……?」というのが先に立ってしまい、作品世界に入るまでに時間がかかる、という劇場版としてはなかなか難儀な構造。
 で、見終わった後に自分の『オーズ』感想を読み返していてやっと気付いたのですが、〔ドクター真木の元に4大グリードが集まっている・アンクと映司はいつも通り・映司の体内に紫のメダルあり・バースは伊達さん/プロトバースは登場しない・比奈ちゃんが映司に丁寧語〕って本編では多分あり得ない状況設定で、意図的なパラレルなのでしょうかこの劇場版。
 まあ非常にカオスな作品なので、公式にパラレルの方が正直、安心はします。
 そんなわけで鴻上会長のやらかしで800年前にコアメダルを作り出した錬金術師の一人・ガラが復活して、世界は滅亡クルクルチャンス! ガラは人々に「500万円か、一生ちょんまげで過ごすか」の二択を問い、正直、500万円は少し安いと思うのですが(映像的に、札束を持って歩いて絵になるラインがそこだったのでしょうが)、真っ先に食いついたのは……海堂さん?(唐橋充
 次々と500万を手に取る人々の姿に、おもむろにメダルタンクを地面に置いて、数歩前に進み出たのは伊達さん。
 「500万か…………ちょんまげか」
 は面白かったです。
 人々が500万を選ぶ度に欲望のメダルがガラの元に蓄積していき、ガラはそれによって巨大なメダルと化した世界の一部をひっくり返し、時間と空間を歪めていく……というのは面白い仕掛け。そして映司・アンク・比奈・ゲスト少年は、浮上した世界の連結に巻き込まれ……江戸時代に跳ばされてしまう。
 そこで映司は、同じく過去に跳ばされた人々と、江戸の町人の揉め事の仲裁に入り……群衆の中に、松平健が。
 ガラが送り込んできたヌエの怪人に苦戦し、映画版スペシャル映司バースに変身するもアンクのメダルを2枚奪われてしまった上、怪人の一味と誤解を広げて敵意を向けられる映司達だが……
 「この人達は、化け物ではない」
 炸裂する、上様必殺《超説得》(時代劇の主人公の多くが持っている、揉め事を丸く収めたり、他人の秘密を聞き出すスキルだ!)。
 かくして貧乏旗本の三男坊・徳田新之介の仲裁もあってその場はなんとか丸く収まり、たくましく江戸の町人を相手にクスクシエを営業していた知世子さんと再会した映司達は、ひとまず和装コスプレ(アンクは拒否)。ゲスト少年の母がガラに肉体を乗っ取られている事を知ったり、外部で伊達さんと後藤さんがガラの根城のバリアの破壊方法を調べたりしつつ、再び送り込まれたヌエ怪人にオーズが追い詰められたその時、白馬にまたがって駆けつけるあの御方!(笑)
 例のジングルで堂々登場する上様は、ほぼデウス・エクス・マキナというか、片足をギャグに突っ込みながら世界の壁をぶち破って登場する超存在であり、もはや感心すべきは、劇場版でフルボルテージで発揮される、映司くんのヒロイン力。
 気を抜くと一瞬でヒロインの座を奪い取られる、それが『オーズ』。
 かくして、オーズ×暴れん坊将軍の共闘が展開し、オーズは徳川家に献上品として伝わっていた3枚のメダルで、コブラ! カメ! ワニ! のブラカワニに変身。蛇遣い攻撃でヌエ怪人を苦しめると、最後は《成敗!》(パーティメンバーの次の攻撃を必ずクリティカルヒットさせた上、ダメージ判定で振るダイスを3つ増やすサポートスキルだ!)でせいやー! し、強敵ヌエを打ち破るのであった。
 なんというか本当に、『オーズ』と『暴れん坊将軍』のコラボに、約5分間の殺陣というギミック以外の理由は何も発生しないのですが、「成敗!」の正しい使い方で、ある程度満足です(笑)
 上様が颯爽と白馬で去っていった後、鴻上会長の入れ知恵により派遣されたガラの使いから、「自分一人だけ元の世界に戻れるが、残りの人々は全て消えてしまう。イエスかノーか?」という悪魔の選択を囁きかけられる映司。考え込む映司は「家族だけは一緒に戻れる」と言質を取るとイエスを選択し……ガラの元へ集まっていく欲望のメダル、だが……
 「なぜ……なぜ消えない?!」
 「言ったよな。家族だけは戻れるって」
 「……まさか!」
 「そう。彼女たちみんな、一緒に居て助け合ってる。家族だよ」
 「……そんな綺麗事が通るわけが!」
 「綺麗事じゃない。これは欲望を満たす質問だろう。俺の欲望は、これぐらいでなきゃ満たされない!」
 映司の欲望により生じたセルメダルが、溢れかえってガラの欲望の天秤を破壊する、というのは実に映司でした。そして如何にも正統派ヒーローらしい「みんな家族」というレトリックが、「綺麗事」ではなく「欲望」なのだ、というのが実に『オーズ』。
 鴻上会長の高笑いから主題歌へ繋がり、元に戻っていく世界で、自販機バイクにまたがる映司。
 「全部家族とか……おまえ、上手く行くと思ってたのか?」
 「うーん…………おまえは危ないと思ったかなぁ」
 というアンクとのやり取りは、今作で最高のシーンでした(笑)
 世界が正しい繋がりを取り戻していく中、伊達&後藤が破壊したバリアの割れ目に主題歌に乗ったオーズがバイクで突入し、個人的にはここが今作のピーク。この後、鴻上会長&基本ずっと寝ていた里中を救出し、正体を見せたガラと激突するオーズをフォーゼが助けに来た所で、がくっとテンションが下がってしまいました。
 次作ライダーの先行顔見せを前提とするならば、現行ライダーが窮地であるほど次作ライダーの見せ場になるという理屈はわかるのですが、ラスボス(第一形態)に苦戦している真っ最中に、劇中外のキャラに助けられてしまうというのは、『オーズ』としては残念(例えば前年の『W』劇場版は、オーズをあくまで“ラスボスへの道を切り拓いてくれる助っ人”とする事で、許容可能な範囲に収めていたのですが)。
 上様といいフォーゼといい、その辺りは大変割り切った作りの映画なのですが、そういったお祭りである事を承知で敢えて一本の映画としての不満を言うと、
 〔強敵にオーズが苦戦 → 時空を越える映司くんのヒロイン力が発動 → 通りすがりの強キャラが助けてくれて去って行く〕
 という構図を、同じ作品で2回繰り返してしまったのは大きなマイナス。
 ……それもこれも全て、映司くんの中で煮えたぎるヒロインパワーがいけないのか。
 「無茶苦茶だけど……若いって、いいな」
 最後はガラの変身したブラックメダルドラゴンと決戦となり、メダルの為ならあらゆる手段をいとわないグリードフォーの協力により、がったがたきりば! から更に分身体がそれぞれフォームチェンジして、全コンボ一斉発動という劇場版スペシャル超必殺せいやーーー!乱舞&ブレストキャノンで大勝利。
 終わってみると、謎のバース愛に溢れる劇場版でした。
 ガラの依り代にされていた女性も無事に救出されてゲスト少年と手を繋いで去って行き、映司はプレミアムアイスキャンディーでアンクを買収して比奈と手を繋がせ(中盤に布石あり)、いい話で……
 「……痛って! ……どうしておまえはそう馬鹿力なんだよ?!」
 「でもお兄ちゃんは平気だったし!」
 「鈍感だったんだろ」
 終わらなかった!
 泉刑事は、大いなる兄の愛が生む鈍感力で比奈ちゃんの怪力に対応していた、という真実が明かされ、ラストは、映司・比奈・アンクの3人で手を繋ぐという、TV最終回を先取りしたようなシーンで、エンド。
 正直、単独の映画作品としても、『オーズ』のエクストラとしても微妙な出来でしたが、クライマックス目前の劇場版とは見るからに相性が悪そうな『オーズ』を、時空を越えたコラボによる「余の顔を見忘れたか」パワーでお祭り映画に仕立て上げる、という力づくな一作。
 物凄く開き直っているのは、劇中で「暴れん坊将軍」に対する説明が一切存在しない事で(説明のしようが無いのですが)、貧乏旗本の三男坊が白馬にまたがって現れ、徳川家に伝わる献上品をレンタルしてくれる事に映司くんが何の疑問も持たないまま、1マイクロセカンドの躊躇もなく並んで戦い始める、というのが今作の性質の全てを表していると思います(笑)
 一応、全編に渡って本編のキーでもある「手を繋ぐ」という要素が散りばめられて『オーズ』らしさとして描かれており、時空を越えて手を繋ぎ合う江戸町人と現代人、ガラの天秤を破壊する映司の巨大な欲望、3人で手を繋ぐ映司・比奈・アンク、と本編最終盤への道がセッティングされている、そんな番外的劇場版でした。
 「成敗!」