『電子戦隊デンジマン』感想・第23話
◆第23話「天井裏を歩く悪魔」◆ (監督:よしかわいちぎ 脚本:曽田博久)
またもヒロイン体質を発揮した桃井の揉め事が原因で、旧友ワカマツ(演じるのは『ジャッカー電撃隊』で姫玉三郎役だった林家源平)と再会した青梅だが、今やアカギランドで綺麗な青シャツを着て働く身、貧乏したって、マンガ家とサーカスのスター、それぞれの夢を追いかけようと誓い合ったのを忘れたのか、と批難を受けてしまう。
詳しい事情を説明し辛く、空元気でどこかやるせない笑みを浮かべる青梅の表情がしんみりとさせ、『ジャッカー』から続けて見てくると、大葉さんの演技の成長が後の『宇宙刑事ギャバン』に繋がるのだな……と感慨があり、今回の見所はまさに、青梅の芝居。
青梅からアンパンや似顔絵の代金を受け取る事を拒否したワカマツだが、心は錦でもボロはボロ……異臭を放つ並外れた不潔に目を付けられるとベーダー怪物・コケラーの襲撃を受け、人類ベーダー奴隷化実験のモルモットにされてしまう。
「いつの世にも、不健康で不潔な生活を余儀なくさせられている者はいるものです」
「ベーダーの未来にとって、頼もしい事じゃ」
街では、同様にコケラーの汚染を受けた身なりの汚い男達が美しいものを汚して回っており、話がどうこうという以上に、単純に不快感を煽る系の映像が多いのは、いだたけなかったところ。
チエコの話を聞き、暴れる男の後を追っていた青梅は、空中回転ジャンプ変身を決めるとコケラーと激突。
ゴミ嵐を受けて逃げられてしまうが、服に付着した汚れをデンジランドで分析して発見された細菌には、人間の美的感覚に影響を与え、美しいもの・綺麗なものに憎しみをかきたてる作用がある事が判明し、桃井あきら、ベーダー細菌から「美しい」判定を受ける(笑)
今作、女性メンバーのヒロイン推しが強いのは、割と特徴的なところです。
奴隷化実験を進めるヘドラー将軍が、ベーダー星に酷似した環境のベーダー魔境を作り出してコケ人間たちを労役に駆り立てる一方、青梅はコケラーをおびき寄せる為に不潔な四畳半暮らしを開始。
「今や俺は東京中で、いっちばん不潔で汚い男だと思うんだけどなぁ……そろそろ出てきてもいいのになぁ……あ、くせ」
と呟いていると、どういうわけか寝転がっていた畳がくるっと回転して階下に落とされ、前半では逃げ出したワカマツの人型に壁が抜けるなど、微妙にコント的な演出が目立ちます。
「……おかしいな。あいつがあんなに寝相がいい筈がない」
異変に気付いた監視組が部屋に踏み込むと青梅の姿は消えており、魔境の新たな奴隷に。
「ヘドリアン女王様、これからもっと面白い光景をご覧にいれましょう」
女王らが映像を見つめる中、ワカマツが危険なガス地帯に入っていく奴隷に選ばれると、それを止めようと飛び出していった青梅は正体を曝してデンジスパークし、その光景に驚く女王たち…………あ、あれ?! わかっていて、余興として罠を仕掛けていたのではなかったの?!
怪人の台詞は「やはり俺を騙していたのか」となっていたのですが……今回ところどころ、『キカイダー01』を思い出す系の編集の不自然さアリ(監督は全く知らない名前でしたが、別名義パターン……?)。
青からの救援信号を受けると、発進したデンジタイガーが魔境まるごとデンジシャワーを浴びせ、綺麗に浄化されて消滅していくコケ人間た……じゃなかった、コケ汚染だけが分解され、意識を取り戻した男たちは逃走。
ワカマツは旧友がデンジブルーとなった事を知り、金と女に目が眩んで夢を捨てたわけではなかったと誤解が解けると、振り向くな振り向く振り向くな~。
デンジブルーの激獣スネーク拳を受けたコケラーはゴミ嵐で反撃するが、赤の真空蹴りからデンジパンチが炸裂すると、稲妻落としでフィニッシュ。
ダイデンジンは巨大コケラーの機敏な動きに翻弄されるが、近接武器での攻撃を受け返すと、デンジボール連打で怪人がスタッガーしたところを満月斬りで両断し、白兵戦における実弾兵器の効果を見せつけるのであった。
ベーダーコケから解放されたワカマツは桃井に籠絡されかけるが、女になんか目もくれずに夢をおいかけるぞ、とアンパンを手に去って行き、アンパンは力、アンパンこそ真理。
…………そういえば、江戸川乱歩風サブタイトルだったのに、全然、怪人が天井裏に潜んでいなかった。