『牙狼<GARO> -魔戒ノ花-』感想・第15話
◆第15話「紅茶」◆ (監督:井野十兵 脚本:田口恵)
冴島邸を訪れる一台のカメラ――ゴンザが『魔戒通信』(笑)の取材を受ける事になった、という形でズームインとアウトを繰り返すカメラ視点の映像で進み、
「そうですね、私、こう見えましても、若い(編集)……私の話はいい?」
ゴンザをスキップして雷牙についての語りが過去映像と共に始まる総集編で、新規撮影部分で語られる雷牙の秘密は、椅子と椅子の距離が気になる神経質なお年頃。
ゴンザの一人芝居を挟みながらマユリとクロウについても続けて語られ、クロウは出番がそこまで多くなかった分、ダイジェストにすると、闇の仕置き人が人の心を取り戻すまでみたいな具合で、超格好良くまとまりました(笑)
そんなクロウは……前髪の揃え方に、こだわりがあった。
マユリへの対応を始め、2クール目に入ってだいぶ人間味を出すようになってきたクロウですが、若干面白方面が増殖する気配があるのは、役者さんの芝居も鑑みてなのか……なんにしても、淡泊一辺倒から広がりが出てきたのは、終盤に向けて活かされてほしい素材の一つです。
後クロウは、「星図」回で披露した飛行能力とバトルが大変格好良かった事で、多少出番が少なかったり、多少崩しを入れても、リカバリー可能な土台が出来上がっているのは効いているところで、回想シーンで見て改めて、吼狼の鎧は実に見事なギミック。
雷牙6歳の時、母親が次元の裂け目に吸い込まれ、それを追って父も異次元空間に飛び込んでいった事が秘話として明確にされ、変態ホイホイ体質だったお母さんはやはり、次元さえ飛び越えて新たな変態に目をつけられてしまったのでしょうか……?
雷牙母の超時空ヒロイン力に戦慄していると、雷牙の帰還を聞いて慌てて逃げだそうとしたインタビュアーの正体はホラーで、カメラ視点がドタバタ動き回る変則的な戦闘から、カメラの向けられた鏡の中で雷牙は黄金の鎧を纏い、スパイホラーを滅殺。
「屋敷にホラーを入れるなんて、前代未聞だぞ」
今シーズン3回目ですかね……。
「それに、俺は細かくはない」
「確かに、私に面白いエピソードなんかないしな」
「身だしなみも、魔戒騎士としてのエチケットですから」
一同が口々とゴンザの発言に異を唱えると、忘れてはいけない人物として、平謝りのゴンザについて雷牙が語り始め……スープ回といい今回といい、シーズン最後にゴンザが死にそうな勢い(笑)
「俺にとって、厳しい父であり、優しい母であり、頼もしい兄であり、信頼できる、仲間でもある」
とはいえ、柔らかい表情と口調で雷牙がゴンザへの思いを口にするのは美しい着地となり、皆でゴンザの淹れた紅茶をいただくと、最後は、深々と頭を下げたゴンザがカメラを置いたテーブルをひっくりかえして録画が停止して、つづく。
後半、カメラ視点が動き回るのが個人的に目に辛かったですが、新規撮影分の遊びが効いた総集編でありました。