『電子戦隊デンジマン』感想・第21話
◆第21話「死神党を攻撃せよ」◆ (監督:小林義明 脚本:上原正三)
一様に仮面を被ったバイクの集団が宝石店や銀行を次々と襲撃して金品を奪っていき――その名を死神党。
「どんな組織なの? 死神党って」
「未来帝国を夢見る秘密結社だ。世界的にな」
元来は密かな地下活動を繰り返していた死神党だが、その存在に目を付けたベーダー一族の策略により組織を乗っ取られ、死神様に成り代わった蝋燭ラーの命令により残虐無比な破壊活動を繰り返しているのであった!
死神党には、一年前にサーカスから姿を消した青梅の弟分・トキオが参加しており、過激化を続ける組織の活動についていけずに脱走を図るも連れ戻されたトキオは、サーカス団員であり青梅の妹分・サチコ(再登場)を巻き込んで、組織による国防軍ミサイル基地占拠作戦に参加する事になってしまう…………凄く雑な看板かかってるな、国防軍ミサイル基地……!!
ハーレーを買う金欲しさにカジノ通いを続けていたトキオを、鉄砲玉のバーゲンセール感覚で凄く雑にスカウトする死神党
宗教結社と暴走族の間を激しく蛇行する死神党
しつこいサブスクリプションサービスのごとく、仮面にライダースーツの格好でサーカスに乗り込んでトキオの退会を阻止すると、そのまま何事もなかったかのように帰っていく死神党
トキオがサチコと密会していると、そのままサチコも大事な作戦に投入する死神党
……と、サブマシンガンを乱射し、社会体制の転覆を狙っている死神党が、あまり頭の良くないヘッドに率いられた不良グループ感覚で描写され続け、
一時の欲望に負けて悪の道に転がり落ちていく無軌道な若者
足抜けを餌に繰り返される悪事
それに巻き込まれる昔の女
……と、恐らく、古い不良(ないし犯罪)ドラマの文脈が土台にあるのかと思われるのですが、2024年に見ると土台の文脈が理解しにくい上に、ふんだんなバイクアクションと、実質不良グループの背後にベーダーの地球征服レベルの陰謀を強引に接続した結果、ひたすら無理の続く筋書きに。
現地人雇用作戦第2弾として、死神党を操って地球を汚染しようと目論むベーダー一族は、国防軍のミサイル基地を占拠して国内にミサイル攻撃せよと蝋燭ラーを通して命令し、半身が炎、半身が怪しげな神像風のモチーフの蝋燭ラーは格好いい。
それから、チラリズムで攻めてくる青梅の胸元が超セクシー(どんどん存在感が地味になっていくぞ赤城……!)。
ケラーさんは、看護師コスプレで病室に潜入し、女スパイ文脈といえば文脈なのでしょうが、何この扱い(笑)
そして、ネコを人質にするケラーさーーーん!!
……とまあ、筋が滅茶苦茶な分、変な見所は多め(笑)
「悪いなさっちん。……君までこんな事に巻き込んで」
「いいのよ、これでトキオが、自由になれるんですもの」
「ありがとう」
ミサイル基地に潜入中の若い二人は適当に盛り上がっているのですが、やっている事は二人の認識している範囲だけでも、国防軍基地の指令室を妨害電波で攪乱なので、ヤクザの鉄砲玉どころか、大量虐殺に関わるテロ行為なのですが……。
首尾良くミサイル基地のコントロールを奪う死神党with蝋燭ラーだったが、ケラーさんが適当に猫を放置していた事からデンジブルーが異変をキャッチ。
死神党に始末されそうになっていたトキオとサチコはデンジマンによって救出され、犯罪ドラマだったら少なくともトキオの方は蜂の巣になっていそうでしたが命を拾い……拾っても特にプラスの感情が喚起されないのが困ったところ。
そもそも不良ドラマとベーダーの陰謀がズレ続けていた事に加え、せめても、ただのお使いだと思っていた仕事の真相を知り、翻意して止めようとしたところで……ぐらいのひねり(スケール感のすり合わせ)があれば良かったですが、むしろミサイル基地襲撃に積極的に関与を続け、「心ならずとはいえ大都市ミサイル攻撃に荷担しておきながら、その自覚も罪悪感も見えず自分たちの自由しか考えていないゲスト」の生死では全くサスペンスにならず、サチコも再登場なのに、とんだ巻き込まれ事故に。
死神党(日本支部員)はデンジマンに蹂躙され、今回最大の見所は、ミサイル発射を阻止する為に、国防軍ミサイル基地にミサイルを撃ち込むデンジマン(笑)
ミサイルをもってミサイルを制す!
火力こそがジャスティス!!
作戦失敗して逃亡しようとする蝋燭ラーの退路を塞いだデンジマンは、青がハヤブサの舞いから激獣キャット拳を披露の後、デンジタワーからドラゴンフライキック、そしてデンジブーメランでスパッ!
今回は巨大戦は無しで、無事退院したトキオとサチコの姿が描かれ、二人ともサーカスに戻ったとされるのですが……どこまで証拠を消して回ったのデンジマン?!
少なくとも死神党の生き残りおよび国内全アジトは、痕跡も残さず消されたとしか思えないのですが、デンジシャワー、デンジシャワーなんですか?!
ナレーション「だが、今回の、一番の殊勲者は、仔猫の、ミミなのかもしれない」
でオチをつけるのはさすがに無理がありすぎて目が点になりますが、アカギランドの力により、国防省との間で高度に政治的な配慮となんらかの司法取引が行われたのかもしれず、全ては鉄山将軍の極秘ファイルの中に消えていくのでありました。