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潜入! ベーダー都市?!

電子戦隊デンジマン』感想・第22話

◆第22話「超時間ふしぎ体験」◆ (監督:小林義明 脚本:上原正三
 「夏休みでんわ相談室」みたいなサブタイトルとは裏腹に、凶悪な死刑囚が脱獄する事件が続発し、刑務所を張り込んだ緑川は、ベーダー一族が囚人を脱獄させる現場を目撃して、デンジスパーク!
 緑はトラックに張り付いてベーダー一族の前線基地に侵入し、ベーダーが地上にアジトを構えている状況自体が少ないので、今作では珍しい潜入アクション。
 緑川はそこで、酒と料理でもてなされて浮かれる囚人たちを発見するが、元刑事である事が徒になって正体がばれてしまい、タイムラーの能力により、「4年前の世界」に戻ってしまう、いきなりのハイジャンプ。
 生前の父と共に殺人犯を逮捕した緑川は、4年前の意識のまま現代へと連れ戻されるや、自分を「グリーン」と呼んでくる男女に遭遇して、困惑。
 「誰だ……君たちは?」
 青梅にはアンパンを突きつけられ、アスレチッククラブの少年少女とも面通しをするが記憶には存在しておらず、対象を自由自在に時間移動させるタイムラーの能力がトンデモすぎますが、刑事時代の記憶のまま、こいつら何? となるのは、面白い芝居。
 そこに過去の緑川を知っているチエコが姿を見せるのも使い方として面白いアクセントになりましたが、話はこんがらがるばかりで問題は解決しないまま、ベーダーの予告を受けたデンジマンはグリーン抜きで堂々と死刑囚の護衛にあたり、前回も国防軍ミサイル基地にジープで乗り付けて警戒を促していましたが、デンジマンの社会的認知のされ方は激しくよくわかりません(笑)
 しかし、そこに現れたタイムラーの時間操作能力により、4人のデンジマンは大苦戦のまま護衛に失敗し、女王陛下はこの見世物に大喜び。
 「死刑囚……タイムマシン……ベーダーはいったい何を企んでる?! 早く緑川の記憶を取り戻さねば」
 赤城らは、父親の死を受け居られずにいる緑川をデンジランドへ拉致すると、アイシーと対面させる荒療治。
 「緑川、見ろ! 思い出したか? アイシー、頼むぞ。緑川をもう一度デンジマンに」
 アイシーと目があった緑川は、ベーダー怪物によって父が殺され、アイシーと悪魔の契約を結んだ忌まわしい過去を思い出し……これは記憶を取り戻したというより、直近の記憶を外部から強引にインストールされただけなのでは(笑)
 ほぼ確実に、緑川の脳から3年分ぐらいの思い出が消えていそうで不安になります。
 「緑川が戻ってきたぞ!」
 足抜けの認められなかった緑川は電子戦隊に復帰すると、凶悪犯を集めるベーダーの目論見を探るべく、アジトの前でギターの弾き語りを披露。ミラーとケラーを油断させてアジトにまんまと入り込むと、タイムラーの能力を利用して未来へと飛び、ベーダー一族が凶悪犯を素材として原始人を生み出そうとしている事を突き止め、原始人=ゾンビみたいな扱い(笑)
 ベーダーの最適解は、そのまま緑川を“ちょっと先の未来”に放置する事だったと思うのですが、慌てて緑川を現在に戻すと、危機に仲間達が駆けつけ、見よ! 電子戦隊・デンジマン
 「こっちにもスーパーサイエンスがあるんだ!」
 タイムラーの攪乱により戦闘員を相手にも苦戦するデンジマンだが、新能力「デンジスーパーサイエンス!」により、時間操作能力不可能なデンジ空間を作り出すと稲妻落としでフィニッシュし、タイムラーは巨大化……した途端に、景気づけで自分達のアジトを破壊し始めたぞ(笑)
 通常の戦闘その他でタイムラーの時間操作能力に凝った為か、巨大戦はあっさり味で、タイムラーが満月斬りで両断されると、なにやら時間操作の揺り戻しが発生し、ベーダーのアジトは大爆発。
 ナレーション「牢から消えた死刑囚たちは、二度と姿を現さなかった。恐らく、遠い過去の世界へタイムスリップしてしまったに違いない」
 と死刑囚たちは現在からその存在ごとデンジシャワーされ……死刑囚だから良し、ぐらいのノリなのですが、前回-今回と、ナレーションで無理矢理つけたオチがいずれも酷い事になりました(笑)
 ……緑川の存在も、消滅しなくて良かった。
 “父親の死と二度向かい合う事になる緑川”といった辺りを掘り下げていけば、もう少し情感の出たエピソードになったと思うのですが、前回にしろ今回にしろ、矢継ぎ早に状況を動かしていく事が最優先で、個々の場面における構成要素の掘り下げや説得力の強化には頓着せず二の次にされた作り。
 その為、どうにも運転の荒っぽさが目立つ事になりましたが、この路線を突き詰めていった先に“状況を動かす”事そのものが目的化して、不可解な状況を不可解な状況のまま派手なアクションで突き抜けていく『宇宙刑事ギャバン』第15話「幻?影? 魔空都市」が生まれる事になるのかもしれません。
 そういう面では、小林義明×上原正三による、傑作回前夜のエピソード……?
 次回――黄山、ようやく夏服が実家から届いた。