東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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新たなる力、新たなる技

仮面ライダーX』感想・第27-28話

◆第27話「特集 5人ライダー勢ぞろい!!」◆ (監督:内田一作 脚本:平山公夫/中瀬当一)
 仮面ライダーをインチキ野郎と糾弾し、倒された改造人間たちこそ可哀想な存在なのだ、と声を張り上げる講釈師。
 たまらず怒りの藤兵衛が掴みかかって投げ飛ばすと、退散した講釈師に代わって藤兵衛が仮面ライダーについて語り始め……前2作を振り返りながらXと先輩ライダーの共演を映像化する特別編で、過去映像に乗せて勢いよく喋っている藤兵衛ですが、それはみんな世間に向けて喋って良い内容なのか、ちょっと不安になります(笑)
 それにしても初期のスーツは思ったよりも首と後ろ髪が見えていて、まさしく「仮面」。
 V3がたまにちらちらしていて気になりましたが、その比ではありませんでした(笑)
 ダブルライダーの活躍によるゲルショッカー壊滅からデストロン登場へと話は移り、風見先輩の変身シーンはやはり、海中でずぶ濡れのところをチョイス(笑)
 「だが、敵ばかりではない、V3にも味方が居た。さて、それは誰か? 誰だ?」
 さ、佐久間……?!
 「「「ライダーマンだー!!」」」
 「そう、ライダーマン
 佐久間とツバサ大僧正の存在がスルーされると、ライダーマン/結城丈二が、愛と自由の戦士のように語られ、我々は今、歴史が修正される現場を目の当たりにしています。
 そう、バトルフィーバー隊は、仕事熱心で子供に優しい平和を愛する正義のヒーローチームなんだ……!
 「仮面ライダー1号、2号、V3。死んだと思ったライダーマンも、どっこい生きていた。そこに駆けつけるライダーX。遂にお待ちかね。5人ライダーの勢揃いでございます」
 場面切り替わって特に脈絡なく5人のライダーがバイクで並ぶと、挿入歌をバックに特に脈絡無くゴッド怪人軍団と戦い、これはつまり……藤兵衛の妄想? で落着するのかと思ったら、退散した講釈師が再登場。
 敬介は控え室で気絶していた本物の講釈師を救出してステージに殴り込み、偽講釈師が再生ネプチューンの正体を現すと、キザに笑いながら高いところに現れたのは、観客席に混ざっていた昭和のやらかし大将・風見志郎先輩。
 「久しぶりに日本に帰ってきて、親父さんの講談を楽しんでいたのに、こいつらいったい何者ですか?」
 「おい、気をつけろ。こいつら、デストロンみたいな奴らだ」
 「ほう……それじゃ久しぶりに、一暴れするか」
 志郎と敬介の生身バトルが展開すると、再生怪人トリオは逃走。二人はそれをバイクで追うと、ギャラリーの居なくなったところでセットアップと変身V3し、競馬場で『X』主題歌バトル。
 先輩の前でいきなりライドル抜いたら、「けしからん! 最近の若いライダーはなっとらん! グラウンド30周!」になるかもしれない、とひとまずライドルは抜かずに戦うXだったが、二人のライダーは再生怪人トリオをあっというまに片付け、しかし全ては、Xライダーの戦闘データを集める為のキングダークの罠であった!
 ……と、過去2作の振り返り → 妄想5人ライダー勢揃い → 前作主人公客演 → ゴッドの新たなる攻撃の布石 と繋げていって、
 次回――
 「倒れたXライダーを救ったのはV3・風見志郎である。
 彼はXライダーにマーキュリーパワーをセットした。
 見事パワーアップに成功したXライダー。
 強いぞ、Xライダー!」
 ……予告がほとんと喋ったような(笑)

◆第28話「見よ! Xライダーの大変身!!」◆ (監督:内田一作 脚本:村山庄三)
 蜘蛛に飛びかかられた白衣の男性が倒れると、その顔に大量の蜘蛛が群がる超気持ち悪い映像に始まり、続発する科学者殺害事件。
 被害者の元にはいずれも、事前にナポレオンの肖像画が送り届けられており……そんな出処不明なもの、部屋に飾るな(笑)
 肖像画を通して移動する能力を持つクモナポレオンは、日本が誇るマッドサイエンティスト狩りを行う傍ら、RS装置の設計図を狙って野中博士の家を……襲ったのか、片っ端からマッドサイエンティストを襲っては手当たり次第に「2月2日、南原博士から設計図を送られたのは貴様だな?」を繰り返しているのかはハッキリしないのですが、現場指揮官に次から次へとタスクを放り投げて作戦の優先順位が行方不明になるのは、由緒正しいゴッド仕草ではあります。
 衆人環視の中、肖像画の絵柄が変わっていくのは定番ですが嫌なホラーで、肝心の野中博士は渡米中で不在ながら、妻子を脅したクモナポレオンは設計図を入手し、一足遅れで駆けつける敬介。
 「おまえが神敬介か……会いたかったぜ。俺はおまえを必ず殺す。俺の辞書には不可能という文字はないのだ」
 クモナポレオンを追う敬介は、吸血クモによる不意打ちを受けて行動不能の危機に陥るが、海に転がり落ちた事で(?)クモが剥がれ落ちると、セットアップ!
 だが必殺である筈のXキックはクモナポレオンに軽々とはじき返され……何やら、凄く既視感のある光景です(笑)
 「もがけ……もっともがけ……! もがけばもがくほど、おまえの体からエネルギーは無くなってゆくのだ」
 クモナポレオンの放った糸によりエネルギーを吸収され、あらゆる技の威力が豆鉄砲になってしまったXは再び絶体絶命となり意識を失うが、首ちょんぱの危機を救ったのは、既視感の主である仮面ライダーV3!
 V3先輩はXを救出すると喫茶店に運び込み、
 「クモナポレオンに勝つには……マーキュリーパワーしかない」
 と、同意無用の緊急手術を決断。
 ナレーション「マーキュリーパワーとは、必殺技・真空地獄車を生み出す為の、新しいパワーなのである」
 一つのナレーションに初出の固有名詞が二つ入ってきて困惑しますが、名称は、今作初期の怪人モチーフに多く用いられたギリシアローマ神話の流れでありましょうか……マーキュリーすなわちヘルメスといえば、神々の伝令にして亡魂の案内者でありますが、含意の有無はさておいて、マルス回路とかジュピター回路とかに較べれば、遙かに穏当か。
 風見先輩が、Xライダーにマーキュリー回路をセットする為に全身の血液の入れ替え作業(二重に死んで再生するニュアンスでしょうか)を始める一方、ゴッドではキングダークの
 「馬鹿もん! おまえの持ってきた設計図は、偽物だ」
 が炸裂し、「馬鹿ー」はゴッドの公用罵声。
 野中母子にいっぱい食わされたと怒りに震えるクモナポレオンは野中息子をさらい、手術中で身動き取れない志郎と敬介に代わってゴッドを追跡した藤兵衛は、野中少年ともども囚われの身となってしまう。
 焦る志郎は手術を進め……敬介のボディを切り開くと、丁度良い空間にスポッと収まるマーキュリー回路(笑)
 明らかに初期設計で回路の増設が想定済みなのですが、一体どこの誰が作ったんだマーキュリー回路。
 後は電気を流して再起動だ、とダイヤルをいじる風見先輩だが……肝心なところで計器が爆発。特に何者かの妨害というわけでもなく、純粋に爆発。先輩が困っている内に、更に爆発。
 昭和のやらかし大将が後輩を冥土の落とし穴に落としかけていた頃、クモナポレオンのアジトでは、半裸に剥かれた野中少年が電動ノコギリで股間から真っ二つの危機に陥っており、主な想定視聴者であろう、男の子に対する恐怖感の抉り方が凄い(笑)
 風見先輩は後事を天運に託して藤兵衛と少年の救出に向かうとライディング変身を行い、見せ場の順序として敬介の覚醒を引っ張りたい事情はわかりますが、理由付けが本当にいきなり計器が爆発するだけなので、サスペンスとしての盛り上がりは大変微妙な事に。
 ……まあそもそも、マーキュリー回路が無から飛び出してきたので、サスペンスも何もないといえばないのですが。
 藤兵衛と少年を救出したV3は蜘蛛の巣ジャングルに絡め取られ、雑に量産される再生怪人も加わってのリンチ寸前、それを止めたのは先輩に放置を受けながらも死の淵から甦った神敬介。
 「生きていたか神敬介!」
 「そう易々と死んでたまるか……俺は昔の俺じゃない。行くぞ、クモナポレオン! ――大変身!!」
 自ら蘇生/新生を告げた敬介は、両手を頭上に力強く掲げると左右に広げていく動作から飛び上がり、セットアップの省略された新たな変身を行い、立ち上がりに敢えて廃していた「変身」の二文字が遂に戻ってきてしまったのはちょっと残念なところもありましたが、Xライダーへと空中で姿を変えて着地すると、テンション高いBGM(挿入歌インストのイントロ)と共に、仁王立ちしたXの背後でいきなり爆発が起こるのが、とても面白かったので良し!
 新生Xは吸血クモを顔面に張り付けられても全く動じず、
 「痛くも痒くも無いわ!」
 と放り捨て、蜘蛛の巣攻撃も意に介さない不動の精神力を見せつけると、
 「真空・地獄車!」
 を宣言。
 技の動作に入りながら叫ぶわけでもなく、フィニッシュの所で叫ぶのでもなく、動作の開始前に標的に向けて叫ぶので、なんというか、宣言。
 これが貴様を冥府へ送る特急列車だ! とジャンプからクモナポレオンに組み付いたXは、敵が押し返してくる力を利用して地面をゴロゴロ回転すると、そのまま飛び上がって再び地面を回転。勢いをつけて巴投げの要領で投げ飛ばすと、空中で身動き取れない怪人の背中めがけて、地面を蹴った反動で飛び上がってのXキックを叩き込み、強敵クモナポレオンが盛大に弾け飛ぶと、一連の動作を振り返りながら、続けてナレーションが詳細に解説(笑)

 ナレーション「真空・地獄車とは! 相手の力を利用した、必殺技である。大地を高速回転しながら、敵の頭を大地に叩きつけ、戦闘力を失わせ、更に空中に放り上げ、急降下に移り、地上に激突させ、最後に、Xキックで勝負を決する、必殺技である」

 執拗に脳へと打撃を叩き込む思ったよりえげつない新必殺技でしたが……言われて改めて確認してみると、確かに回転の度にゴツンゴツンといい音が。
 後輩に、どんな怪人も脳に打撃を与え続ければやがて死ぬ、と新たなライダー殺人技を贈った赤い赤いアイツは、見えないところで再生怪人2体を適当に屠っており、ゴッドの邪心を砕いて設計図を入手した先輩後輩が、互いにエールを送って、つづく。
 お互いに体をバンバン叩く手荒な挨拶は、ライダーの伝統に則って体育会系でありつつ、ダブルライダー先輩にはちょっと怖くて出来ないけど志郎と敬介なら成立する、という感じでありましょうか。
 前回後半を受けての先代主人公客演から、あまりにも突然の強化・あまりにも突然の新必殺技修得。
 とにかく一切の説明の入らないマーキュリー回路の存在が雑の極みでしたが、クモナポレオンの恰幅のいいデザインはなかなか面白く、大変身から真空・地獄車! の勢いには、一定の面白さはありました(笑)
 これまで、ライドルの変形により見栄えのする殺陣のバリエーションはあった一方、必殺攻撃は基本的にXキック一辺倒に物足りなさも出ていたXライダーが、組む・投げる・打つ、の3要素が揃った新必殺技を修得し、成り行きから考えるとマーキュリー回路に組み込まれたプログラムなのですが、果たしてプログラムしたのは誰なのか? 
 風見志郎は如何にしてマーキュリー回路を手に入れたのか?
 神啓太郎は本当に死んでいるのか?
 Xライダーの本当の敵は誰だ?!