東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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黒い設計図! 父よあなたは駄メンター?!

非公認戦隊アキバレンジャー』感想・第7話

◆第7話「妄走イタッシャー限界突破せよ!」◆ (監督:田崎竜太 脚本:荒川稔久
 赤木ナレーションによる前回の振り返りの締め、
 「やあみんな! 元気か? 俺達は――愕然としてる」
 の言い回しがとても面白かったです(笑)
 マルシーナがタクシーで亀有へと去った後、3人はひみつきちで葉加瀬に事の次第を報告し、葉加瀬のモニタ-、別に妄想世界の映像は見えていなかったあまりにも衝撃の真実。
 というわけで葉加瀬にアキバレンジャーのビジュアルを伝える事になり……身内に、腕の立つ絵描きが居て余計なトラブルは回避されました。
 「……ありえないよね」
 マルシーナのイラストを見た葉加瀬はなにやら憂いげな表情でこぼし、一同から怪訝な視線を向けられると
 「やっぱりあなた達……疲れてるのよ」
 と話を打ち切り、つまりこれは、<炎の黙示録>が始まってしまうのか、それともズキューンシステムの深刻な副作用なのか。
 赤木信夫29歳にお薬風呂の危機が迫る中、一同をひみつきちから帰した葉加瀬が奥の金庫から取り出したのは、赤木が妄想した筈のマルシーナそっくりのイラストと、萌え萌えずきゅーんのデザイン画であり、記されたサインは共に、T・TSUZUKI。
 「どうして私にこれ託したの…………パパ」
 らしからぬシリアスな描写が続き、え、これはあれ? 暗黒駄メンター案件なの?!
 一方、秋葉原に空きテナントを見つけたマルシーナは、悪のメイド喫茶をオープン予定、とひみつきちに花束を送りつけ、赤木らのカチコミを待ち受ける。
 「なんなんだおまえは……なんで俺の妄想から生まれたおまえが……」
 「なにそれ? ふざけないで! あんたなんか、私の生みの親じゃないわ」
 「なんだと?」
 赤木の妄想の産物である事を敢然と否定したマルシーナは、秋葉原の人間を吸血鬼にする作戦が進行中……と窓の外に意識を向けさせると、そこではいつの間にやら吸血鬼パニックが発生中。これはもう、献血詐欺の現場でも見ていつの間にやら妄想が始まっているパターンなのでは?! と勢いで止めに向かった3人は重妄想で変身するが、妄想転位した先には何故か、マルシーナの姿は不在。
 現実では、壁に向かって重妄想に突入した3人の背後で笑顔のマルシーナが弁当を配っており、吸血鬼パニックはエキストラを雇った芝居だった、というのは、思わず唸らされる見事な説得力でした(笑)
 アキバレンジャーが妄想の中で、寄生した戦闘員に超運動能力を与える代々木クモ怪人と戦闘を開始する一方、マルシーナはひみつきちにカチコミリターンを仕掛け、突然の立ち回りを見せる店員さんだが、マルシーナに敗北。
 マルシーナは葉加瀬の前で葉加瀬父の名前を出し、え、これはもしかして、娘を連れて出て行った妻に代わる、理想の俺の嫁の姿なの?!
 葉加瀬はマルシーナのガス攻撃を浴びて気を失い、非公認らしく痛々しいタイプの暗黒駄メンター誕生の可能性に激震が走る中、本家でもちょっと見ないような無重力アクションを見せる代々木クモにより、萌え萌えずきゅーんを奪われてしまうアキバレンジャー。このままでは3人はずっと、重妄想世界から抜け出せないまま秋葉原名物・動く痛いオブジェと化してしまう……アスリートダッシュで逃げる代々木クモを追いかけ、敵が鍛え上げた神秘の肉体なら、こちらは科学の力だ! とマシン痛車を召喚して追跡する3人だが、それもまたマルシーナの罠であり、ステマ乙、アイキャッチを侵略。
 「何が起こるか、楽しみにしてなさい、アキバレンジャー
 通信機を奪い、葉加瀬の声真似でアキバレンジャーを誘導するマルシーナが、急に凄く貫禄と存在感を出してきて、ちょっとビックリです(笑)
 どこまで狙ったものかはわかりませんが、これまではあくまでアキバレンジャーの妄想世界において「悪の女幹部役」を演じているだけだったマルシーナが、妄想世界を飛び出した事でその役割を外れ、「マルシーナ」という自立した個人と化していっているように見えてくるのは、面白いところ。
 「目的はただ一つ。あいつらに壁を破ってもらうのよ! そこから何かが起きると信じてね!」
 マルシーナは、自転車に乗って加速する代々木クモに追いつく事に妄想を集中しろ、と偽のアドバイスを送り、己のレゾンデートルを得る為に、第4の壁ならぬ第3.5ぐらいの壁の破壊を画策。
 すっかり乗せられているアキバレンジャーは、周辺世界の妄想を簡略化する事によって妄想を巨大クモとのチェイスに絞り、緑のフレームの中で展開する巨大クモvsイタッシャーロボの図は、ちょっと『ドンブラザーズ』になってきていた(笑)
 代々木クモの火球攻撃を受けて本格的な危機に陥った3人は、緊急事態を切り抜けようとして、妄想世界の壁に、ずきゅーんパンチ。その結果、巨大な次元の扉が開くと、「現実」の秋葉原痛車ロボが出現する驚天動地の展開で、巨大クモとそのまま激突。
 「歯止めのない妄想力! どこまで行くかしらねぇ!」
 拾った看板ガンで代々木クモは撃破するが、状況は大大混乱大大混沌で、前回今回とここまでの作品のルールを真っ正面から揺さぶった流れからクライマックスは派手な花火でまとめ、なにやら劇場版もしくはラスト2話のような展開(基地も襲撃されましたし)。
 パロディやギャグは控えめでしたが、アスリート怪人と痛車の追いかけっこなど、公認で飛び出してもおかしくはない状況設定だが非公認らしい画の面白さは間違いなく『アキバレンジャー』で、内包する温度差のバランスの取り方に、田崎監督の巧さが光る一本でした。
 葉加瀬を捕まえたマルシーナを追う3人は、壁に向かって妄想に励む自分たちを見た事で変身が解除されて本来への姿と戻り、それを見たマルシーナは葉加瀬を解放。
 「また会いましょ。……ありがとう、アキバレンジャー
 果たしてその狙いはなんなのか? アキバレンジャーステマ怪人の実体化は、世界に何をもたらすのか? 父は色々と大丈夫なのか?!
 図らずも「現実」でヒーロー活動をした感動でそれどころではない赤木たちに代わり考え込む葉加瀬だが、答の見えないままマルシーナもなりを潜めてしばらく平穏が続いたある日の事、ひみつきちの電話が鳴ると、何故か店員のごとく対応する萌黄。
 「葉加瀬、お電話でござる」
 「誰から? ……まさかマルシーナ?!」
 「……もっと凄い人でござる」
 け、警察?!
 先日の爆発事件に関してちょっと窺いたい事が……あ、でも、警察なら、直接店に来るか……ではなく、
 「東映のプロデューサーの、塚田さんでござる」
 日笠Pに肩を叩かれたのか、塚田Pが非公認世界に巻き込まれ、次回――果たして非公認は、社内コンプライアンスの観点から封印作品になってしまうのか?!