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スペース・ランナウェイ・アイツ

ウルトラマンブレーザー』感想・第11話

◆第11話「エスケープ」◆ (監督:武居正能 脚本:足木淳一郎)
 「ブレーザーは明確に作戦の妨害をしていた。我々の味方とは限らなくなってきたな」
 前回の、ひゃっはー! 親子仲良く串刺しなら焼き鳥にされても寂しくないだろうよーーー! を自分自身に止められて、「ダークに生まれしものは、ダークに帰れぃ!」ごっこ、もとい、「鎮まれ、俺の右腕……!」事件がスカード内部でも振り返られ、隊長がちょっと気まずい中、地球に近づく巨大隕石。
 隕石を怪獣と認識した防衛軍は早期に迎撃態勢を整え、アンリがガラモンに触れたり、副隊長が宇宙怪獣の侵入が地球の生態系に影響を及ぼす可能性を指摘するなど、ここまでのキャラの積み重ねを反映したやり取りが良いところ。
 「スカードとしては、ブレーザーが現れた時、味方として認識しますか?」
 割とこれまで、成り行きで受け入れていましたしね……。
 その場は「まー…………様子見だな」と誤魔化し加減に答えたゲントはポケットの中のメダルを見つめると、作戦待機中のアースガロンの中では
 「……自分の中に、別の奴が居るってわかったら……アンリなら、どうする?」
 とぼそっと呟き、こちらもこれまで割と成り行きで受け入れていた(まあ、受け入れざるを得なかったわけですが……)ブレーザーの寄生について真剣に向き合い始めるのが、作品のターニングポイントとして良い見せ方になりました。
 今作こういうところでコミカルにしたがる傾向がありますが、ここに関してはシリアスで良かったなと。
 地球に近づく巨大隕石は、地上から放たれたミサイルを放電で迎撃。明らかに手足のようなものがついた存在である事が示されると、司令部とスカードサイドを行き来しながら巨大隕石に対する迎撃作戦の流れが描かれていくのが、恐らく意図的なものでしょうが、第1話に似たアプローチ。
 待ち受けるアースガロンのレーザー攻撃を高速機動でひらりとかわした隕石は、地表近くで減速すると湖畔に10点満点の着地を決め、隕石モードで丸めていた手足を広げていくと、目と口に見立てられる胸の模様が顔を出す不気味さは、宇宙から飛来した謎の存在の見せ方として120点。
 それが良かっただけに、すぐにテロップ出して「怪獣」のカテゴリに収めてしまったのは、ちょっと勿体なく感じましたが、今作ここまでの決まり事ではありますし、そういった「人知を越えた脅威」を全て「怪獣」と定義づけるのが、(恐らくメタ的な意識も含めて)今作世界の在り方、とはいえますが。
 アースガロンは近接戦闘でヒトデ型の電磁怪獣ゲバルガに立ち向かい、誘導弾着弾までの足止めとして、パワーに勝る怪獣を相手に真っ正面からウルトラ空手で挑むアースガロンの姿は見せ場たっぷりで、アースガロンアッパー!
 ゲバルガに有効打を与えたかに思われたアースガロンだったが、怪獣は隕石モードに移行すると、放電。そして胸部の口のように見える部分が緑色の光を放つと、強烈な電磁パルスフィールドを生みだして誘導ミサイルを全て無効化。隊長の咄嗟の判断で、すたこらさっさと全速離脱していたアースガロンもフィールドに飲み込まれるとシステムダウンし、湖へと墜落してしまう。
 ゲバルガは悠々と活動を再開して街へと迫り、気絶耐性持ちの隊長はアースガロンの中で目を覚ますと、
 「……この状況じゃこれしかないか」
 と、意思疎通に若干の不安を抱えながらも、ブレーザーへと変身。
 開幕の飛び蹴りを怪獣の側頭部に叩き込むと、はー、えっささー、えっささー!
 ウルトラの戦神に捧げる奉納の舞いから狩りへと入り、URYYYYYYYYY、このブレーザーの前では、貧弱貧弱貧弱ぅ、と怪獣の固い外殻に猛然と打撃を打ち込むブレーザーだったが効果は薄く、逆に回転攻撃で吹き飛ばされたところに迫り来る、ゲバルガ電磁ビーム。
 横っ飛びからの二丁拳銃アクションで慣れない光線技を放ってみるもあっさり防がれ、迫り来るゲバルガ泥鰌掬いアタック。
 アースガロン戦に続いて市街地での格闘戦は迫力たっぷりで盛り上がり、1クール目の締めは田口×小柳かと思ったら武居×足木でしたが、「盛りだくさんのアクション」と「怪獣を解析しながらの作戦行動」という『ブレーザー』二本柱の魅力をバランス良く配置してくれて鮮やかでした。
 難を言えば、防衛軍の偉い人を定型文のように感じ悪く描く必要は無かったように思えますが、次回に繋いでこの辺りで参謀長のキャラ(上官としての立ち位置)も掘り下げる狙いでありましょうか。
 組み付きからの放電になんとか耐えたブレーザーは、ウルトラの槍を産み出すとサブマリン投法で投げつけるが、これまで多くの怪獣を狩ってきた必殺技も完全にガードされてしまう。
 そのまま範囲放電に巻き込まれるとコアが赤く点滅を始めたブレーザーは、まるで内部の意思が戦いを恐れるかのように、体を投げ出して怪獣の前転アタックを回避し…………あれ、このウルトラマンもしかして、ウルトラヤクザ魂が入ってない……?
 アースガロンへの離脱命令を出した際の隊長にブレーザーの顔が重なる演出で……ブレーザーは今初めて、「にげる」コマンドを覚えた……?
 エネルギーをチャージし始めた怪獣に対して、再びウルトラの槍を取り出すブレーザーだが、投擲直前、左腕が右腕を止めてブレーザーの行動と意思のせめぎ合いが始まり、状況はすっかり「戦うか 戦えるか おびえる心よ」。
 「……ウルトラマンが逃げた」
 ゲバルガの放電攻撃を辛うじて回避したブレーザーはそのまま飛び去り……次回――「宇宙電磁怪獣ゲバルガを前に、なすすべの無かったブレーザーヒルマゲント。両者を繋ぐのは、ただ一つのドス」。
 男の貫目はドスの重みで決まるんじゃブレーザーーーー!!
 妙にあっさりしたサブタイトルは、ラストのインナーブレーザーさん(?)の行為を示しており、終盤だいたい「復活のイデオン」なエピソードでしたが、次回、雄叫びが電光石火の一撃を呼び、恐れるな心開けよ復活の時?!
 なお、ウルトラヤクザ魂というのは、こういう感じのやつです。


 ウルトラマン80、おまえの勇気は死んだのか。肉体よりも早く、おまえの精神は、死に果てたのか。 ウルトラマン80よ、立て! 立って戦え! おまえの勇気を、正義の矢として、悪を倒すのだ!」

ウルトラの父/『ウルトラマン80』第38話「大空にひびけ ウルトラの父の声」(監督:外山徹 脚本:若槻文三))

 どうもまだ、ウルトラ一家(だいたい宇宙ヤクザという認識)の盃を受けてなかった様子のブレーザーさんですが、あ、やっぱり、ドスに帰着するんだな、と大変納得し、予告の映像とナレーションにおけるサブタイトルの盛り込み方も非常に良い具合だったので、期待大。