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ヒロイン力招来

イナズマンF』感想・第21-22話

◆第21話「死者部隊ルート047」◆ (監督:山田稔 脚本:上原正三
 急にラフなジーンズとジャケット姿になった五郎は、霊柩車に潜んで移動するスプレーデスパーを追い、スプレーデスパーが逃げ出した後に残された棺の中には、何故かファントム軍団の制服を着た中年男性・倉山の死体が!
 死者を密かに移送するデスパー軍団の目的は何か……をサスペンスの軸として進行し、詳しく調べたところサイボーグ化されていた倉山の死体は、スプレーデスパーが発する謎の煙を浴びると、サイボーグ兵士として甦り逃走。
 「サイボーグ……つまり、機械仕掛けの人間。電池を入れる前の玩具だったとすれば、いつでも思いのままに動かす事ができる」
 「霧と稲光が電池です。デスパーの科学力なら、難しい事ではありません」
 という会話を、倉山の息子である少年を挟んで行う荒井と五郎のデリカシーが地獄絵図。
 「父ちゃんがサイボーグだなんて、そんな馬鹿な!」
 「心配しなくていい。サイボーグだって手術すれば、元の人間に戻る事ができる」
 この世界ではそういう設定です、という事ならそういう設定なのでしょうが……今作ここまでの描写を見る限り、そもそもサイボーグ技術が一般的ではない(デスパーだけの技術)と思われるので、五郎の適当言っている感が凄い事に。
 ナイフデスパー回で見た気がする工場跡のようなロケ地で、サイボーグ倉山とその息子を再会させる事に成功する五郎と荒井だが、がっちり洗脳されていた倉山は息子にナイフを突きつけ、またも敵の手に落ちる渡五郎@ヒロイン。
 「二人とも死んでもらおう。おまえに、ルート047計画を、邪魔されてはいかんのでな」
 デスパー軍団は死体に偽装したサイボーグ兵士を世界各地に送り込んでおり、紛争を煽って人類同士を戦わせようとするデスパー軍団許すまじ! は上原大先生の好みっぽいアイデアですが、せっかく「デスパーシティ」という大がかりな舞台装置を用意したのに全く触れられないまま、デスパー軍団の作戦がこれといって面白くなくなっている――ゲストの事情のおまけ扱いになっている――のも、今作が好みから外れてしまった部分。
 私はもっとこう……大がかりでとんちきで、そのくせ地味に人類社会にダメージを与える作戦が見たいのです(笑) まあそれでも立ち上がりのデスパー軍団は、ファントム軍団との差別化もあって、規模が大きくて冷酷な作戦を仕掛けてきていた点は、組織の性質を出していて良かったのですが。
 ……やはり、返す返すもウデスパー参謀を喪ったのが惜しまれます。
 柱に縛り付けられた五郎と倉山少年は時限爆弾で爆殺の危機に陥るが、追い詰められた五郎が叫ぶだけで剛力招来に成功(第5話以来、2回目)。
 サナギマンが溢れる筋力でロープを切ると時限爆弾をぽいっと投げ捨てて危機を回避する恐ろしいほどに盛り上がらない流れから、荒井と倉山が始末されそうになった所に飛び込んで超力招来。
 「スプレーデスパー! ルート047計画は、私がぶち壊してやる!」
 雄々しく拳を握るイナズマンに向けて、スリープ中だった死者部隊が起動して襲いかかり、サイボーグ兵士の定義づけはともかく、ファントム兵士の軍服を再利用しての立ち回りは、映像的に面白いアイデアでした。
 スプレーをナイフに付け替えてアイデンティティが行方不明になったデスパー怪人の顔面に連続パンチを叩き込むイナズマンだったが、飛び蹴りをネットで受け止められると、虎の子のゼーバーを落としてしまう大ピンチ。
 だが、雷神号を呼び出すとジェット噴射でネットを焼き切って脱出し、拾ったゼーバーから繰り出した落雷の術により、スプレーデスパーは大爆発して散るのであった。
 倉山はなんか元に戻って大団円となり、ゲストの悲劇性に焦点を合わせたエピソードでは何かと出しにくい雷神号の出番を作りつつ(そろそろ最後の出番……?)、〔悪の組織の計画に巻き込まれた親子-ヒーローと子供の交流-問題の解決〕と全体の構造は極めてオーソドックスでしたが、今作における曖昧な用語の筆頭格だった「サイボーグ」に焦点を合わせたら、ますますもってよくわからなくなった感(笑)
 サイボーグを「人体の一部(大部分)を機械化した存在」と定義するならば、「元の人間に戻る」=「機械化した部分を生体組織に戻す」だと考えられますが、その組織は一体どこで調達してくるのか……デスパーではサイボーグ技術が発達しているが、今作の一般社会では細胞培養技術が発達しているのでありましょうか。
 サイボーグから戻った「元の人間」とは何か? キャプテン・サラーはどこに居るのか。幸せを掴む日はいつか。次回――なんか怪人が異色の方向性。

◆第22話「邪魔者は殺(け)せ ガイゼルの至上命令」◆ (監督:山田稔 脚本:塚田正煕)
 「邪魔者は消せ。我がデスパーに楯突く者ども、そして渡五郎……イナズマン!」
 デスパー軍団を探る為に来日したインターポールの捜査官が次々と殺害され……荒井に接触したら捜査官だとバレるから確実な情報を掴むまで荒井には接触しないルール、の時点で、もはや色々と駄目なのではないか、荒井。
 荒井と五郎もまた、デスパーの狙撃手ハンター05に狙われるが、狙撃に失敗したハンター05は口封じに抹殺され、これ見よがしに姿を現す謎の女――その正体は、ハンター部隊の指揮官・ブラックデスパーの妹、白鳥ジュン。
 超能力少年のやたら凜々しい姉役で第5話に登場した牧れいさんが別の役柄で再出演となると、殺された捜査官が残した暗号に示されていた喫茶店では、ジュンがギターの弾き語りを行っており……凄く、『イナズマンF』です。
 だいぶじっくり聞かされる歌が割と巧いのは助かりましたが、ジュン役の牧れいさんは歌手活動もされていたそうなので、本人歌唱でありましょうか。
 五郎と荒井が店内の様子を窺っていると、怪しすぎるメキシカンコスプレの男が荒井に接触し、コスプレ捜査官同士の魂が繋がり合う……事はなく、メキシコ男の正体は、自称“黒金の殺し屋”ブラックデスパー。
 全身黒塗りで黄色のラインが入り、のっぺりしたマッスル体型がここまでのデスパー怪人とは全く毛色の違うデザインで、そこはかとなくブラックオックス(『鉄人28号』)風味。胸にスペードマークが刻まれているのは最後まで謎でしたが、スートを刻まれたハンター4兄弟とかやる予定があったのか、それとも何か、他作品からの流用だったのか(と思うぐらい、着ぐるみの方向性も違う感じ)。
 ブラックと五郎が殴り合っていると、物陰からジュンがブラックを狙撃し、荒井と五郎から立て続けに蹴りを入れられたブラックデスパーは撤退。
 「さっきの銃声は?」
 「またあの女だ」
 「……敵か味方か」
 アジトに戻ったブラックデスパーはサデスパー参謀から折檻を受け、処刑寸前、その部下であるハンター02-03-04が割って入り、助命を嘆願。
 ギターの女=ハンター02=インターポールの秘密調査官・白鳥ジュンであり、両親を殺したデスパーを憎んでいたが、デスパーに改造された兄の為にインターポールを裏切ったと宣言したジュンは五郎へと銃口を向ける。
 「……君の言う通りだ。悪は滅びる」
 「余計な事はよして! 渡五郎、死んでもらうわ!」
 主人公の関与しえないゲストの一人語りが“ドラマ性”として持ち込まれると、ヒーローはそこになんの「変化」を与える事も許されない(或いは「変化」に説得力がない)まま、視聴者も主人公もそっちのけで悲劇に向けて驀進していく、『イナズマンF』こだわりのメニューですが、今回に関しては、女優さんの力で強行突破。
 筋はともかく芝居のパワーが物語をクライマックスへ向けて腕力で動かし……後の『仮面ライダービルド』における、桐生戦兎役の犬飼貴丈さんの瞬間的な爆発力が凄すぎて、要所要所で筋はぐちゃぐちゃでも話を成立させてしまったのと、似ているかもしれません(笑)
 五郎を狙った銃弾が、もつれあうジュンを撃ってしまったハンター01は、ブラックデスパーへと変身。五郎は剛力招来し、槍に突き刺されたり投げナイフを受けたり、久々にじっくりとMゲージを溜めたサナギマンは、超力招来!
 水上の材木置き場を利用しての主題歌バトルは、久々に見せ方の面白い戦闘シーンとなりましたが、人間体は明らかに射撃スキル持ちなのに、どうしてデスパーは、筋肉を増量した格闘サイボーグに改造してしまったのか。
 飛び蹴りの打ち合いで勝ったイナズマンは、念力キックから落雷の術で大勝利。
 「イナズマン! 今に見ていろ!」
 ガイゼルの遠吠えタイムを挟んで、五郎が白鳥ジュンの墓に花束を捧げていると、ジュンが投げ捨てたIPバッジの中に暗号が仕込まれていた事が判明。ジュンは自分の信じる正義と兄弟の情の間で揺れた末に、どちらにも思い切れないまま破滅する他なかった「人間」とされ、揺るぎない“公”の「英雄」である渡五郎/イナズマンへの皮肉めいた対比に置かれるのですが、ゲストと共に投げ込んだややこしめのテーゼはゲストと共に葬り去られる『イナズマンF』仕様で、全ては、デスパー軍団への怒りの炎の薪とされる。
 ようやくデスパーシティの名前が再び浮上し、次回――あ、あれ?! もう最終回?!
 この時代の作りとはいえ、最後は前後編仕立てぐらいになるのかと思っていたのですが、次回、怒濤の最終決戦!