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空にそびえるしろがねの城

忍者戦隊カクレンジャー』感想・第4話

◆第4話「妖怪ポリスマン」◆ (監督:坂本太郎 脚本:杉村升
 「食べるのと女の子には目が無い」と自称するセイカイは、カレー好きの大食漢イエローとして自己PRするが、それを耳にした小豆洗いのハニートラップに引っかかり、信号無視の現場を警官小豆洗いに咎められると逮捕を宣告されてしまう。
 それをかばったサイゾウも公務執行妨害のかどで手錠をかけられそうになり、慌てて逃げ出す2人を追いかけるチェイスシーンに、まさかのパトカー3台投入。
 逃走中にセイカイが小学生を突き飛ばすシーンは、前作『ダイレン』第3話における、公道最速バトルから小学生を轢き殺しかける将児と知(今考えても、さすがにやりすぎでした……)を彷彿とさせますが、確認したら、同じく坂本-杉村組でありました。
 警官隊から必死に逃げるサイゾウとセイカイは、家の壁を突き破ってお茶の間を突破していく完全なギャグマンガ演出を挟んで、協力プレイで行き止まりの壁を乗り越えようとするも、途中で取り押さえられたセイカイ、脱落。
 「おまえそれでも友達か?! それでもカクレンジャーの仲間かよ?!」
 這々の体でネコ丸に辿り着いたサイゾウはサスケからなじられ、「仲間」より先に「友達」が来るのは、シリーズとしてだいぶ珍しい印象。
 「カクレンジャーっつのはな~……こう、チームワークだろ、チームワーク!」
 前回センターに立った勢いでリーダーの座を狙い始めたサスケは、昨晩本で読んだような事を言い出すと、セイカイ解放の為に警察に直談判の先頭に立つが、いざ警察署を前にすると尻込みし、なにか、後ろ暗い事があるのではないかと少々心配になります(笑)
 ネコ丸の陰で誰を生贄に捧げるか揉めているところに現れた少年が、警察署が妖怪に乗っ取られていると訴え、小豆荒いの関与に気づくジライヤ。
 「この街の法律は私だ。私が好きに街を支配するのだ!」
 カーンデジファー憲法、ならぬ小豆洗い憲法によるセイカイ処刑の危機に、警察署への潜入を提案する鶴姫だが、サスケは断固として拒否。
 「それでも友達? チームワークが大事だって言ったのはサスケじゃない」
 「もーいいわよ。サスケなんかあてにしない」
 鶴姫はつーんとそっぽを向き、前年、『有言実行三姉妹シュシュトリアン』でメインキャストの一人を演じ、現場慣れやスタッフとの馴染みもあってでしょうが、過剰になりすぎず嫌な感じにもせずの案配に、存在感が光ります。
 かくしてサスケを残して潜入ミッションを開始する鶴姫・サイゾウ・ジライヤだが、巨大なゴミ箱と共に現れた警官小豆洗いが正体に変化し、ゴミ箱の蓋をキノコの傘に見立てたデザインは実に秀逸。また、顔面に「WELCOME TO JLHOUSE(監獄へようこそ)」と書いてあるのも、洒落た面白さ。
 3人は小豆洗いの放った忍法・幻ゴミ缶に閉じ込められてしまい、ここまでのところ「妖怪」なのか「妖怪忍者」なのかいまひとつハッキリしませんでしたが、やはり妖怪忍者で良い模様(ランクがあるのかもですが)。
 「心配するなって! このサスケ様が居る限り、おまえのオヤジは必ず助けてやる」
 「お兄ちゃん!」
 「……ついでに俺の仲間もな」
 少年から連絡を受けたサスケは、少年に向けて格好つけてみせると、音信不通となった警察署長である少年父を助けると約束する事でヒーロー度をブーストし、立ち上がり色々と変化球を仕掛けている今作ですが、ここは非常にセオリーに則った作り。
 変身忍術を用い、小豆洗いが元締めを務める妖怪バーに忍び込んだサスケは仲間たちを救出するが、少年父を人質に取られ、一転ピンチに。
 「そんなの卑怯よ!」
 「卑怯は生まれつき!」
 だがその時、飛び込んできた少年がダイレクトアタックを決めて父親を救出し、情報提供・アジトまでの尾行・逆転劇を演出、と少年の貢献ぶりが凄い(笑)
 この辺りも、“憧れの存在”としての良く出来たヒーローよりも、たまには助けられる事もあってどうにかヒーロー、という狙いではあるのかもしれません。
 「行くぞ! スーパー変化!」
 「「「「ドロンチェンジャー!」」」」」
 親子を守って5人は変身し、立ち上がりの流れとしては、ここで初の赤センターからキャッチコピーの方が格好良く決まった気がして、前回はちょっと惜しかったなと(まあ、5人揃ったところでフル揃い踏み優先はわかりますが)。
 「アズキアライ! 警察っつうのはなぁ、みんなから愛される警察じゃなくちゃいけねぇんだ! それをてめぇは、許さねぇ!」
 違法な妖怪バーは更地にしてやるぜぇとカクレンジャーは妖怪たちをばったばったと切り払い、互いに変身忍術を駆使して小豆洗いと追いかけっこになると(忍術というか仙術合戦のノリ)、自転車で逃げる小豆洗いを大型トラックになって跳ねる青、だいぶ鬼畜。
 トドメは黄黒が野球忍法で妖魔覆滅すると、小豆洗いとカクレンジャーは共に巨大化。
 ゴミ缶バキュームされた5人はそのまま丸焼きにされそうになるが、カクレン流奥義・ビッグバンにより内側からゴミ缶を爆破して脱出し、ここまでのところ基本的に、ピンチはざっくり克服する作り。
 そこからいきなりの忍者合体・無敵将軍!を発動すると、
 腕がー!
 脚がー!
 とバキバキ折れた5人は、赤が胴体・青白が両腕・黄黒が両足に変形合体し、赤のスケールが微妙に変わっている気がしますが、きっと忍法です!
 「「「「「無敵将軍、誕生!」」」」」
 最後に折り鶴ヘッドを被って5人は合体巨大ロボ・無敵将軍となり、メンバーの不始末による封印解放に始まり、あれこれ変化球を放り込みながら手順を踏んできた今作ですが、サスケの扱いにしろ巨大ロボ誕生にしろ、最後の一手で『カクレン』としての積み重ねが跳ねるというよりは、雑な手癖めいた形でざっくり片付けてしまったのは、惜しいところ。
 あまり奇抜にやり過ぎると、それはそれで「シリーズの意味」や「従来のファン層」を失いかねないのでバランスの取り方も難しいところではありますが……ここで直球を放り込むのが劇的になるというよりは、段取りを丁寧に組み立てきれずにだいぶ強引に直線道路に繋げてしまったなと。
 無敵将軍は小豆洗いに切りかかられるも微動だにせずそれを受け止める防御力を見せつけると、力強いパンチを顔面に叩き込み、シャチホコブレードを引き抜いての火炎将軍剣でずんばらりん。
 「「「「「南無三」」」」」
 かくして、合体忍術の奥義を会得する5人であったが、今回のMVPとしてメンバーに接待を要求するサスケは、報復として昼寝中に置き去りにされ、チーム一丸にはまだまだ遠いのであった、でつづく。
 ……サスケの、U.S. AIR FORCEシャツが微妙に気になって仕方なかった今作ですが、今回のゲスト少年はCANADIANシャツであり、そういう路線(?)でいくのか。
 先達として思い出すのはやはり、BARCELONAジャケットの学兄さん(『地球戦隊ファイブマン』)であります。
 次回――サイゾウinデスゲーム。