東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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向き合わなければ生き残れない

20年ぶりの『龍騎』メモ・第47-48話

(※サブタイトルは本編中に存在しない為、筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆第47話「隘路」◆ (監督:長石多可男 脚本:小林靖子

  • 優衣を消さない為に、他の誰かを消す事が出来るのか――ナイトと激しく剣をぶつけ合う龍騎だが、ファイナルベントを発動する事が出来ずにガックリと膝を付き、今回はほぼ丸々、“どうしても割り切れない真司”の姿を描き続けるのですが……最終局面において、「優衣の命」か「その他複数(多数)の命か」を天秤に乗せる物語には、どうにもこうにもノれず。
  • 「“究極の選択”を突きつけて、個人の“正義”を問う」のは今作の主題ではあるのでしょうが、好きか嫌いかとしては、好みではないところに辿り着いてしまいました。
  • これは完全に物語の得意不得意の話になりますが、私は最終的にその設問自体を破壊していくヒーローが好きなので。
  • 多分この点は、20年前と同じような感想。
  • 突然ばったり地面に倒れ振るシロアリモンスターの群れ……怖い。更にその場で丸まるとサナギのような姿になって完全に動きを止め……気持ち悪い。
  • アメリカに飛んでの取材から帰国した令子は、神崎士郎の研究資料と死亡診断書の写しを手に入れており、士郎の関係者の店だとわかっている花鶏店内で死亡診断書ですよヒャッハーするのが、凄く令子。
  • 契約者を失い、無差別に人間を襲っていたはぐれタイガーはざっくりとバイクで轢き殺され、再び対峙する龍騎とナイト。
  • 「決めたんだ……迷わない……何も考えない……」……だが龍騎はナイトに剣を振り下ろせず、光明の見いだせない袋小路の中でうなだれ崩れ落ち、北岡は意識不明となって倒れ、浅倉は、割と普通に生きていた。
  • 「――タイムリミットだ」……哀しき狂気の愛を貫こうとする神崎士郎が口にし、サナギを破り変態するモンスターの群れで、つづく。

◆第48話「真実」◆ (監督:石田秀範 脚本:小林靖子

  • 優衣の誕生日まであと3日――神崎士郎は生き残った3人を呼び出してザギバスゲゲルを迫ると、欠席者は脱落と宣言し、TV本編に登場しなかった仮面ライダーは、どうなったかわからないけど、とにかく脱落とされる事に。
  • 結局、完全にパラレルな劇場版とTVスペシャルを含めての“13人”となり、この世界では、見えないところで何かあって脱落、となってしまったのは、プロモーションや商業的要請を含めた諸事情あったのでしょうが、残念なところではあります。
  • もしTV本編に全部詰め込んでいたら……はifにしかならず、完成度を上げていたか下げていたかは判断のつかないところではありますが、物語の初期にあおった期待感に対しては、どうしても肩すかしにはなってしまったかなと。
  • 「お兄ちゃん……お兄ちゃんが終わらせないなら、私が終わらせる」……そこに飛び込んできた優衣は、とりつくしまもない士郎の態度に業を煮やすと投身自殺を決意。身を挺した訴えに折れたかと思われた士郎だが、隙を突いてアパッチモンスターに優衣の身柄をさらわせる。
  • 「北岡……脱落だと? ……させるかよ」……優衣ちゃん誰それ状態の浅倉は北岡の事務所に向かうが、北岡は入院中。鏡の向こうに、羽の生えた青いモンスターの姿を見た浅倉は、ストレス発散の為にミラーワールドへ。
  • 「言ってる事はわかるよ。だからおまえは、恵里さんを助けようとしてるわけだし。俺……それはを否定するつもりはないから」「おまえはそうやって! なんでも飲み込もうとするから迷うんだ!」
  • 優衣の選択を尊重しようとする真司、自分の命よりも優衣か恵里の命を優先しようとする蓮、優衣の扱いをめぐって真司と蓮は衝突し、手を変え品を変え、最後の最後までこの二人の道を完全には交わらせなかったのは、今作の光るところ。
  • 蓮は北岡の病室を覗き、「確かに奴は馬鹿だが――」「俺やおまえよりマシな人間、でしょ? ま、ちょっとは認めてやってもいいけどさ。奴がライダーだったのは俺たちにとって、良かったのか悪かったのか」「…………さあな」……まあとりあえず、ナイト(蓮)はとっくに脱落していたと思います!
  • 「足りないんだよこれじゃ! もっと戦えぇ! 北岡ァ!」……鬱屈する浅倉はミラーワールドでモンスターの群れを相手に戦い続け、モンスターの羽音が気持ち悪い。
  • シロアリぽいイメージでしたが、あの白いブヨブヨ感と出来上がっていない感じは幼虫だったのか(ヤゴではないけど)、と納得しましたが、成虫(龍騎 → ドラゴン → ドラゴンフライ?)の方も、生理的に気持ち悪い路線。
  • 優衣を探して神崎邸へ突入した真司は、オーディンに吹っ飛ばされたところで、龍騎への変身を令子に目撃される事に。
  • 物語の始まりから謎の失踪事件を追いかけ続けてきた令子さんが、とうとう“目撃者”となって、真司の二重生活としての「ライダー」「見習いジャーナリスト」が遂に一つの場所で合流するのですが、真司がほとんど後者の属性を失っている事と、ライダーバトルがほとんど個人的な呪術となっている事により、報道機関と接続された“先”がこれといって見えてこない為、最初に散りばめた石と、最終的に収束していく局面がズレたかな、の感あり。
  • 神崎士郎の目的が明確になったところで、今作の物語は非常にクローズなところに収束していく為、逆に物事をオープンにしようとする報道要素との接続にあまり意味が見えなくなっていくというか、残り2話で巧く化学反応が発生するかもしれませんが。……そこはどうも、“隠されたものを明らかにする”立場だった真司くんが、“隠す側”に行ったきりで、序盤の動機付けになっていた、失踪被害者(とその親族や知人)への気持ちみたいなのが劇中から消えてしまいそれどころでなくなってしまったのが大きいでしょうか。
  • 個人的に、令子さんへの思い入れが皆無に近いのもありますが……例えば、真司くんがそれどころでなくなる一方で、令子さんが折に触れ、「失踪関係者」の要素を引き出す立場に居たら、また印象が違ったかもな、と。
  • ……決定的な分岐点は、浅倉弟パックンチョ事件かなと思われますが、あれにより、真司が完全に事件を「闇に葬る」しか無くなり、令子は(無意識もあってか)浅倉弟について不自然に接触を打ち切って「向き合わなくなる」事しか出来ず、浅倉威という存在が『龍騎』の持っていた一要素を叩き潰したというか、あの時食われたのは、『龍騎』におけるジャーナリズム、であったのかも。
  • 龍騎がミラーワールド内部でオーディンと激突する一方、閉じ込められていた優衣は幼い頃の記憶を取り戻し、両親によって半ば監禁状態にあった兄妹が「ミラーワールドも、モンスターも、全部、私とお兄ちゃんが……」救済として作りだした幻想であった事が明らかに。
  • 「蓮、おまえ!」「勘違いするな。俺は戦いに来ただけだ」……若干の視聴者サービスも感じる相変わらずのポーズでナイトが参戦し、オーディンめがけて突っ込んでいく2台のバイクで、つづく。