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ドン!ドン!『 スマイルプリキュア!』

スマイルプリキュア!』感想4・おこのみやきのおに

●第8話「みゆきとキャンディがイレカワ~ル!?」
 謎の指輪を拾ったみゆきとキャンディの精神が入れ替わり、キャンディ目になったみゆきと、みゆき目になったキャンディが、ちょっと怖い(笑)
 仲間たちに耳芸で入れ替わりを証明したみゆき&キャンディだが、元に戻る方法がわからないまま、Cみゆきが授業を受ける事態に陥り、みゆきに迫る、社会的人格の危機!!
 「今日はなんとか乗り切ったけど……」
 多分、乗り切れて、ない。
 幼児性を丸出しにしたCみゆきの暴れっぷりに、普段どちらかといえばアホの子寄りのみゆきが面倒見のいいお姉さんに見えてくるマジックが発動するが、転校してきて二ヶ月、学内最大の美少女サークルを作り上げたのも束の間、「クルクルー」と奇声を上げる痛い子にクラスチェンジしつつある自らの学園生活にさすがに危機感を覚えるみゆき……大丈夫! ドンブラザーズなら、中身がキャンディでもプリキュアになれるから!!
 その頃、問題の呪いの指輪を作った張本人であるところの魔女は、赤鬼が吹き飛ばして今回の騒動を生んだ指輪を探して人間界にやってくると交番を訪れており、
 「あの、失礼ですけど、お仕事は?」
 「バッドエンドを作る仕事さね」
 「ああ、作家さんですかー」
 の、互いに認識がズレているのに繋がってしまう会話が、地味に今回の好きなポイント(笑)
 演出は、後に『GO! プリンセスプリキュア』(私が2015年にドはまりしていた作品)で監督を務める田中裕太ですが、冒頭のバッドエンド組の会話など、全体的に今回はとぼけたやり取りが多めな感じ。
 Mキャンディの叱責を受けたCみゆきが姿を消してしまい、互いを思いやる気持ちを取り戻す一幕を挟み、指輪を取り返そうとする魔女に襲われたCみゆきは変身を試みるが……ドンブラザーズではないので、変身、できなかった。
 その危機に集ったプリキュアは、ハッピーを欠くまま遊具アカンベェにこてんぱんに敗北。
 CみゆきがMキャンディを守ろうと両手を広げて立つ姿で、みゆきとの出会いによるキャンディなりの成長が描かれ(今回通して、みゆき=ちょっと年上のお姉さん、キャンディ=その背中を見て育つ幼児、の構図)、更にそのCみゆきをMキャンディが守ろうと前に出たその時、戦士の力は気高き魂にこそ応えるのだ! と、某呪いのサングラスよりは倫理機構の発達していたプリキュアシステムにより、Mキャンディの方がプリキュア・スマイルチャージ。
 「くるくる煌めく、未来の光! キュアキャンディ!」
 不思議生物がそのままプリキュア化、の飛び道具から耳芸がまさかの伏線となり、無駄に格好いい空中戦が展開すると、勝利を収めて一件落着。
 みゆきとキャンディは絆を強め、ちゃんと、補習をやる気があって偉い。

●第9話「うそ~! やよいちゃんが転校!?」
 「今日は嘘で、人間どもを困らせてやるオニー!」
 やはり謎の作画リソースが割かれている気がする赤鬼さんが盛り上がる、本日はエイプリルフール――。
 朝から母親に騙されたやよいは、下駄箱で出会ったみゆきに「明日、転校する事になった」と嘘をついてみるが、今のは嘘でしたー! と明かす前に暴走スイッチの入ったみゆきがあかねに話を伝えてしまい、転がり出した嘘が大きく育って引っ込みがつかなくなるパターンは色々ありますが、転校経験のある二人が勝手に心情を慮って先回りしていく事により、どんどん深みにはまっていく流れは大変面白かったです(笑)
 「私たちはプリキュアとして、これまで5人で力を合わせる事で、困難を乗り越えてきました。ですが……」
 「そっか! もう、5人じゃなくなっちゃうんだ……」
 「その事に責任を感じていたんだね?」
 大丈夫! ドンブラザーズなら、引っ越し先から戦闘だけ召喚されるから!
 「プリキュアの事なら心配しないで!」
 「え?」
 「やよいさんが抜けた分は、私たちが頑張りますから」
 「えーー?!」
 「たとえ離ればなれになっても、私たちの気持ちは一つです」
 「うちも」「わたしも」「私も」「キャンデイもクル」
 4人+キャンディはがしっとやよいを抱きしめ、駄目だ、この子たち、遵法意識の欠落と一緒で、基本的にブレーキが無い……!
 こうなったらフリップ芸だ、と全部ドッキリだった事をイラストにして白状しようとするやよいだが、描き上げたイラスト(自分だけ姿がキュアピースな事に、あわよくば、ぴかりん笑い話という事にして逃げ切れないだろうか、というあがきが見えます)は無情にも風に飛ばされてしまい、そうこうしている内に、物事を重く捉えて大がかりにしていくのが芸風として固まりつつあるれいかが、お別れ会を企画してしまい、絶体絶命の危機!!
 クラス一同を前に教壇に立たされると、花束と寄せ書きまで渡され、えげつない追い詰められ方をしたやよいは、悩みに悩んだ末…………脱兎の如く逃げ出した!!
 なんか、れいかが、善意から人の心を破壊しようとしています。
 校庭の隅にうずくまり「うふふ……大きな桃が、飛んだり跳ねたりしている……あはは……大きい! モモタロウかな? いや違う、違うな。モモタロウはもっと、ばぁーって弾けるもんな! へへへ……」と酸素が欠乏しかけていたやよいの元をみゆき達が追いかけてくると、赤鬼さんがタイミングよくバッドエンドを発動。
 ローラーアカンベェを繰り出しつつ場を温めてくれた事で自白しやすい空気となり、ピースが嘘を告白すると皆がそれを受け入れてプリキュア離脱の危機は解消。赤鬼の攻撃指示に惑わされ思わず身構えてしまうハッピー達だが、勇気100倍、怒りのピースが前に進み出る。そう……
 パンチだろうが! キックだろうが! ローラー攻撃だろうが!
 それより先にぶちのめせば関係ないぜーーー!!
 やられる前にやるのが正義とアカンベェの顔面にドロップキックを叩き込んだピースは目つぶしサンダーでトドメを刺し、みゆきとあかねが汚れ役を買って出た事で、クラスメイトからもお許しを得て、一件落着。
 今作ここまでを見ている感じ、エピソードにおける問題解決及びそれにともなうメッセージ性に関してはシンプルというか、定跡そのままといった作りなのですが、これは女児向け作品である事に加えて作品コンセプトから、普遍的な昔話(メルヘン)性を意識している、という感じでありましょうか。
 …………ところで、よくよく考えてみると、「エイプリルフール(4月1日)」に登校している事が今回最大の嘘なのか? と気付いたのですが、学年とかクラス替えとか、触れてはいけない筺の蓋を空けてしまいそうな気がしてきたので、この世界ではそういう事! としておきたいと思います。

●第10話「熱血!あかねのお好み焼き人生!!」
 お好み焼き屋の店長である、あかねの父がぎっくり腰で入院し、あかねが店長代理を務めると言い出して日野家(父・母・弟)が登場。
 一方、お腹のすいた狼さんは、ガイドブック片手にやたらスタイリッシュなポーズで人間界へと跳んでいき、バッドエンド世界も、たいがい謎(笑)
 よく使われるイメージカットは妙に東洋風で、一種の竜宮(仙界)ぽい場所なのかとは思われますが。
 そんなわけで前半は、理想のお好み焼きを目指すあかねの奮闘が描かれ、弟から父の隠し味について聞かされ、試行錯誤を繰り返すも正解に辿り着けなかったあかねは諦めて父ちゃんに聞きに行くのだが……無駄な職人魂を発揮した父ちゃんに、「おまえのお好み焼きは、25点だ!」と突き放されてしまい……
 今! あなたの娘は! 入院したあなたに代わって! 店を切り盛りして一家を支えているのですが?!
 あかねの家族愛が今回のテーマの一つなのですが、残念ながら普通に極道なのでは、この父。
 後、あかね父のお好み焼きを絶賛しているという町内会長さんも、店主が入院している最中に中学生の娘にその味の再現は求めないと思うというか町内会の会合も別の店に代えてくれると思うのですが、「なんやこの店は? 町内会長であるこのワシに、こんなお好み焼き食べさせるんか」みたいな感じの人なのか、この街の町内会への不信感が激しく高まり、お好み焼き道は果てしなく険しい……!
 かくして、仲間達の協力を得ながら(あかね・なお・れいかが、料理できる枠?)、小手返し千本ノック! キャベツみじん切り100セット! 山芋おろしの呼吸! と修行を重ねるも答は出ないまま商店会の催しで屋台を出していると、お腹をすかせた狼さんがふらふらやってきてソース刷毛アカンベェを生み出し、今回は戦闘の作画がやたらに良い。
 前回に続き、バッドエンド幹部の悪し様な罵りを聞いて逆に大事なものを思い出す形が取られ、父ちゃんの隠し味とは“食べる相手を大切に想う気持ちだった”と気付いたサニーはバーニング。番組がちょっと違う勢いでアカンベェを葬り去ると、「町内会」の会合を無事に終え、オヤジの不興を買う事を無事に避けるのであった。
 町内会というのはつまり、親分とか子分とか直系とかのアレなの? という疑惑が私の中で浮上しましたが、ボーイッシュ元気関西弁娘のあかねの、家族や他人への思いやりのある部分を早めに描いたのは、良かったと思います。