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なんだこれは!

岡本太郎式特撮活劇『TAROMAN』感想1

 〔第1話「でたらめをやってごらん」・第2話「自分の歌を歌えばいいんだよ」・第3話「一度死んだ人間になれ」〕
 名前の通り、岡本太郎×70年代特撮ヒーローパロディ、の5分番組。60~70年代の怪獣映画や円谷プロ作品などで見たようなカットや映像手法が次々と放り込まれつつ、そこに岡本太郎を融合して奇妙な世界観と、パロディとしての芯を作り、正味3分程度で一つの作品世界を完成させている、不思議な味わいでありました。

 ――1970年代のある日、世界をべらぼうなものが襲い始めた。
 岡本太郎の絵画や彫刻作品などをモチーフにしたアヴァンギャルドな奇獣、それに立ち向かうのは、出鱈目には出鱈目、べらぼうなものにはべらぼうなもの、黄金の太陽を頭部とし、胸には巨大な目玉模様のついた銀色の巨人。
 ナレーション「なんだこれは? そう、それは芸術の巨人・タローマンである」



ばくはつだ! ばくはつだ! ばくはつだ!


 5分番組なのですが、耳につくフレーズの繰り返しに始まり、サイケデリックな色彩をバックに飛び出してくるヒーロー(?)、防衛隊らしきキャラクターの紹介に、シルエットで暴れるテンガロンハットで鞭を振るうタフガイ、と如何にもなパロディ満載のOPに、アイキャッチとCMまで入る徹底した作り(笑)
 市街地上空に現れた奇獣・森の掟を倒す為、出鱈目な行動を繰り返す銀色の巨人タローマンだが……当初は的確にダメージを与えていたものの、やがて両者ともに動きが止まってしまう。
 ナレーション「何故、彼らは、動かないのか。いざ、出鱈目な事をやろうとしても、どこかで見たことのあるものになってしまう。それは、タローマンでも同じだからだ」
 岡本太郎の言葉に題材を採っている事もあり、創作について不意打ちで頷けてしまう説得力!
 苦悩するタローマンは足を滑らせ、お約束のビル破壊(自滅で)。
 ナレーション「タローマンは行き詰まった。行き詰まってしまった。しかし、行き詰まりからこそ芸術は開けるのだ。そう、岡本太郎も言っていた」
 『芸術は、爆発だ』
 やおら立ち上がったタローマンが謎のポーズを取ると赤青黄緑の絵の具をぶちまけたような閃光が走り、それを浴びた奇獣もまた、絵の具をぶちまけるようにして爆散。
 ブラストエンドやビッグボンバー系の必殺攻撃が火を噴き……
 ナレーション「生き急ぐ現代人に合わせた、唐突な勝利と君は思うだろうか。しかし、深く考え込むより、衝動こそが大事なのだ。そう、岡本太郎も言っていた」
 70年代特撮ヒーロー作品ではしばしば目にする「唐突な勝利」を、「生き急ぐ現代人に合わせた」にスライドしているのがパロディとして絶妙で、頭部の太陽の火焔部分を一つ外し、パイプのようにくゆらせるタローマンであった。
 オチとして、『タローマン』が実際に放映されていた世界における『タローマン』特集に呼ばれて、『タローマン』について語る『タローマン』ファン、の体裁でトークコーナーが入って今回の主題をまとめ、凄まじい奇天烈ぶりでした!(パロディの完成度としては、このパートの存在が非常に大きい)
 第2話は、巨大な梵鐘のような奇獣・歓喜が、ちょっと横山光輝・怪ロボット感を醸しだし、自分のビートに身を任せるタローマンがそれが君のHIBIKI。
 第3話は、「未来ヲ見タイカ?」と繰り返し、謎の機械で人々に未来を見せてその気力を失わせる奇獣・未来を見た、のデザインが非常に秀逸で、なんだか普通に円谷作品に混ざっていても違和感がなさそう(笑) やたらフレンドリーなナレーションなどでニヤニヤさせつつ、奇獣の操る未来視が、タローマンのあまりに出鱈目な行動の前に敗れ去るセクシーコマンドー大勝利も納得度の高い良回でした。