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『恐竜任侠伝』第10話「神に吠える」

恐竜戦隊ジュウレンジャー』感想・第41話

◆第41話「燃えよブライ!」◆ (監督:東條昭平 脚本:杉村升
 ドラゴンシーザー大暴れを止めるべくジュウレンジャーは守護獣を召喚し、その事態を知ったブライは独房を出てシーザーを鎮めようとするが、その笛の音(新曲)は何故か届かず……試しに召喚のテーマを吹いてみると、ドラゴンシーザー、出てきた。
 2体のドラゴンシーザーが戦場に並ぶ面白い絵面から、本物シーザーの攻撃により、暴れていたのはシーザーそっくりに化けたドーラ贋作と判明。
 「はーはっはははは! まんまと罠にはまったね、ジュウレンジャー!」
 獣奏剣の反応から精神と時の独房を見つけ出す術式を完成させていたバンドーラは、贋作シーザーを利用したブライのおびき出しに成功すると、自ら独房へとアタック!
 「おまえは二度とこの部屋には戻れない!」
 「おのれぇ、そうはさせるか!」
 「あと4時間で、死ぬがいい!」
 慌てて戻ったブライだが、立ち回りの末にバンドーラ様に敗れて監獄を失うと路上に投げ出され、ゲキ達に助け起こされるも朦朧とした意識は悪夢の世界を彷徨い、ベンチに座る少年の姿を再び目にする。
 年端もいかない少年が、自分と同じ死の淵に居る事が気にかかるブライはその姿を探し求め、公園で一人ブランコをこぐ少年・耕太を発見。
 特に病気を患っているわけではない少年に不審者扱いを受けるブライだったが、ジュウレンジャーの一員と名乗って通報を回避。少年が大ファンだというドラゴンシーザーを召喚して妙に可愛げを振りまくシーザーですが……直前まで偽シーザーが街を大蹂躙していたにも拘わらず、少年のシーザーへの対応に屈託がなさ過ぎる事が、単体でも微妙な印象になった上に、この後で大きな出血を招く事に。
 (あどけない……こんなあどけない子が、俺と同じように死ぬのか?)
 兄さんは何を突然、子供向けサービスを始めているんだ……? とアジトで困惑するゲキたちだが、遂にバーザが、ブライの死の運命を覆す、聖なる大地と命の泉の情報を発見。
 そこへ向かう為には、この期に及んで神(守護獣)に祈りを捧げねばならず、このタイミングで情報が見つかったところから怪しさ満点です!!
 一同揃って祈りを捧げると、5人のダイノバックラーが消滅し、ゴウシとダンだけが聖なる大地へと転移。
 「命の泉を手に入れるまで、全員素手で戦えという試練に違いない!」
 死の運命を覆す為には相応の試練を乗り越えなくてはならない、という物語としての理屈はわかるのですが、その試練を課す存在とあまりに直接的に繋がっているのと、当人たちの「試練」の受け止め方が割と身も蓋もない為に、今ひとつ盛り上がれません。
 ジュウレンジャーと守護獣の関係性については、神と人との距離感がある程度近い神話(英雄伝説)的世界を意図してはいるのでしょうが、これなら年末に向けて3段階ぐらいの「試練」を用意して欲しかったかな……と。そこに、究極大獣神の力を取り戻したので運命を覆す可能性が開けたとか各人のキーワードを繋げられれば、もう少しジュウレンジャー側が運命を「変えていく」印象が出せたのではないか、と思えます。
 恐らくは、大獣神さえ覆せない「摂理」はこの世界にあるのでしょうが、しかし今作の描写としては実質的に「大獣神(守護獣)」=「摂理」に近くなっているので、そこにもう少し劇的なメスが入らないと、何をやってもどこまで行っても、摂理様の手のひらの上に見えてしまうので。
 命の泉へとひた走るゴウシとダンだが、当然この流れを予期していたバンドーラ様(もはや守護獣と裏で繋がっているレベル)は今こそジュウレンジャー殲滅の時、とドーラ贋作を地上へ送り込み、今度は偽剛龍神が大暴れ。
 前回今回と割と気合いの入ったセット破壊が続き、ダイノバックラーを取り上げられて何も出来ないゲキたちに代わってシーザーが出撃し……素手で……戦って……いない……。
 偽剛龍神を相手に何を出来るのか、というのはありますし、あくまでゴウシ側の解釈、でもあるのですが……特に知恵と勇気を使う事もなく戦いをブライに放り投げ、理由を話すとこじれるので説明も拒否する姿は、大変残念。
 ドラゴンシーザーが贋作剛龍神に立ち向かう一方、生身のゲキ・メイ・ボーイが、街を破壊していると市民に囲まれ苛烈な《投石》を受けるのも……どうにも、唐突。
 守ってきた市民たちに誤解から糾弾されるヒーロー! というショックよりも、何もできないゲキたちが何もしない事の言い訳作りになってしまっていますし、後半にこう持ってくるなら、前半の耕太とドラゴンシーザーの方で一悶着を描いておいて、もっと自然な流れを作っておいてほしく、どうにも組み立てがちぐはぐ。
 そして耕太少年はビルの崩壊に巻き込まれて瀕死の重傷を負い……少年はいずれにせよこうなる運命だったのかもしれませんが、大獣神を出せず、投石を受けて身動きが取れず、その結果として少年が死に瀕する事になったのを、ゲキたちが大義を見失い私情に走った末の巡り巡った因果応報と捉えるとかなり邪悪なシナリオなのですが、神よ! これが答なのか!!
 次回――直球サブタイトル。