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乙女ゲーからは逃げられない

仮面ライダーエグゼイド』感想・第16話

◆第16話「打倒MのParadox」◆ (監督:諸田敏 脚本:高橋悠也
 見所は、おまえ本気で人の心わかんねぇなっ、とポピ子に足払いを受ける永夢。
 相手が十代の少女(女子中学生……? と悩んでいたのですが、18歳でした)だけに、それはポピ子さんも本気を出します。
 CRを追い出された永夢は飛彩を呼び出すと、前回自分を攻撃してきた理由を問いただし……あ、頭を……使った……!
 だが、ニコのストレスの要因は自分らしい → ブレイブが自分を攻撃してきた → もしかして飛彩はニコが自分を生ゴミ扱いする理由を知っているのでは?? と、大幅に勘違いしていた。
 1クール目の永夢なら間違いなく、医者失格のクズ野郎め! 不意打ちしか出来ないのかこのスイーツ外科医! と罵声を浴びせていたこと間違いなし(※やや誇張表現を含みます)なのですが、いったいぜんたいつの間に、永夢は他人を信じる事を覚えたのか……。
 「患者の事情など知るか! 俺はおまえが!」
 飛彩は飛彩で、過度のストレスをかけるとゲーム病の症状により永夢が消し飛ぶかもしれない、と口ごもり……前回から妙に永夢に気を遣うのですが(まあ、自分が原因で消滅するのは困るにしても)、第13-14話を両者の転機にするとしても限度があり、やはり1クール目は衛生省によりCRのドクターに特殊な薬物がげふんげふん。
 「……そうやって患者に深入りするおまえが、気に入らないからだ」
 飛彩は、滑った口を誤魔化す為にこのままオペに突入してしまえ、と正面切って永夢に喧嘩を売り、永夢の抱えた秘密(本人自覚無し)から両者の間がぎくしゃくする流れそのものは割と面白いだけに、1クール目における永夢と飛彩の関係描写が雑極まりなかったのが、返す返すも惜しまれます。
 「出てこいバグスター」
 「待って下さい! バグスターなんてどこにも……」
 永夢を切り刻もうと迫るブレイブだが、そこに突然リボルバグスターが乱入すると、何故か戦闘員と共に永夢を守って、ブレイブに攻撃開始。
 「味方に攻撃が効かないのは当然だろう!」
 そしてエグゼイドの攻撃はまたも無効化され、リボルがエグゼイドを勝利させる事でニコにストレスを与えようとしている事から、何かに気付くエグゼイドだが、その前に立ちはだかるZゲンム。
 CRには大我が入り込むとニコを回収しようと病室へ入り……(パジャマ姿に)目が、泳いだ(笑)
 エグゼイドとブレイブはZゲンムの毒々ゾンビパーリータイムを受けて変身解除に追い込まれ、奪われるブレイブのガシャット。続けてXXガシャットを回収しようとしたその時、永夢の目が紅く輝いてZゲンムの手を払いのけると、流れ出す主題歌――
 「ゲンム、約束が違うだろ。俺の楽しみを邪魔する奴は容赦しない。たとえ、おまえでも。永夢、次は俺と遊ぼう」
 パラドが現れてZゲンムを牽制すると二人は帰宅し、背後で流れ続ける主題歌は、どう使いたいのか……。
 本編の尺をギリギリまで採る為なのか、今後、この使い方(劇中に挿入)が基本になるなら、演出の方でも効果的な活用法を模索中ではあるのでしょうが、前回-今回は、どうにも空回り。
 永夢は、飛彩のお陰で手がかりが見つかった、と飛彩の行動を全面的に良い方向に解釈すると大我が連れ出したニコの元へと向かい、ニコの正体は、6年前の格ゲー大会において決勝戦で永夢に敗れた、当時12歳の天才ゲーマー・エヌであり、6年前の永夢は、ちょっと王子様ムーヴをキメていた。
 「うわー、小学生相手に大人げない」
 ポッピーの視線がつめたい!
 「そいつ、今じゃ年収1億のプロゲーマーらしいぜ」
 「「いちおく?!」」
 いちいち高いところに立つのがキャラ付けになってきたニコは、6年前の屈辱を払拭する為に永夢を叩き潰す事を改めて宣言し……これあれだ、憧れの人と再会したらすっかり腰の低い社会の犬に成り下がっていて幻滅ーが勢いつきすぎて殺意に転換されているけれど、ピンチのその時、颯爽と俺様エム再び、に助けられて、ときめきゲージが急上昇する少女マンガ展開がこの先あるに間違いなく、花家先生は無事に探偵ADVの世界に戻る事が出来るのか。
 ……そして現れる第二の王子・パラド。
 更に影のある三十路セレブ(たぶん指名手配中)も攻略対象に登場します。
 「これはただのゲームじゃない。俺たちは遊びでやってるんじゃねぇんだよ! 俺もあいつも、一つしか無い命はって必死に戦ってんだ。……変身したいなんて二度と口にするな」」
 ニコがドライバーを手に、変身してエムに武力行使だ! と騒ぎ出すと花家は激情を露わにし……花家にはこの背景がまだありそうですし、九条消滅の一件もあるのですが、花家大我にこのタイミングで言わせるにしては月並みで安っぽい台詞になってしまった印象。
 狙いとしては、あの花家が……というギャップにこそあったのかもですが、基本的に花家先生、(実は……)感がダダ漏れですし。
 ニコが病院を駆け出すと、永夢にまで、実はいい人なんですよね? と言われてしまった大我は、俺は攻略対象じゃねぇんだよっとスナイプに変身し、永夢を守る為にリボルバーが出現すると、更にパラドと黎斗も乱入。
 「来ると思ってたよ」
 それを待っていたと構えを取る永夢が割と格好良く、急速に、知性というか、判断・分析・推測をする能力が上昇しているのですが、1クール目は修行の為に全身に鉛のバンドを巻いていたような勢い。
 「オペの邪魔はさせない!」
 スナイプは一人ドラゴンし、エグゼイドは悪夢のダブルアップ。
 ポッピーはやさぐれるニコをバトルの現場へと連れだし、
 「その目で確かめて。あなたを治療する為に、彼らが命がけのゲームをやってるっていうこと!」
 と、第13-14話に続き、ゲーム×医療の接合を強化。
 「ガシャットを渡すか、それとも死ぬか」
 Dスナイプと戦い、久々に上から目線を取り戻すZゲンムだが、その背に叩きつけられる、モップ。
 「大我! そんな奴に負けんな!」
 「え、え? え?!」
 ゲーム医療の現場を目の当たりにし、胸のエンジンに火が付いたニコはZゲンムにモップを中パンチ連打するもあえなく投げ飛ばされるが、地面に叩きつけられる前にDスナイプにキャッチされ、体が勝手に攻略対象に!
 「馬鹿野郎! おまえに言われなくても負けねぇよ」
 Dスナイプは決め技ファイヤーを放つが、灰になったかに思われたZゲンムは平然と復活。パラドクスに足止めを受けるエグゼイドは、筋肉×高速移動×透明化のタックルを受けて階段落ちから変身解除に追い込まれ、右も左も絶体絶命のその時、パラドクスの背中を撃ったのは――橘さんポジションに転落した鏡先生、ではなく、まさかのリボルバー
 「あぁん? 誰だよ今オレ撃ったの」
 「うぅぅ……エグゼイドに勝利を与え、自分は完全な存在となるのだーーーーーぁぁ!!」
 ヤクザ映画モードに入ったリボルバーは絶叫しながら銃を乱射するが、パラドクスには全く通用せず。
 「馬鹿の一つ覚えなのはゲームキャラの悪い癖だなぁ――俺の心を滾らせやがって」
 「よせ! パラド、相手が違う!」
 「オレを邪魔する奴は誰だろうと、ぶっ潰す」
 Zゲンムの制止を無視したパラドクスは、赤パラにデュアルアップすると、ノックアウトおめでとうスマッシュでリボルバーを殴り殺し……
 ・パラドクスの格を下げない(エグゼイドを完敗させる)
 ・赤パラの必殺技を見せて一定のカタルシスは表現する
 ・前回からおまけ扱いだったリボルバグスターに見せ場を作る
 の全てを同時に達成する、これは素晴らしい一手。
 「エム……おまえとガチでやりあえる時を、楽しみにしてるぜ」
 ビジネスパートナーが愉快犯を通り越して狂犬になってきたZゲンムは仕方なくバグスターのデータだけを回収し、両者が帰宅した後、再び激しい頭痛に襲われる永夢。
 「……なんか最近、変身する度に、頭痛が……」
 「え……なんでだろう」
 で済ませて良い状況では明らかに無いと思うのですが、そこの衛生省関係者!
 皆がある程度、知性を取り戻しつつあるだけに、このやり取りのポンコツ具合が凄まじく目立ち、部分部分、相変わらず杜撰。
 結果的にゲーム病の治療されたニコはエムを挑発し、大我はそんなニコに煽られて捨て台詞を残して去って行き、まだ乙女ゲーの世界から抜け出せそうになかった。
 「覚えとけ! あたしの主治医がおまえをぶっ倒すから!」
 「……主治医んなった覚えはない!」
 跳び蹴りが放たれたり頭を小突いたりしながら二人は去って行き、大我に愛嬌を与える役回りとしてのニコは定番ながら効果的になっているので、セミレギュラー化しそうなのは、好材料
 次回――
 「パラド! 遂に私たちの究極のゲームが完成したぞ!」
 「これが、『仮面ライダークロニクル』なのか?」
 「いいや違う。先日、変な少女に後ろからモップで叩かれた時、私の中に閃きが訪れた! そう! これこそ! 究極の恋愛アドベンチャーゲーム『にこにこメモリアル』! はっはっは、私は、自分の才能が恐ろしいぃ……!」
 「……」((デュアルアップ!))