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ツッパれ恐竜人類

恐竜戦隊ジュウレンジャー』感想・第26話

◆第26話「カキ氷にご用心」◆ (監督:雨宮慶太 脚本:井上敏樹
 テニスに興じる戦士たち、の導入がなんだか凄く80年代感ですが、トットバットが悪魔錬金術によって作り出した毒薬をカキ氷に投入し、それを口にした途端にダンとメイが豹変してガラが悪くなるのも、なんだかとっても80年代感(笑)
 伝統に則してスケバン化したメイは、足下の椅子をボーイの頭に振り下ろし……戦慄の恐竜殺法!
 「どうしちゃったんだ二人とも……」
 呆然と見送るゲキらを置き去りにしたダンとメイは、パンクファッション(ここはちょっと新しい……のか?)に身を包んで街を練り歩くと、街で無駄に喧嘩を売り歩き、一般人を容赦無く叩きのめす戦慄の恐竜殺法!
 「おまえ達は正義の戦士なんだぞ! 何をやっているのかわかっているのか?!」
 「へっ……なにが正義だ。今日から俺たちは悪に生きるぜ!」
 「正義なんざ退屈なんだよ。あぁん!」
 止めに入ったゲキたちに向けて吐き捨て、基本、とんちきコスプレ(&性格チェンジ)回なのですが、今作では戦士の前提条件として――1億7千年前に出来上がっているので――自明の理となっている「正義」と「悪」についてテーゼとして飛び込んでくるのは、実に井上敏樹(まあ特に、回収はされないのですが)。
 メイは何故かツボ振りを始め、ダンは賭場の用心棒として暴れ回って伝説のドスを抜き、好き勝手やっている二人を探すゲキらの前には、戦力の減ったジュウレンジャーを始末しようと放たれたドーラブーガラナンが出現。
 蜥蜴と蛙を掛け合わせたようなブーガラナンのマシュマロボディに苦戦している内に黄が敵の体内に吸収されてしまい、赤黒はやむなく一次撤退。アジトに戻ると資料を漁ってブーガラナンの弱点は“真実の顔”と突き止める一方、ダンとメイを治そうとするバーザが思い浮かべたのは、マンドラゴア。
 地面から引き抜くと、聞いた者を一瞬で地獄に落とす絶叫を上げる魔草マンドラゴアの採取に向かうバーザの前には、バンドーラの放ったゴーレム軍団が立ちはだかるが、今こそみせよう、1億7千万年の筋トレの成果!
 一方、ご先祖様の攻略情報を手にブーガラナンに再戦を挑む赤黒だったが、“真実の顔”とわざわざ書いてあったのに、見るからに“顔”を攻撃して「弱点じゃなかったの?!」「悪質なデマ?!」と地面を転がる大醜態をさらし、知力60台が最高(ゴウシ)の壁に激突していた。
 攻略情報のご利用は自己責任でーーーと言い残して黒がブーガラナンの体内に消え、残るは赤一人となったところで、ヤクザ映画の世界を彷徨っていたダンとメイが、マンドラゴアの力で正気に戻って戦線復帰。
 戦力ゲージの回復するジュウレンジャーだったが、とうとう赤が丸呑みにされてしまったその時、たるんだ顎の下に“真実の顔”を発見。
 怪人が戦法を変え、小さくまとめず丸呑みにした事で弱点を発見する流れで青桃復帰(とバーザ奮闘)の意味を作ったのに加え、基本、途中離脱の無い赤を脱落させたのは、良い一ひねりに。
 ……まあ、儂の弟に何さらすんじゃぁぁぁと独房の兄貴がドス構えて突っ込んでこないのは、話(と制作上)の都合丸出しになってしまいましたが、すまんゲキ、今、バラモス戦が佳境なのだ! 俺は、世界を救わねばならない!!
 囮を買って出た青が飲み込まれた隙に露わになった弱点を狙撃しようとする桃だったが、トットバットの横やりが入って失敗し、ここは少々引き延ばし感が出ましたが、意識的に巨大戦をお休みにしたい事情もあった気配でしょうか。
 トットバット縦横無尽の大活躍の末にジュウレンジャー全滅!? の窮地に追い込まれ、変身も解けてしまったメイは森に逃げ込むと、周囲の地形を観察した末に、自ら降伏を宣言。
 丸腰でブーガラナンの前に進み出ると、舌に拘束された瞬間に大ジャンプする事でブービートラップを発動させ、無防備なブーガラナンの弱点に手製の矢が突き刺さる、戦慄の恐竜殺法!!
 伊達に億千万年戦士ではない事を見せつけたメイの活躍により男衆が吐き出されると、全員合流から変身し、大変久しぶりに伝説の武器がフォーカス。
 主題歌インストに合わせて怒濤の連続攻撃が繰り出され、トドメのプテラアローが突き刺さると、強敵ブーガラナンは木っ端微塵に吹き飛ぶのであった。
 戦い終わってコスプレ騒動をからかっていると(ゴウシの「ツッパリ」という語彙はどこで覚えたのか(笑))、恐竜殺法の犠牲にしたチンピラ達が「大和組の舎弟にしてほしい!」と押しかけてきて逃げ出すダンとメイ、のドタバタで終了し……最後まで、なんだか凄く80年代の空気でした(笑)
 前作メイン監督だった雨宮慶太に続いて、前作メインライターだった井上敏樹が参加して前作メインコンビの組み合わせとなり、今作のセオリーだった子供の被害ゼロ、キャンペーン中だったブライと剛龍神の出番ゼロ。
 ここまで25本中20本(連名2)を書いてきた杉村さんの、後半に向けての充電期間(3連続で杉村さん以外の脚本家が入るのも初)に、前後の流れと影響・関係しない純然たる単発エピソードを、という方向性だったのかとは思われますが、井上敏樹テイスト、というよりも、井上敏樹の中にある80年代《スーパー戦隊》テイストの煮込みみたいな内容で、少々毛色の変わった一本。
 『ジュウレンジャー』の作風として子供被害のセオリーは守ってほしかったところはありますが、では子供がみんな悪い子になって街がパニック! とやって、戦隊メンバーも何人かそこに巻き込もうとすると、恐らく尺が足りずにメンバーでの遊びが消化不良に終わってしまうので、今作のスタイルのデメリットと、ジュウレンジャーが基本真面目集団である理由が見えてくるのは、面白いところでありました。
 次回――プリンセス、怒りの二連撃。