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「スーパー戦隊全ての力を結集して、地球を守るんだ!」

新春突発『機界戦隊ゼンカイジャー THE MOVIE』感想

◆『機界戦隊ゼンカイジャー THE MOVIE 赤い戦い! オール戦隊大集会!!』◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:香村純子)
 TV本編スタート前に『騎士竜戦隊リュウソウジャー 特別編』『魔進戦隊キラメイジャー THE MOVIE』と同時上映された、『ゼンカイジャー』体験版、とでもいった企画の映画作品で……見所は、トジテンドが、真面目に侵略している(笑)
 極めて真っ当に悪の侵略者ムーヴを行うトジテンドに対して、最初から5人揃ったゼンカイジャーはフル名乗りから掴みのアクションを見せ、超強調されるガトリング。
 ……いや、主力玩具の一つだから、という事なのでしょうが、なにぶんゼンカイジャーなので、鉛弾が俺たちのイニシエーション!
 友情という名の固い絆で結ばれたゼンカイジャーは劇場版でも血塗られた通過儀礼を完遂すると、白をボール代わりにしたゼンカイザー躊躇しないハリケーン(本編未使用)でクダイター部隊長を撃破するが、生き残ったクダックがパレスに戻って事の次第を報告すると、トジルギアの力を与えられて、その姿が変貌。
 「感じるぜ。スーパーな悪者たちの世界の力を」
 ……恐らく、歴代の色々な悪者が混ざったデザインなのでしょうが、『重甲ビーファイター』最終回を思い出します(笑)
 スーパー悪者ワルド(関智一をあてておくメソッド)は世界に悪者のパワーを広げ、ガオーンの前にはザミーゴが、マジーヌの前にはバングレイが、ブルーンの前には十六夜九衛門が、介人とジュランの前にはなんと、サリーとバスコが出現。
 「やっほー、新世界のみんな」
 「「……誰?」」
 「さーて、誰でしょう?」
 この辺りの色々台無し感は目をつぶるところではあるのでしょうが、あくまでもスーパー悪者トピアの住人、悪者のパワーによる疑似再現、とはしても、苦手な手法。
 ゼンカイジャーは次々と囚われの身となり、処刑場には更に大量の悪い人たちが(しれっと野球仮面が混ざっているのは、『ゴーカイ』夏映画で新調した着ぐるみが健在だったのでしょうか)。
 「取られてたまるか……命も、世界も、ギアトリンガーも! 全部俺の大事なものだ。俺は絶対諦めない! 結果出すまで……全力全開だぁ!」
 追い詰められる5人だが、鎖をほどこうと奮闘していたジュランの汗(機械油?)によってツルリと脱出に成功し……完全にギャグとして処理されるのですが、この劇場版の中では一番、後の本編のノリに近いシーンかも(笑)
 奪われたギアトリンガーを取り戻した介人が、幼少期に父ちゃん母ちゃんから受け取っていた試作品のスーパー戦隊ギアを発動すると、赤い旋風と共に歴代戦隊レッドが出現し、ギアとガトリングを取り戻して後輩達の手へ。
 「ここは君たちの世界だ。奴らを倒せるかは……君たちの力にかかっている」
 「世界初――全部の悪者まとめて倒す、スーパー戦隊になってやるよ!」
 基本的に喋るのはアカレンジャーだけで、35周年に続いて45周年でも誠直也さんが参戦して下さり、改めてバンバン回転(そういえば最近やっていない)から、介人たちは一斉変身。
 「なに? おまえ、赤じゃないのか?!」
 ……危うく、令和戦隊だと?! 許さん!と、別の大戦が始まってしまうところでしたが、アカレンジャーは名乗りの強制力に負け、それに続いて背後に並んだ大量のイマジナリー歴代レッドが全員名乗るのかと思いきや、どんどん早く小さくなっていきスキップされた上に以下略されて、酷い。
 けどまあともかく、背後で爆発!
 「我ら、スーパー戦隊!」
 爆発を背負わせておけばなんとかなるメソッドから、壮絶な大乱戦が始まる……かと思いきや、歴代悪の幹部&構成員たちは歴代レッドが引き受ける、とアカレンジャーが宣言すると、ゼンカイジャーvsスーパー悪者ワルドだけが描かれる事になり、画的に大乱戦そのものが好きなわけではないのですが、これだけ数を揃えて(数を揃えたからこそ、ではありますが)、背景にさえ存在せずバトル描写ゼロ、はさすがに物足りず。
 戦いを始めた歴代レッドvs悪者たちの姿が完全に切り離されて消えてしまうので、そこにあって良さそうなものが無い事が画面に必要以上の空白を感じさせ、ゼンカイジャーvsスーパー悪者ワルドの画がチープに見えてしまうのもマイナスに(一応ラスト、イマジナリー悪者ズを集団で切り伏せるフィニッシュシーンだけが4カットほど入って言い訳を作りますが)。
 TV本編スタート前にパラレル的な世界観でひとまずゼンカイジャーの活躍を見せようというコンセプト・画面からにじみ出る明らかに苦しそうなスケジュールと予算の問題・尺の都合、と思い切って完全に切り捨てた背景事情は窺えますが、悪役サイドも戦隊サイドも、数だけ揃えて実質背後に立っていただけなのはガッカリ感が強く、もうちょっとぐらいはお祭り感が欲しかったところです。
 「帝王の力を見せてくれるわ――イーヅカリバー!!」
 と悪者ワルドは内輪ネタで笑いを取ろうとし、驚愕や衝撃を受けた際に「ドグラニオ?!」とか「ラー・デウス!」とか、無理矢理ねじ込む小ネタ乱れ打ちなのですが、正直、わかりにくい(笑)
 スーパー悪者ワルドは根性全開キックからのフィニッシュバスターを受け、ボッコワウス様にエールを送り、大爆死。歴代レッド達もゼンカイジャーにエールを送ると姿を消し、スーパー戦隊魂が勝利を収める、が、同時にそれはスーパー悪者トピアの解放を意味しており……意気揚々と本来の世界へ帰って行く悪者たち……は、人間体も登場したバスコとザミーゴ中心のサービスシーンといった感じで、何故か、「成敗バイ」とニンジャ側の小ネタを突っ込んでくる九衛門。
 戦隊サイドの扱いについては量が量とはいえガッカリ度高めで、悪役サイドのサービスでどのぐらい加点できるか次第、で評価が変わりそうな映画ですが、過去戦隊とのざっくりした距離感は『ゼンカイ』らしいとは言える一方、この距離感なら別に先輩(イメージ)と絡める必要も薄いし、そこに映画としてのテーマがあるわけでもないけれど、難しい企画、難しいタイミング、とにかく最低限のやる事だけはやった、といった印象。
 後、基本的に香村さん、じっくり積み重ねてこそのタイプなので、瞬発力勝負の企画は向かない印象が強まります。
 「今夜は、ピザすき焼きだぁ!!」で、でエンド。