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拳の中にも愛はある

ウルトラマンコスモス』感想・第44話

◆第44話「ギギVSゴン」◆ (監督/特技監督:村石宏實 脚本:武上純希
 今回の再登場キャンペーンは、サワグチ女史(までクレジット表記)・ギギ・ゴンという事で、脚本はもちろん武上さん。
 キャップの普段と違う側面を描ける貴重な存在という事で、キャンペーンの波に乗っての再登場は嬉しいサワグチ女史は……異次元人ギギの用いた量子次元位相システムの再現に成功していた(笑)
 登場した第17話において、異次元のオーバーテクノロジーの扱いを巡り「人類の可能性」を語るのかと思いきや、天才の君が居れば大丈夫、と「個人の才能」にスライドして激しくピンぼけを起こしていたのですが、実際に「個人の才能」が技術の飛躍的なブレイクスルーを発生させ、だいたい、ヒウラのせい。
 サワグチ女史が音信不通になっている事を心配していたヒウラの頼みで、ゴンと共にサワグチ女史の秘密じゃなかった個人研究所に向かったムサシだが、なんとそこには、かつて撃退した異次元人ギギの姿が!
 リーダーに引きずられてきたキャップもそこに合流し、チームアイズから決定権を持った人材が消えているのはともかく、女史のコテージに逃げ込んだ3人は、そこでギギ次元から来たギギドクターと出会う。
 別次元への移住計画を急ぐ異次元人ギギは内部で派閥対立を起こしており、軍部は地球次元に移住を強行しようと巨大ゲートの設置に成功。一方、サワグチと接触したドクターはその転移先を、新たに発見した別の移住先へと設定変更しようとしており、女史の口添えもあってムサシ達はそれに協力する事に。
 ヒウラたちは縮小光線を浴びた上でゴンの中に入り込む裏技で湖に設置されたゲートへと向かい、囮役となったムサシとリーダーを襲う3体のギギ若頭は、合体巨大化。ムサシはリーダーと行動を別にするとコスモスに変身し、相手が異次元からの侵略ヤクザなので、いきなりコロナ。
 「コスモスー! ムサシ隊員を守ってー!」
 ムサシと別れてからコスモス登場のタイミングが物凄く露骨だけど、リーダーはあくまで気付いていません! というアピールは手堅くて良かったです(笑)
 若干のぼんくら感が漂いますが、常識的なリアクションです!
 ウチのシマに手ぇ出すとはいい度胸じゃぁ、と仁義なきウルトラパンチを叩きこもうとするコスモスだが、三面を活かした全方位ビームに苦しみ、ギギのデザインとそれを活かしたアクションは改めて秀逸。
 頭頂部の急所を思い出し、飛び上がると上空から脳天に鉛玉を打ち込もうとするコスモスだが、まさかのバリアで反射されて墜落し、弱点攻撃に誘い込んで罠にはめるのも、侵略者のいやらしさが出て良かったです。
 一方、異次元ゲートの近傍にまで辿り着いたキャップ一同は、トライアングルフォーメーションで拘束されたコスモスの危機を知ると、ドクターが縮小光線を応用してゴンを巨大化。
 異次元のパワー! ゼンカイクレバー! したゴンは、コスモスを拘束するギギ若頭の一体に迫ると背後から空手チョップを叩き込み、トライアングルが崩れた事で拘束を脱したコスモスはイクリプス。
 珍しく主題歌が入っての反撃となり、優しさからはじまるPOWER それがカラテ。
 ギギ若頭を葬り去ったコスモスは、侵略ヤクザの身内とか、次元の狭間を永遠に彷徨っても仕方ないよね? とゲートを破壊しかけるがドクターに説得されて思いとどまり、ギギ人たちは平和的に(多分)別次元へのお引っ越しに成功。
 地球にとっては異次元からの侵略者とはいえ、滅びの道を歩んでいた一種族が、“科学”によって救われる事でテクノロジーに希望の光を見ると共に物語として誠実な落とし前を付け、一話完結を基本とする寓話的機能として仕方ない部分はあるものの、「悪い侵略者」を一括りに処理するのではなく、そこには無辜の民も当然居るし、手を取り合う事で互いにより良い関係を築き上げる事も出来るのでは、と描いたのは、『コスモス』全体のテーマに沿いつつ、いいアップデートでした。
 第17話は、盛りこまれた要素は面白かったものの、あちこち散らかりすぎてまとまりの悪い出来だったのですが、今回は、侵略テーマの『コスモス』的落とし込みとして、悪くなかったです。
 「あいつの事……なぜ、信じたんだ? ……その……あ、愛、ってやつか?」
 「……まさか妬いてるの?」
 「いやぁ。そんな」
 「私が彼女を信じたのは……」
 「彼女?!」
 サワグチ女史と、ゲートの向こうに去っていったギギドクターの関係性を気にするヒウラだが、翻訳装置の関係で男の声になっていたけど実は女性でした、とオチが付き、家族の為に平和的な移住計画の実現に命を懸けていたドクターの、他者へ向ける愛をサワグチは信じたのだった、と種明かし。
 「あの……キャップになにか……?」
 「さあ、昔からああいう人よ。がさつで不完全。でもね……」
 ヒウラは途端に上機嫌になると意気揚々と歩き出し、「そこがいいところ」みたいなニュアンスを女史が出すのですが……もしかしなくても:キャップ、特に活躍していない。
 大人の話はよくわかりません、とムサシが首をひねって、つづく。
 次回――ゆ、遊園地デート?!