『機界戦隊ゼンカイジャー』感想・第30話
◆第30カイ!「隣のキカイはカキ食うハカイ?!」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:香村純子)
「柿食えば、鐘が鳴るなり、ほう! Hou! 砲ぉぉぉっ!」
凄いこじつけで、カキワルドが広範囲音波攻撃してきた(笑)
……法隆寺の皆さんに謝れ。
正統派のイラッと来る感じな柿ワルドを追い詰めようとするゼンカイジャー&ツーカイザーだったが……その足下で砲火が弾けると、紅白ボディの謎の戦士が、ヒーロー着地で姿を見せる!
「やめろぉ、ゼンカイジャー!」
「誰?」
「誰カキ?」
「俺は――キカイのパワー、ハカイザー!!」
背中にVを背負い、サイバーコップぽい謎の戦士は、やたらヒロイックなメロディに乗せて両手をびしっと広げたポーズを取り、名前の露骨な元ネタを知っていれば知っている程、力強く空振りを誘われる予想外の性格には、してやられました(笑)
俺の名は俺の名はハカイザーはワルドをガードする為にイジルデに作られた機械戦士を称し、
「悲しめ……! ほざけ! そして死ね!!」
……じゃなかった、
「てことで、邪魔する奴らは、全力でハカーーーイ!!」
なんだか、Eテレのノリだった。
柿ワルドを守り、6人をまとめて弾き飛ばしたハカイザーが、銃身に戦隊レッドの顔が大量に並ぶ全力破壊銃を取り出してチャンバラパワーを発動すると、カクレン黄・ハリケン黄・シンケン黄・ニンニン黄、の刀持ち黄の偽物が属性召喚される新パターンで、
「チャンバラパワー、全力ではかーい!」
どこか気の抜けた掛け声に合わせて、まさに恐怖のハカイザー部隊に叩きのめされた6人は、更に鐘が鳴るなり砲の直撃を受けた上、柿ワルドにはまんまと逃走される踏んだり蹴ったり。
「よーし、カキワルドを守ったぞー! じゃあなー! とぉーう!!」
……これ、中身、高尾ノエル26歳なのでは?
こてんぱんの5人がカラフルに戻ると、セッちゃんの調査によりハカイザーの外見はゼンカイザーの没デザインだと判明し、カラーリングや方向性などに、成る程納得。そして全力破壊銃は、五色田博士が設計していた全力全開キャノンにこれも瓜二つであり、「きっと、トジテンドのギアの技術は、全部そうチュン」と盗作認定が下される事に。
……なお、界賊一味も同類とみなされました(笑)
父ちゃん母ちゃんの研究を悪用するなんて許せない、と更なる怒りの炎を燃やす介人だが、店内に戻るとヤツデの様子がおかしく、一同も皆、病的なほどに喉の渇きを覚える事に……
「実は俺は、ホシガキワルドだったのだホシガキー」
柿ワルド、両頬のパーツを外して、まさかのフォームチェンジ。
「柿食えば鐘が鳴るなり砲の音波を浴びた者は、干からびていく。この世界の生き物を全て、乾かしてやるホシガキ!」
街中の至るところに、水分を摂っても摂っても喉の渇きが癒やされない人々が続出するリアルな地獄絵図が展開し、ハカイザーのおまけかと油断して顎が下がったところに叩き込まれるえぐいアッパー。
逃げる干し柿を追うゼンカイだが、喉の渇きでまともに戦う事が出来ず、発動条件が目立ちすぎる事を除くと、(ヤバい、こいつ、地味な能力だが、強いぞ……!)と、主人公が苦闘するタイプのスタンド使いだ干殺しワルド。
揃い踏みも虚しく、飢え死にならぬ渇き死にの危機に陥るゼンカイジャーだがその時、よほほ~いの声も高らかに降り立った界賊一座が、給水所を設置。水をがぶ飲みしたツーカイが干し柿を食い止めている間に介人らも凄い勢いで水分を補給すると戦う気力を取り戻し、これだけだとただのトンチバトルだったのですが、ゼンカイジャーが戦線復帰するや否や、「交代だ!」と金が水分補給に駆け戻るのが、もう一押しになって面白かったです。
一気に干し柿を追い詰める一同だったが、ハカイザーが乱入すると、サイエンスパワーで、デンジ青・ダイナ青・バイオ青・タイム青を召喚し……うーん……まあ、武器の形状や出自からしてゼンカイザーの手に渡るのが前提としても、もともとステイシーザーの暗黒召喚もあまり好みでない身としては、過去ヒーローの扱いがより雑になった感じがあって、ノれない攻撃。
このままで給水が間に合わない、と白がハカイザーを一騎打ちで足止めし、「世界を守るミイラになってやる!」に大受けしたハカイダーが壊れたような笑い続けるのが、お笑いの合間に怖いシーンを挟み込んできます。
その隙を逃さず思い切り背中から撃った白は、全力全開キャノンを奪い取る事に成功。さっそくキャノンのハンドルをグルグルと回すと、歴代シリーズのタイトルロゴが白の周囲をグルグル回り、充填されたエネルギーが歴代レッドの顔の形状で放たれると一つに集まり巨大なゼンカイザーのお面となって、ビィッグボンバー!
……別世界のヒーローを参考にしたエネルギーを自作戦士の踏み台として破壊兵器に転用する事に一切の躊躇が感じられないぞ、五色田博士。
ハカイザーは充電が足りなくなって帰還し、巨大化したら何故か柿に戻ったダイワルドに対し、久方ぶりの、ジュラガオ・ブルマジ・真剣痛快王、の3体揃い踏み。
ところが掟破りの牡蛎アタックに続き、花器と火気が飛び交う変則的な攻撃の前に3体のロボは次々と戦闘不能に陥り、だったらこっちは銃火器だ、とゼンカイジュウオーを発動して、火力で押し切って大全壊。
戻ってきたハカイザーを充電するイジルデは、五色田脳の反応に不気味な笑い声をあげ……不穏さがいや増す中で、つづく。
新たなる敵・ハカイザー本格登場編。イジルデの「脳に刺激」発言と、如何にもすぎる名前からは、介人父の脳が内蔵ないし無線接続されている可能性が目に浮かびますが、性格や言動は少年時代の憧れのヒーロー像……みたいな感じでしょうか。ただ、デザインも性格もオマージュ元(?)からはだいぶ離してきたので、全てミスディレクション、という可能性も警戒していた方が良さそうではあり。
なまじ『01』ハカイダーに屈折した思い入れがあるので(第一作『キカイダー』を知らないので、非常に歪んだハカイダー観の自覚はあるのですが)、キャラ造形のギャップによる据わりの悪さの方が先に立ってしまい、『ゼンカイ』の“こういうキャラ”として面白がるに至らなかったのですが、今回においては割と都合良く“新兵器の運搬役”になってしまった事もあり、次回以降、馴染んで面白くなっていってくれる事に期待。
後は、ステイシーの出番を削るだけの面白さが、現在の今作において物凄く高いハードルになってしまっているわけですが、そのハードル越えを落とし穴覚悟で目指すのか、それとも早急に物語を動かすキーとなっていくのか、出来れば、ステイシーと巧い化学反応を起こしてくれれば、と思います。
次回――世界を真っ白に染め上げる、菊地クリーニングワルド全世界展開?!