東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

科捜研の罠

仮面ライダードライブ』感想・第34話

◆第34話「だれが泊英介の命を奪ったのか」◆ (監督:諸田敏 脚本:三条陸
 OP映像に追加されたタイプトライドロンが何故か噴水の中から飛び出してくるのは、やはり“死と再生”の意味づけ(死の世界としての水中からの浮上)なのでしょうか。
 本願寺課長らの解凍スプレーによる手作業とは別に、001が死亡した事により、記憶の凍結改竄が自動的に修復され始めた事で、警視庁は大混乱。
 そんな中、科捜研でロイミュードによる証拠品の盗難、そして重田課長の失踪が相次ぎ、改竄された記憶を徐々に取り戻した重田が、12年前の泊英介殺しの証拠品を再調査していた事が判明する。
 重田課長の行方を探す進ノ介と霧子は、仁良課長の協力もあって真影が私物化していた施設を調べて回るが、そこに現れたのは超進化体を目指すハート様
 「フリーズには悪いが、彼を失った悲しみよりも、おまえとまた戦える喜びの方が、上だ」
 前回、フリーズがドライブを殺した事に不満を示すなど急に進ノ介に執着を始めるハートですが……そんなに戦っていた記憶がありません。
 一応、デッドヒートのデビュー戦で殴り倒してはいるので、その時にMパワーに目覚めてしまったのかもですが、以後はそれほど印象的な対決は無いですし、進ノ介も進ノ介で、ハートに対して「邪魔だなぁ」以外の感情を向けた覚えが無いので宿敵感はこれといって発生しておらず、プロトドライブ時代の因縁や、かつての友であった事も含めて素直にチェイスとぶつけた方が受け止めやすかったのでは感。
 メディックの助力により超重力を使えるようになったハートに対し、チェイスが霧子を助けに駆け付けて、一行は撤収(チェイス、明らかにバイクにストーキングさせているチェイス……まあ、霧子も明らかにシフトカーにストーキングさせているので、割と似た者同士)。
 ハートが待ち伏せしていた事から内通者の存在に気付いた進ノ介は、重田課長救出の為に罠を張り、証拠隠滅をはかる真犯人を突き止める事にまんまと成功する。
 「親父を殺したのは、根岸でも、真影でもなかった。あんただ、仁良光秀」
 真影を裏切ったからこれからは友達だよ、も無理があったので落としどころとしては納得なのですが……昨日今日思いついた真犯人、というわけでも無さそうなのに、“若い頃の進ノ介父と仁良の関係”についての描写がこれまで皆無に近く(仁良が進ノ介父について「立派な刑事」「世話になった」と言うだけ)、“若い頃の二人は捜査一課でコンビを組んでいた”が出てきたのさえ今回初なので、きょとんとします。
 「なぜだ……なぜ親父を撃った!!」
 進ノ介の絶叫に、仁良は同期だった進ノ介父への嫉妬と憎悪を告白。羨望はいつしか強い劣等感へと変わり、タレコミを受けて潜り込んでいた銀行で強盗事件が起きたその時、犯人の拳銃を奪った仁良は、その手で泊英介を撃ったのであった。
 「君のような人間のクズは、必ずロイミュードの進化に役立つ」
 12年前の事件は、フリーズ能力の通用しない泊英介を排除する為に001が仕組んだものだったが、その実行犯は仁良であったと明らかになり、その場に居合わせた全員の記憶改竄と引き換えに、仁良は001に忠誠を誓う事に。
 「これが人間の本性だ。人はみんなこの通り、化け物と呼び合う心を持ってるんだぁぁ!!」
 「――この世界は、そんな人間ばかりじゃない」
 一度は仁良を見捨てようとしたブレンだが、仁良の放つジェラシーパワーに興味を示すと再びナンバー106を融合させ、仁良はシーフミュードへと変貌。
 ……そしてまた大森P作品の地雷パターンですが、私の知る大森P作品というと、“人間の悪意”は折に触れて炙り出そうとする一方で、“人間の善意”の掘り下げが足りない為に、肝心の要素と向かい合わないまま終盤戦に突入してしまって派手な誘爆を引き起こす印象が強く、今作も前半からそういう気配は見え隠れしていましたが、果たして「この世界は、そんな人間ばかりじゃない」事に説得力を持たせる事が出来るのか。
 怒りの進ノ介はタイプTRに変身し、前回の反動だったのか、前半は、巨大絆創膏・やたら体当たりを繰り返す科捜研の“マリコ”・CGで膨らむ鼻、など過剰表現による露骨なギャグが繰り返された一方、中盤以降は軽い笑いも一切入らないという毎度ながらの極端な『ドライブ』仕様から、何故かクライマックスバトルで工事現場セットを持ち出してブレンを相手に笑いを取り、どうにも今作のユーモアに関するバランス感覚が肌に合いません。
 左手を伸ばしてタイヤを三つ召喚するタイプTRのアクションは、ハッタリも効いて好きなんですが。
 轢殺トライドロンで融合解除された仁良だが、そのドロドロと渦巻くジェラシーファイヤーに同調するブレンは、106を巨大コウモリ化してドライブにけしかけると、仁良を連れて逃走。
 ドライブは飛行トライドロンによる空中戦で巨大コウモリを焼き尽くすが、まんまと逃げおおせたブレンは、歓喜にむせび自ら仁良と融合。ところが二人は融合してシーフロイミュードにならず、仁良から弾き出されたブレンが黄金の光を身に纏い……今ここに誕生する――嫉妬のパワー! ゼンカイブレン!!
 特状課には顔を出せない、と自分を戒める剛は、“仮面ライダー”として自らの信念の道を突き進むべく、決死の断姉(写真も見ない! メールの再読もしない! マンションから半径100メートル以内に近付かない!)を自らに課して蛮野タブレットの解析を続け……次回――反撃の仁良、しぶといぞ仁良。