『仮面ライダードライブ』感想・第３０話
◆第３０話「真犯人を語るのはだれか」◆ （監督：田崎竜太 脚本：香村純子）
進ノ介は父親の一件をチェイスに説明して前回の行動を改めて反省し、「家族」とは「心を乱すもの」ではなく「大切なもの」だから何かがあれば心を乱されるのだ、と説明。
キャラクターの「家族」に焦点を当てつつ、それに疑問を抱くチェイスに「人間」を教えていく構成そのものは悪くないのですが、肝心要の進ノ介の「家族」が、本当にいきなり出てきたのが、つくづく惜しまれます。
特状課に保護された丸谷は、１２年前にも銀行強盗の現場で“どんより”を感じた事を思い出し、首筋の傷跡は、００１による記憶操作の痕跡に違いない、とチェイスがあっさり指摘。
霧子は、１２年前の事件現場で進ノ介父に助けられ、今回の事件現場でドライブに助けられた少女ゆかりから情報を聞き出そうと病院に向かい、剛の一件があって焦っている……と表現したかったようなのですが、今回もまた。「ゆかりが１２年前に何歳だったのか？」さえ配慮できずに掴みかからんばかりの勢いが激しすぎて、その後の反省を前提としても、進ノ介にしろ霧子にしろ理性の失い方がちょっと極端。
そこをスムーズに接続する為の“ステップ”が抜け落ちて、ホップからジャンプしてしまう作劇が悪い意味で目立ちます。
「思い出したんだよ、俺。真実を突き止めたいからって……人を傷付けるような事はしちゃいけないって。……俺たちは、市民を守る警察官なんだから。だろ？」
進ノ介は霧子を止め、進ノ介が度々口にする「市民を守るのが警察官」を、今作における「仮面ライダー」と接続したいと思われる……というか、それをしてこそだと思うのですが、なまじ先に「仮面ライダー」を持ち込んでしまったが為に、新たに「仮面ライダーを生む／作る」というよりも、「仮面ライダーが在る」ところに合わせに行く感じになってしまっている気がします。
勿論、“劇中で”しっかりと先輩「仮面ライダー」の姿が描かれているのならば話は違うのですが、それをメタ要素任せにしてしまっているのが、好きではない作り方（後の『ビルド』でも同根の失敗を繰り返しているので、恐らくは大森Ｐの問題）。
なお、今作劇中における初代仮面ライダー＝プロトドライブの行動原理は、外部からのプログラムなわけですが、肯定するにせよ否定するにせよ、一度しっかりと向き合ってほしい部分であります。
チェイスは剛の襲撃を受けると、必殺キックの打ち合いを制して、耳の裏に００１の傷がある事を確認。剛がロイミュードに与する筈がない、では何故？ ……から「記憶を操作されています」は単純に面白くないのですが、剛離脱展開そのものが、いまひとつ魅力を感じられず。
「俺にだってわかる。おまえを倒すと、霧子の心が乱れる」
「……おまえには言われたくないんだよ……！」
一方、鍵開けミュードにゆかりが狙われて、今回は“守る者”としての仮面ライダー像が描かれ、その姿に１２年前の事を思い出すゆかり。
「君は絶対――俺が守るから」
ドライブは忍者手裏剣、モンスター噛みつき、マックフレアパンチ、と挿入歌に合わせて初期シフトカーを連続使用し、前回今回と、怪人のトリッキーな攻撃を含めアクション面で一本調子にならなかったのは良かったです（前回の、ジャスティス電磁檻で銀行強盗を捕まえようとするが、鍵開けで脱出される流れは秀逸でした）。
フォーミュラ砲と待ってろアックスのダブルアタックでトドメを刺し、逮捕された根岸にも、００１による記憶調整の痕跡が……「家族」について自分なりに考えるチェイスは、剛には傷が無かった、と霧子には嘘を告げ、修復されたプロトドライブキーを読み込むと、眼が赤く光って謎のプロジェクター機能で映し出されたのは、００１・００２・００３によるプロトドライブ改造手術の光景と「超進化体」という言葉、そして、００１の人間体……！
主観映像による改造実験手術の光景は明らかに初代『仮面ライダー』オマージュでありますが、結果として、ハート様に手術スキルなんてあるの？！ とか、００１はこれから改造手術するのに背広に帽子姿になったの？！ とか、微妙にとんちきな映像が誕生したものの、ここは、話の都合×面白さ、という事でいいのか……？！（笑）
なぜ００１は１２年前に銀行襲撃現場に姿を見せたのか？ 進ノ介の父は誰にどんな理由で殺されたのか？ 国家権力に潜り込んだ００１の狙いとは？ 色々な謎が山積みのまま、つづく。
